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ドコダカ県ナントカ市イシコロ町 その1 ナカヤマさん

作者: 嗜虐

一部テンションが高いです。

会社員のナカヤマさんには、小さいころ、よくわからないものが見えた。

それは糸。手だとか足だとか頭の上に、糸があって人を吊るしてた。

だらり、と空中から垂れるヒトビトは、ナカヤマさんにとってはスンゴク怖かった。

だけれど、中には糸のついてない人もいたし、ナカヤマさん以外の人には糸なんて見えてないように見えた。


糸に吊られている人を動かしているのもそれぞれ違った。

ある人はお母さん、あるひとはお父さん。知らないオジサンに動かされてる人もいたし、アイドルのマキコちゃんに動かされてる人も見た。

いつだったかある日、ナカヤマさんは動かしている人に向かってオーイ、と大声を上げてみたことがあった。

確か、忙しそうなサラリーマンのオジサンを動かしていたオバサンにだ。

周りからはヘンな奴だって言われるし、向こうも反応してこなかったのでそれからはやめた。


不思議なのは、周りの奴らはほとんど糸に吊られていなかったことだ。

小学校のほとんどのセンセイやスーパーのオバチャン、クラスでもガリ勉のマルヤマなんかは糸に吊られていたけれど、

ナカヤマさんの周りのトモダチは全然糸には吊られていなかった。


中学生になっても、ナカヤマさんには糸が見えていた。

最初の方は、ナカヤマさんのクラスにも糸に吊られていない人が多かったけれど、

学校が進むに連れて、少しずつぶらり、と糸に吊られる人が増え始めた。


二年生になってからのある日のこと、それはやってきた。

来年はジュケンです!身を、引き締めましょう!…校長センセイが高らかに集会で喋る。

その日から、学校生活もつまらなくなった。親友のカメヤマくんは塾に通い始めた。

タカハシくんの家では家庭教師を雇い、マツオカくんはセイセキが悪くなると困ると焦っていた。

いつしかその三人は糸に吊られていた。

親からもテストデイイテントリナサイ、イイコウコウニイキナサイと言われ続けた。

ある日、ナカヤマさんには糸が見えなくなった。


高校、大学、就職と重なるうち、ナカヤマさんはそんなことをスッカリ忘れてしまっていました。

ふとある日、糸のことを思い出し、あれはなんだったんだろうと思った。

しかし。どうでもいいか、と思い仕事に向かった。


そう!まるで糸に吊られたマリオネットのように!!!!

ブラブラと地に足さえ着かぬまま!

糸に吊られた人間しかいない会社へ向かうのであった!!!!!!!!!

「少年、グリグリメガネを拾う」を聞きながら書きました。

曲と内容は関係ありません。

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