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イデアル -魔術師達の夜に斬撃を-  作者: ねこねここねこ
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過去と未来 義姉と弟

 女性陣が思ったよりも食べる事にオレは驚いていた。


 幼馴染だったアイツが居たらきっと


 「そんなのは幻想だ幻想。俺より食べるやつなんてわんさかいるさ。この前デートした女の子、向こうで別れたんだけどさ、その後1時間くらいゲーセンで遊んでからラーメンでも食べて帰ろうとしたらまさかの鉢合わせ。しかも、中盛食べてやがんの。」


 とか懐かしい事を言っていたに違いない。


 「なんか・・・昔を思いだすわね。」


 「ああ・・・・確かにね。後、一人居たら人数的には同じになるね。」


 ちょうど3年前から5年前の三年間の出来事。中学時代のろくでもない生活の事であり、まだ義姉が普通の義姉だと思っていた頃の出来事だ。


 「ごめん、色々と巻き込んで。」


 「なんだよ今更・・・気持ちが悪いな。オレはオレの意志で手を染めたんだ。」


 「私の為に?」


 「・・・・皆の為にさ。」


 「そのせいで、バラバラになったのに?」


 「そうだな・・・まさか中等部を破壊し、高等部まで半壊にするとは思わないでしょ。しかも、責任取ってここを買うとか無茶したせいで資金難になるし。」


 「うっ・・・だってすぐに仕事が来ると思ったらあの件以降、皆びびって仕事来なくなるし。喧嘩売ってくる魔術師どころか魔法使いさえ懐くし・・・・他の一人はトラウマ植え付けてやったし。後、一人しかいないのよ?知らない魔法使い。それを倒せば頂点よ?実質。元々シャルと同じくらいの実力とか言われてた年増だから衰退の一歩しかないだろうけど・・・意外と仕事ないのよ実質的な最強って。」


 (義姉さんの場合はその仕事の成功率と適当具合が関係していると思うのだが・・・・)


 依頼内容が気に入らないと依頼を勝手にキャンセルし、ターゲットに義があれば気まぐれでタダでそっちの護衛にまわったり、脅すだけの仕事が気まぐれで組織壊滅になるからだろう。


 とはいえ、はっきりと義姉に対して実力行使でいう事を聞かせたり、脅し返したりしようものなら叔父のようにこの世から永遠のリタイアを突きつけられるだろう。


 なのでこの家の庭は無法地帯であり、聖域であり、命知らずの決闘場(墓場)でもあるのだ。


 ある種の治外法権となっているのである。

 

 詳しくは知らないが国家レベルでの取引や契約があるらしく裏の仕事を手伝う限りはある程度見て見ぬ振りを許可されているらしい。


 「で、今度のは政治絡みなわけ?古い魔術師達に狙われるなんて・・・もしくは何かまたやらかしたの?」


 義姉は心外な!という表情をするが、眉間を摘まむと、ん~と唸る。


 「あるような、ないような。昔確か何かを頂戴したことがあったからそれか・・・いやいやあれは結局は決闘の報酬で負けるとは思っていなかったアイツら自身が悪いだろうし・・・」


 「思いつくことはないんだ?」


 「ないね!あり過ぎて。」


 「・・・・そっちかよ。だと思ったけどさ。」


 義姉はソファーで寝ている二人を懐かしそうな目で見ている。


 「・・・・」


 「・・・・ゴホンッ。義姉さん、今日は研究ストップして寝なよ。何を研究しているかわからないけど無茶するならまた家でするよ?昔のようにメイドがいるわけじゃないんだから。」


 「あの子、手料理が・・・」


 「義姉さん。二度と一般人を巻き込まない・・だろ?」


 「わかってるわよ。さっさと解決して記憶消してサヨナラでしょ?でも、今記憶を消すのは得策ではないしね。何かあった時に事実を知っているのと知らないのでは生存率が違うからね。」


 「・・・アジトがどこで何人日本に来ているかがわかれば動きようがあるんだけどな。」


 「そうなのよね・・・そればっかりは見つけ出さない事にはどうしようもないのよね。時間かければ見つける事は可能だけれども私はその手の細かい捜索系の魔術は苦手なのよね・・・」


 そういうとポケットの中から見つかったら即逮捕レベルの物を手渡してくる。


 「これは?」


 「もちろん偽物の拳銃よ。ちょっと私が改造した捕まらない範囲のおもちゃよ。普通にリボルバーに弾を入れて打つ空気銃タイプのおもちゃ。六発式の至って普通のリボルバーね。凄いのよコレ。撃つわよ?」


 義姉は明らかにおもちゃにしては重量のありそうなリボルバーに弾を5発込めると


 パン!パン!パン!


 と乾いた音を響かせる。


 「痛てっ!普通に入ってるじゃん!イタッ!痛いって!」


 飛ばされた小さい玉が服の上からでもそこそこの威力を与える。


 「ふっふっふっ、ではこのおもちゃの弾丸。先端についているおもちゃの玉を私特製の弾に変更するわよ?」


 「・・・嫌な予感しかしないのだが。」


 「まあ、見てなさいよ。これならいつでも持っていられるしおもちゃなんだから取り上げられた所でお咎めもなし。まあ、私の特製じゃない市販のだと1、2発撃ったら壊れるだろうけど。補強魔術もかけてないし。」


 小さな弾の本体をセットし銃にセットする。


 「発動条件は起動ワード。我、放つは元素の源。我は汝と契約せしモノなり。」


 「・・・・思ったより短いな。いつぞやの長ったらしいのは何だったんだ?」


 「ああ、あれは半分はノリよ。私なら持っただけで詠唱なんて必要なかったし。そんな顔をしないの、だからこうして短く済む物作ってあげたんじゃない。これは普通の人間でもお手軽に使えるマジックアイテム的な物ね。まあ、敵に取られても私とカナタ以外は・・・・カナタと私とかじゃないとが正解か。まあ、そういうわけで安心しなさい。んじゃ、撃つわよ、そこの窓開けて!」


 急いで居間のガラス戸を開ける。


 「まあ、夜だからね・・・・目立たないように風が妥当か。ほぼ同じだから一回で覚えてね?契約せし緑の風よ・・・込められし対価を糧としその姿を解き放て!ストームバレット!!」


 過去は変えられない。けれど未来は自分次第で道は無数に存在する。これは義姉が僕にくれた昔の約束の続きの品だ。


 激しい風が射線上から離れていたにも関わらずカナタにゾクリッと死の恐怖を感じさせる。


 通り過ぎた先で何かにカンッ!と音を立て当たったかと思った瞬間、着弾点より半径2メートル程の円を作るかのように空中で渦まき、足元の土を削りとると霧散する。


 「・・・・こんな簡単な詠唱でこれだけの威力だって?しかも、やり方によっては魔術師でもない普通の人間が誰でも使える?義姉さん、これヤバすぎない?」


 「やつらと戦うにはこれくらいないとね。取り敢えず6種類の弾と各予備を置いて置くわね。極東の魔女の渾身の一品よ!こっちがブラフのおもちゃの玉、こっちが本命・・・・大切にね。」


 義姉さんは微笑むと大きく背伸びをして寝るわね、と自室へ戻って行く。


 弾は6色、赤(火)・緑(風)・水色(水)・黄色(大地)・黒(虚空)そして元素と言っていたにも関わらず予備を含め5つしかない怪しい虹色の弾が使うな!危険!とだけ入れ物に書かれて置かれていた。


 『未来を望み、現在と過去に罪という十字架を背負う覚悟が出来たなら、絶対絶命の時にその引き金を引きなさい。貴方にとっての銀の弾丸にならん事を。最愛の人へ。』



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