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家守りの猫  作者: 鮎川 了
9/11

猫とドロボウ






 その男はこともあろうに、マサルとエリの子供部屋……つまり、今はケンタとかいう小僧の勉強部屋の、ベランダの窓ガラスをガラス切りで切って入って来た。

 下の階にはママという女の人がいるはずだが、丁度ちょうど来客があったらしく、車の音や話し声で気が付かないらしい。

 凄くイヤな空気をまとった人間だ。

 これは“ドロボウ”とか“ゴウトウ”とか言う悪い人間に違いない。

 ……俺の家に何をする気だ……

 ……みんなの家を守らなくちゃ……


 俺に気付かず、部屋の中を物色している男の顔面目がけて飛び付くと、男はびっくりして一メートルぐらい飛び上がり、そのまま尻から床に落ち、しばらくその痛みで動けなかった。

 ……コノヤロウ!コノヤロウ!…… 

 俺はそいつの顔を目茶苦茶めちゃくちゃに引っ掻いた。

 人間を引っ掻いてはいけない。としつけられて来たが、悪い人間なら話は別だ。

 逃げようとするそいつの頭に飛びかかり、がっしり頭に爪を食い込ませ、さらに耳に噛み付いてやった。

 

 無我夢中むがむちゅうで、気付いた時は男はぐうの音も出なくなり、床に倒れ込んだ所をパパという男の人に押さえつけられていた。

 そしてもう一人、年寄りの男の人もパパと一緒に男を押さえつけている。

 あれ……?

 この年寄りの人……なんだかどこかで見たような。

 やがて紺色の服を着た“ケイサツ”の人達がドロボウを連れて行った。

 興奮こうふんした気持ちが冷めないまま、その様子を見ていると

 「虎太郎?」

 なつかしい、優しい声がした。








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