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イデアル -魔術師達の夜に斬撃を-  作者: ねこねここねこ
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彼女達との再会・・・

主人公視点へ

 (今日も勤勉な事で。)


 屋上に連れられて来られた御影 カナタは外見は怯えたように見せながら心の中でため息をついていた。

 

 (この勤勉さを勉強に使っていればいいものを・・・)


 いつものように教室に置いてある財布とは別の囮の財布を渡すと壁に背を着き座り込む。


 当てる気のない蹴りが顔の横にゆっくりと伸ばされワザと当たった方がいいだろうかと上空を見て考える。


 (!?)


 きっと目の前の連中には俺が蹴りに怯えて驚いた顔を空に向け天を仰ぎ嘆いているように見えるに違いない。


 よく見ると鼻を伸ばしていたのに気づかれたかもしれないが・・・って何故にコイツが!!慌てて視線を反らせようとしたがそいつが立ち上がった事でつい口から洩れてしまう。


 「まてーい!悪者どもよ!」


 「え?スパッツ・・・・」


 (何故このシュチュエーションでスパッツなんだ!!)


 そう心の中でツッコミを入れようとして口に出してしまった事に気づく。


 「あん?スパッツだと?」


 「悪者だと!」


 「誰だ!」

 

 同じように上を向く三人組み。


 そして三人の顔が同じように自分と同じ様にニヤケていたに違いない。


 「・・・・と紐パン!?」


 (こっちはお約束がわかっているようだ!!こいつらに見せるのはもったいないが!)


 そしてふんぞり返った金髪の女が偉そうに目の前の三人を見下し決め台詞を吐く。


 「私が来たからにはこれ以上の悪事はさせん!とうっ!!」


 風になびかないスパッツが重力に逆らいまくっているスカートを後にし降り立ち潰れる。


 「ぐえっ!?」


 スカートが捲り上がり着地点が見えなかったのであろう少女が着地に失敗し地面に対し平行になりながら落ちた。


 紐パンとその相手に見惚れていていたリーダー核の男もスパッツ派?の男達も視線を奪われる。


 「・・・・死んでないよな?」


 「お、俺何もしてないぞ。俺達のせいじゃないよな!」


 「だ、大丈夫か?」


 カナタだけはもう一人の女性の心配をしていた。


 「・・・降りられますか?」


 「・・・あの時の体勢みたいにキャッチしてくれるの?」


 「・・・・・バレてるか。」」

 

 「忘れるわけないし!」


 そういうとえいっ!と目をつぶりながら手を伸ばし落ちてくる。


 「ちょっと待て!その落ち方だと受け止められねーよ!!」


 カナタは両手で落ちてくる渚を受け止めきれずに倒れてしまう。ちょっと硬かったが控えめに柔らかい感触が顔を押さえる。


 「会えた・・・会えた・・・・・」


 「ははは・・・俺としては知らないままだった方が君の為だとは思ってたんだけどな。」


 「て、テメー!!」


 カナタは忘れていた。


 (あ、俺カツアゲされている最中だったんだ。)


 「何でテメーが!渚ちゃんを抱き締めてんだよ!!」


 ・・・抱きしめられているのは俺なのだが?


 「渚ちゃん!俺は告白の返答待ちをしてたんだ!どういう関係だ!」


 「返事何てもうしたし!嫌なのに無理やりカラオケに由美子達を使って誘い出したくせに!」


 「なっ、コイツと付き合ってんのか!!俺の方がカッコいいし強いしいい男じゃねーか!なんでコイツなんだ!」


 「アンタなんかより強いし!カッコいいわよ!ナルシストの筋肉ダルマ!」


 少女と共に立ち上がると俺はつい噴き出してしまった。


 「ぶっ!!(まんまじゃねーかよ!)」


 「死んだぜテメー!散々イジメられてたのになー俺達に・・・・目を覚まさせてあげるぜ!渚ちゃん!」


 顔を真っ赤にしながら今にも血管が切れそうなほど怒っているようだ。

 

 『ぐわっ!』


 「どうでもいいけれど。私が主人公なのだから取らないでくれるかしら。」


 「鼻血出てるぞ?キンパツ。」


 「黙りなさい!貴方だと最初から知っていましたらこの愚か者どもに加担してましたわ!!」


 シャルと入れ替わるように倒れている二人組みが微かに足をピクピクと動かしているのを見て取りあえず安心しておく。


 「テメーら!俺を無視してんじゃねー!!」


 怒りに任せて殴りかかろうとしてくるクラスメイトに対して可哀想にと同情しておく。


 カナタに避ける気はない。カナタは既に勝負とは別の事を考えていた。


 (ああ、明日からはもういじめられっ子としてクラスで過ごせないな・・・)


 予想通りに何やら呟いているシャルを見て哀れなクラスメイトに苦笑いをしておく。


 「勝ち誇ってんじゃねー!渚は俺様の!!」


 「貴方、私が相手をするって宣言しているのに無視をするとはいい度胸をしているじゃない?」


 真横に吹いた突風に7、8メートルは吹き飛んだのではないだろうか。飛ばされた男がバウンドし身動き一つしなくなる。


 「死んではいないわ。よっぽどの小者でしたら後遺症は残るかもしれませんけど。」


 何かを言う前に何でもなかったかのようにシャルが言う。


 「相変わらず無茶をするな・・・義姉さんから今日来るとは聞いてたし魔術について注意して使わせろとは言われてたけど。」


 「御姉様から!?」


 「あ、あのー・・・今、勝手に仁先輩が吹っ飛んだように見えたんだけど!?やっぱり今のって・・・あと二人って知り合いなの?」


 「ああ、君の想像の通りだよ。あと関係性については単に知っているというだけだけどな。」


 「その通りよ渚。私は普通の人間の男には興味がないの。御姉様の義理の弟だから仕方がなく相手してあげてただけのただの知り合いでしかないわ。」


 「そ、そう。とりあえず、この三人どうする?」


 二人はお前が何とかしろと言いたげな視線を交すと同時に渚に言う。


 「放っておく!」


 「放置しておきましょう!」 


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