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リトルウィッチの成り上がり

夏の月

作者: ぱるぱる

七月になったばっかでもう暑さがたまらない

今日このごろ


大村カズキ(15) 今日 幽霊にとりつかれました!

「まぁいいじゃん。人生いろいろだし」

そう幽霊は言った。

そう こんな脳天気そうな少女にとりつかれたのだ


今日の朝、俺はたまたま早く学校へ向かった

その途中見てしまったのだ 彼女を

とても苦しそうだった。幽霊という存在を初めて

この目で見たので、凍りついたかのようにじっと

彼女を見つめていた。すると彼女が振り向き、

目が合ってしまった。

すると

「お・・お腹空いた・・」

そう喋った彼女はふわふわと近づいて来た


気が付くと俺は公園のベンチに座っていた

訳も分からぬまま周りを見わたすと横に

空のお菓子がたっぷり入ったコンビニの袋

があった。その横に少女が満足そうな顔を

して座っていた。


「いや〜お腹いっぱい。君のこと気に入ったよ

しばらくとりつかせてもらうね〜」


こんな馬鹿げた朝だったのだ

ああ、俺はこいつにとりつかれたまま

今日も学校だぁ・・あ〜あ






こんなアクシデントがあったにも関わらず

俺は余裕な時間で学校に登校した

「へーこれが君の学校かぁ〜」

彼女は興味津々で学校を見ていた

「どこにだってある普通の学校だよ」

俺はそう冷たく返した

「あれ?女子水泳部が朝練やってるよー

ちょっと見てこよー♪」

そう言って全速力で行ってしまった


「お前は健全な男子高生か」

となんかツッコンでしまった


「おはよう、カズキ」

同級生の友達が挨拶をした

「おはよう」

と返した


「なぁ、知ってるか?昨日隣町で女の子が

自殺したんだってよ。しかも俺らと同じ位

の歳の」


「マジで?なんで自殺したんだ?」

そう俺は聞き返した

「さぁ、それは知らないけどな・・相当辛い

事があったんじゃないの?」


実は俺はこの問題についてすごい疑問を

持っていた。

80歳くらいになって寿命で死んでしまうだろう

なぁと考えていた俺にとって死ぬなんて

すっごく先の話。つまり俺にとって今は

死という事と無関係な日々を送っている。

それが今 自殺 という形で俺と同じ位の

歳の人がたくさん死んでいる。


どうしてなのだろう


何でそれをする決心ができるんだろう


そんなことが疑問だった

「いやー朝練頑張ってたよー」

彼女が戻ってきた


「あ」


丁度 死 という事実に直面した者が

ここにいる

丁度いい ちょっと聞いてみるか







俺としても少し心を開いたのか

やっとまともに彼女の顔を見た

「・・・・・・」

言葉を失ってしまった

彼女は足さえあれば

そこらへんにいる人と同じであり、

表情も一度は死んだとは思えない

ほど明るい笑顔でいた

その笑顔には懐かしさに似た

やすらぎを覚えた

そして例のことを聞いてみた


「なぁ・・お前ってどう死んだの?」

「え?」


少し時が止まった


「それがね〜全然覚えてないんだよ〜」

その言葉と彼女の笑顔で少し重かった

空気が一気になくなった


「なんだよそれ・・」


そう返した俺は 少しほっとしていた

聞いちゃいけない事のような気がして

聞いた時に少し後悔したんだ


毎日絵柄を変える空

授業中につい見てしまうそれを見て

今日はいつも特別なんだという気分になる


なんか今日の俺 ダサかったな

偏見で人(幽霊だけど)をみて嫌悪してしまった

それを1回取り払ってみたらなんか

これからもやっていける気がした

新しい友達ができた そんな感じに思えた


そう考えながら空を見ていると

「大村 ここの問題やってみろ」


問題をあてられてしまった・・


「えっと 福沢諭吉です・・」


クラスのみんなに笑われてしまった

今は数学の時間だった

それから一週間は諭吉先生とあだ名

で呼ばれつづけた・・・





そうだったなぁ これがあいつとの出会いだった

衝撃的な日だったから今でもまるで記憶という

フィルムを巻き戻してみてるかのように鮮明に

覚えている。


その衝撃的な出会いから数日後

俺は同じクラスの女の子から

ラブレターをもらった


「ヒュー モテルねぇ カズ君」

俺と幽霊の女の子とはすっかり仲良くなった

そしてどうしてもカズ君と呼びたいらしく

ちょっと恥かしいながらもそう呼ばせていた


「で付き合っちゃうわけ?」

「・・どうしようかな」

「え?何で?」

「それは・・秘密ってことにしとく」

「つまんないの〜」


実は俺は一年前にここに引っ越してきて

引っ越す前の学校に好きな人がいたんだ

だけど告白できずに引っ越しちゃって・・

でも俺は諦めない

一年間告白できなかったことを後悔していた

もうすぐ夏休みになる。だから俺はもう一度

そこへ行って告白しようと思っている

だから断ろうとは思っているのだけど・・俺が

告白できなかったのをいい例として告白をする

ということはもの凄く勇気がいるのだ

それに俺が好きな子に振られた時のことを考える

だけでものすごく悲しい気持ちになる

だから・・断りにくいな・・

俺自身 告白してきた女の子が嫌いな訳ではない

むしろ逆の方なんだ 一緒にいて楽しいし

だから悲しませたくないし後々関係が気まずくなる

のも嫌だ

今のままの関係でいたい

そんな気分だった

でも告白された以上そんなことはできない


家に帰ってすぐにベットに横になりこのことを考えた


「まだ考えてたの?」

「ああ・・」

俺は適当に返事をした


部屋は静かだった


「そういえばさぁ・・」

ふと聞いてみた


「なぁに?」

「お前・・いつもなら 付き合っちゃいなよー!

 とかいいそうなのにやけに黙ってるな」


そう 彼女は元気いっぱいで普段は

少し静かにしてろ といいたくなるくらいだった


「だって・・私がとやかく言うことじゃないじゃない」


確かにその通りであった

だけど彼女が少し機嫌悪そうなのが分かった

もう恋愛などできない彼女にとって青春を満喫

してる俺に嫉妬心でも抱いているのだろうか


そしてまた静寂な空気に満たされた


そして俺がふと口に出した


「付き合っちゃ・・おうかな」


「え?」


彼女はいきなりそう言われて驚いていたようだった


「なんで 付き合う気になったの?

 さっきまであんなに悩んでたのに」


そこで俺は本当の事を言った


「実はさぁここに引っ越して来る前の所に

 好きな人がいたんだ。それで俺はまだ好き

 だから断ろうと思ったんだけど・・

 でもさ 実際今告白しても離れ離れなのは

 変らない。会えないのは辛いし」


「その好きな人って・・どんな人だったの?」


「そうだなぁ 天然でドジばっかで転んでばっか

 だったなぁ。でもどんなに失敗しても諦めないで

 太陽みたいに眩しい笑顔をしていたよ」


「ふぅ〜ん そうなんだ

 ・・いまでも本当に好きなんだね」


「な なんでそうなるんだよ」


「だって・・その子の話をしている時

 ものすごく楽しそうな顔してる」


「そうなのかもな・・

 でも気持ちに見切りもついたんだ

 離れ離れになった時点で場所だけじゃなく

 心も遠くなるんだと思う

 俺があいつのことを話すのも昔のように

 今想っている気持ちで話しているんじゃなくて

 もう思い出を話している感じなんだ

 だからもうあいつのことは振り切って

 新しい道を歩こうと思う」


「そんなの・・ダメだよ

 自分にウソついちゃ・・だめだよ」


彼女は真剣な目をしていた


「離れ離れになったって・・

 またいっしょになればいいじゃん」


「決めたんだ・・」


「そんなことして、本当に満足なの?」


「決めたんだ・・」


「今でもまだ好きなんでしょ!?」


「もういいだろ!!お前には関係ない!!

 俺が決めたことなんだ!!

 もうどっかに行けよ!!!!!」


「                 」


彼女は何か言っていた

だが興奮しすぎたのか泣いていて

何を言ったのか分からなかった

そしてそのまま何処かへ行ってしまった


次の日 俺は告白してきた女の子に返事をした

数日間俺にとりついてきた幽霊はいなかった

少しいいすぎたかな・・少し気になったけど

期末テストが近づいてきてその忙しさで

彼女のことを忘れてしまった


そして夏休みになった







暗い闇の中にある光は希望がたっぷり

つまっていそうだよね

でもそれを見ている俺自身はその光の

周りにたくさんある闇の一部なんだ

その光を作ったのは俺なのに

願いをこめすぎて光を作ったから

疲れたのかな


それとも


今の俺の心は光の無い闇

とても乾いた砂漠のよう


だから眩しすぎる光を見てると自分が

みじめになる

だから少しの光でカラカラに乾いた砂漠

を少しずつ潤そうとしているのだろうか


光には不思議な力があるからね


すこしずつだけど確かな力




俺は引越し前の場所へ行った


まぁ婆ちゃん家があるから墓参りとか

そういうのをしなきゃいけなかったし


そして俺は友達と会った


「久しぶり―!」

「おー!久しぶり―!」


こんなベタな挨拶をして俺らは話しこんだ


たった16年しか生きていないけど

忘れていたり覚えていたり

昔の思い出という物はたくさんあった


「あったあったー!!」


という言葉を何回言っただろうか


そしてふと好きだったあの子のことが脳裏

に宿った


そういえば・・


俺は結局告白してきた子と付き合うようになり

自分としてはふっきれたつもりでいた


だが やっぱり気になった


「なぁ・・美雪 どうしてる?」

美雪と言うのは好きだった子の名前だ


すると友人は顔を青くして黙ってしまった


「?どうしたんだよ?」


俺は聞いた





次に友人の言葉を聞いた時

俺はボーッとしていてふっと目が覚めた

時のような感じだった


あまりに突拍子すぎて 現実ではない

夢を見ていたかのようだった


でも本当は聞いてすぐに分かってたんだと思う


ただ 信じたくなかっただけなんだ




「・・え?もう一回言って?」


「だからぁ・・美雪は・・死んだんだ」


冗談じゃないことはすぐに分かった

雰囲気もそうだし

なによりこいつは冗談でウソをつく時に

笑いを隠せない男なのだ


蝉と風が沈黙をよりいっそう引き立てていた


「ど どうして・・死んだの?」


「え ええと・・自殺だよ」


蝉の声さえも俺の頭の中には入ってこなかった


俺には想像できなかった


あの眩しい笑顔が・・


死という残酷な悲劇の舞台に上がろうとは


「なぁ・・カズキ・・明日 美雪の墓参りに行かないか?」


「あ・・ああ・・」


俺たちは無言で帰った


家に帰ってからはすぐに寝た・・

俺の精神に相当きたみたいだ




次の日 俺は友達に暗い挨拶をし、

美雪の墓へとむかった

墓場に行くといつもあるような形の墓だ

ここに美雪がいる

俺がいつも行く時は会ったこともない無縁

の人が中で眠っており、ろうそくをあげる

だけだった


だけどそれは墓参りという慣習の下に

やっただけのこと


俺は初めて やすらかに眠ってくれという

願いをこめてろうそくをあげた

だけどろうそくを持つ手が震えていた


ろうそくをあげ終わり俺たちはただ立っていた


美雪が自殺・・・・?


どうして・・・・・・?



俺は口を開いた


「美雪は・・なんで自殺なんか・・

 ばかやろう・・」


「イジメ・・だよ・・」


「え?」


「俺と美雪が違う高校に行ったのは知ってる

 よな?」


「ああ・・」


「美雪 そこで水泳部に入ったんだ

 あいつは泳ぎがもともとめちゃくちゃ上手くて

 もう即レギュラーって感じだったんだ。

 それが気に入らないって言って先輩が美雪を

 イジメるようになってな。

 それでも美雪は水泳が好きだったから続けて、

 もう先輩達のイジメはどんどんひどくなってった

 らしい・・・・」


「それで・・どうなったんだ?」


「美雪は階段から突き落とされて足を骨折

 水泳ができなくなったわけだ。

 それでもイジメはまだつづいて、あること

 ないこと噂されて精神的にも追い詰めたれたん

 だろうな・・。でも俺が生きてる美雪に最後に会った

 時 笑っていたよ。

 お前も知ってる あの笑顔

 でもそれは仮面であって美雪の中は悲しみで満たさ

 れてたんだろうな

 で・・結果が・・こうだ」


ろうそくの煙がもやもやしてる墓を見た


「なんてことだ・・・俺は美雪を守ってやれなかった!!

 あんなに好きだった美雪を!!」


長い沈黙が続いた



「あれ・・もしかして・・カズキ君?」


と声をかけられた

見覚えがある 確か・・美雪のお母さん・・


「そうか・・美雪の墓参りに来てくれたのか

 ありがとう・・美雪もきっと喜んでるよ」


「そうだと・・うれしいです」


そう答えた・・


「えっと・・カズキ君 あとで家に来てもらっても

 いいかい?」


「はい・・・」


そして美雪の家へと向かった


「カズキ君 これ・・読んでもらえる?」


日記帳だった


「七月七日 午前一時

 もう私我慢出来ない

 大好きな水泳だってもうできないし、あの

 学校に・・私の居場所はもう ない・・

 死にたい 私そう思いました

 だから今日この日記を最後にこの世を

 去ろうと思います。お母さん、お父さん、

 今まで育ててくれてありがとう

 こんなふがいない娘でごめんね・・

 でも一つだけ 心残りがあるの

 それは 転校していったカズキ君のこと

 私 好きだった。でも告白できずに行っちゃった

 そのこと 後悔してる

 最後に告白したかったなぁ

 でも遠いから会いにいけない

 だから 無理なんだ

 時の輪廻があるというのなら

 私 あなたのことは忘れず 会いに行きます

 それが例え 何百年先であっても

 私はその思いを忘れません

 

 じゃあ さようなら」


このページに何個も水滴が付いた跡がある

それが何かはすぐに想像できた

そしてどんな思い出これを書いたのか・・


そして また新しい水滴の跡ができた


涙が止まらない 止めることができない


守ってやれなかったことへのふがいなさ


なんか色々な感情がぐちゃぐちゃしていた


「これが美雪の最後の写真だよ」


美雪のお母さんが見せてくれた

最後にあった時と同じ 眩しい笑顔だった


だけど なんか不思議だった


「?」


懐かしいとは確かに感じた

でもその顔は・・確かに美雪であって

面影も残っている

だけど大人っぽくなって

パッと見て少し分からなかった

髪が長くなったからってこともあるだろうけど


でもこの胸のモヤモヤはなんか消えない

もう一度日記を見てふと気付いた


七月七日・・・


まぁ七夕の日だった


引き離された男女が唯一会える日が

俺と美雪を引き裂いた日だなんて


美雪が死という決断をした日に俺は

何をしていたんだろう


「・・・・・・・・」


思い出した

あの幽霊と出会った日だった

いそいでもう一度写真を見た


あの幽霊と同じ顔だった


ただ 肌は水泳をやってる美雪とは違って

すごく青白かったし

元気いっぱいだけど なんかそうしてるのも

無理してやってるみたいだった


でも笑顔の眩しさは全くいっしょだった


そういえば俺があいつに本当に心を開いた

のもあの笑顔を見たからだった


あの幽霊は美雪だ・・


そして幽霊と別れた日を思い出した


俺は美雪の事を忘れて新しい恋に生きようとした

そういえばあいつはそれを一生懸命止めようとしてた


美雪は死んでまで俺に会いに来たのに・・


俺はそんな思いを知らないで・・


俺は墓場まで走った

涙で前は全然見えなかったけど


「ごめん!!」


俺は墓場の前でひたすらあやまった

俺の心とは違い 空は青く 風は緩やか

自然が俺を慰めてくれてたのかな







とまぁこんなことがあったわけだ

俺はまだ美雪のいた土地にいる


今は 夜


何をしているかって?


精霊流しって言って死者の魂を弔って

灯篭を川に流しているんだよ

お盆の時期だから


きっと君はもう俺の前には現れない

悲しみを背負ったまま天国へ行ってしまっただろうなぁ


引越ししてから 美雪として君に会ってなかったな

あの日さようならって言ったけど

連続でさようなら だね


そうそう


幽霊として別れた時にお前が最後に言った言葉

なんか 今ならわかる気がする


「カズ君なんか大嫌い」


かな

普通の言葉に思えるよな

でもこの言葉 昔美雪と喧嘩する時にいつも

言われてたことばなんだ

これを聞いた時はいつも傷ついていたよ

昔から 好きだったんだよ

だからあの時 この言葉を聞き取れていたら

あいつが何処かへ行ってしまうのを引き止めて

いただろう

そのセリフと声を聞くだけでなんか後悔してしまうんだ

そして幽霊が美雪だと分かってしまってただろう


光がだんだん小さくなっていく


すぐに消えないということは


俺も美雪も別れを惜しんでるんだろうな



時の輪廻か・・


来世で愛し合いたい・・か


そうだな

時がいくら経っても変らないこの満月の下で


いつか

初めての作品ですがシリアスに書いてみました。

今回は笑顔というテーマが少しあるんですけど

それを上手く表現できなかったのが心残りです。

読んでくれてありがとうございました

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― 新着の感想 ―
[一言] 始まりが軽い だからwebの読み物としては読みたいと思うけど本になったら買うか?といわれると微妙 でも全文しっかり読んでしまいました
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