はじめ
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一日の授業を寝過ごしたせいで頭が痛いのに、かまわず一が話しかけてくる。
一は幼馴染みで性格は男みたい奴だが、膨らんだ胸に綺麗に整った顔付きは、黙ってれば美人の類だ。
こんな説明している時点で、美人に分類されてないと分かるわけだが。
「聞いてる!?」
「いや何ツーか陽の光が……うぅ、溶ける」
「吸血鬼かあんたは!」
「そのツッコミする人とか久しぶりだなぁ」
くだらないやり取りをして、やっと目が覚めてきた。
どうやら授業終わって結構時間過ぎてるらしく、教室を見回しても俺と一しかいなかった。
いつもながら思うが、何のために俺は学校に来ているのだろう?
いや、不思議不思議。
「んで、どーなの?」
「何が?」
誰も戸締りをしない教室は、夕日に赤く染まっていた。
きれいだなぁ、と思いながら徐々に覚醒に近づく。
寝起きで体が熱かったが、窓から入る風が程よく体を冷ましてくれた。
まぁ、対照的に熱を上げている目の前の女性に若干肝も冷やしているのだが。
「遊びに行っていいかなって聞いてるんだけどなぁ、お姉さん?」
すこしキレ気味の顔でにらんでくる一、しかし今日ははずせない約束があった気がしたんだよなぁ。
俺の足を小刻みに蹴ってくる一を無視して、とりあえず大事な約束を思い出す。
たしか、雀とビデオを……ジャンルはたしか?
……やばい、雀とのAV鑑賞会だよ今日。
「ごめんねぇ、今日は雀君と遊ぶ予定が―。」
「雀?ならいいよね、私もいくから」
何ー!?
「ちょっ、えっ!?」
「んじゃ、さっさと帰ろ?」
一の侵入阻止を必死に考える俺に対し、一は俺に笑いかける。
……反則だよ、惚れた女の笑顔って
しょうがない、雀に普通の映画借りてくるよう頼んどこう。
そんな日常のひと時が、あんなに大切とはその時はまだ思いもしなかった。