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死闘!白銀の槍

拝啓 爺さん

今日僕は死ぬかもしれません

あなたのせいで―――

手短に説明しようと思う、この状況を。

むしろ、この状況がいたって簡潔なため、それ以上の説明が出来ないです。

本当に簡潔だよ、うん。

ボクハ今、命ヲ狙ワレテマス

「ナンデヤネ〜ン!なんで俺が狙われてるんだよ!?」

後ろに迫る槍の気配に体をよじると、ついさっき顔があった所を抜けてすぐ横の木に銀色の凶器がささった。

冗談じゃない、なんでアイツに命を狙われなければなんないんだよ!

「上手く避けたな……だが、次は外さん」

 そう言ってナイトは槍を『創造』した。

 どうやらナイトの『創造』は自分の槍を手元に戻す力で、どちらかというと転送のような力らしい。

 かといって、それを知ってこの状況がどうなるわけでもない。

 事実、奴の槍を捨ててしまえばいいと思い沼に捨てれば、次の瞬間俺の左耳をかすめ、ナイトの槍を捕まえてしまえばいい思いって槍をつかんで逃走すれば、いつの間にか俺の手からは槍は消え、次の瞬間には俺の足元に飛んでくる。

 どうやら場所や状況にかかわらず、槍だけが手元に帰ってくるらしい。

 聞いてみれば地味な能力だと思うでしょう?そう思った方は俺と交代してください。

「シヌゥウウ!」

 という感じになりますから、確実に。

「ちょっと待てナイト!何で俺が狙われてんだよ!?敵でもないだろ俺たち!?」

 いい加減走り回るのに疲れて(ちなみにナイトは馬の上)俺はナイトに向かい合った。

 ナイトとの距離は馬と人間の脚力の差からもともと無いようなもので、むしろ今まで少しリードできていた俺が若干人外くらいの実力だと思う。

 その超至近距離から再び鋭い風きり音と共に放たれる銀色の凶器。

「しぬからぁあぁ!」

 ブリッジの状態でぎりぎり避けると、バク転の要領で距離をとる。

「意外としぶといな……」

「いやいやナイトさん!落ち着いて!俺を狙わないで!つかなんで狙うの!?敵じゃないでしょ!友達でしょ!」

「うむ、その件なんだがな……俺は別にお前を殺したくも無い、確かに俺たちは友人だしな」

「だったらなぜ狙う!?」

「国王の命だから逆らえん」

「あの……糞ジジィイィイイィ!」

 うっそうと茂る木々の葉に、にやりと笑う爺さんが見えた気がした。

「まぁそういうことで、死ね」

「躊躇0ですか!?」

 今度は俺の右耳をかすりながら槍は彼方へ飛んでいった。

 が、経験上どこに飛んでも関係ない、槍は瞬時にナイトの手に『創造』される。

 死ぬ!死んでしまう!ナイトは武将だから現代っ子の俺には想像できない武芸の腕だ。

 このままじゃほんとに死ぬ!

 再び逃走を始めた僕は昔の経験を生かし、ツタを避け、枝をくぐり、障害物を利用しナイトとの距離を広げる。

 その経験もあのクソジジイに作られたことだった。

 あれ?俺って爺さんいないほうが幸せじゃない?

 そんな事を考えたのがいけなかったのかもしれない。木の根が俺の脚をすくい、俺をこけさせた。

 今の状況からいうと最悪としかいえない。

 事実、その瞬間に俺の髪の毛を切りながら白い閃光が空を走っていった。

枝や、落ち葉を踏みしめる音と共に近づいてきた白馬を地べたに這い蹲りながら仰ぎ見た。

そこにあるのは絶望、しかしこの時俺はその光景に一条の光明を見た。

 その光明にすがりつくように俺は立ち上がると、俺は再び正面からナイトを見る。

「覚悟ができたのか?」

 答えを返してやる余裕などない、俺は必死にアソコまでの逃走経路を練っていた。

ナイトの手には先程投げたばかりの白き槍。

おそらく、アソコは奴の攻撃範囲だろう。しかし、他に逃げ道は考えられない。

ならばどうすればいい?

簡単なこと、ナイトが攻撃できなくなればいい。

 チャンスは一度だ。たぶん、ばれたら次はない。

「王の命により!その命頂戴!」

 振り投げられた槍が俺を襲う。このコースは俺の頭蓋を狙っている。

 しかし、頭なんていうのは人間の体では小さな的のようなものだ。

俺は、ナイトの槍をギリギリ見切って馬の目の前に飛び込む。

 予想外の動きに戸惑うナイトの姿が馬の上に見えた。

 しかし、それ以上に驚くのは馬である。急激に近寄り俺の殺意にまで似た気迫を与えたため、訓練された馬といえど混乱せずに入られなかったのだろう。

 結果、馬のとった行動は、前足を大きく天に上げる動作。

「うぉ!?」

 馬の混乱によりナイトの体制は崩れ、更には馬の胴で俺の姿が見えなくなる。

「これを待っていたんだ!」

 俺はそう叫ぶと、一気に馬の足元に駆け込む。

 そう、俺が企てた計画はナイトに対するものではなく、彼の馬に対するものだった。

 人馬一体、それは現代においても高く評価されることだが、それ以上に馬に依存し隙を生みやすい。

 この隙も意味もなく作ったものではない、俺が狙っていたのは先ほど見つけた逃走経路だ。

 それは地面に空く穴、多分風穴だろう。

 日本における富士の樹海に多く見られる風穴は、溶岩が固まってできたらしい。

 崩れやすいうえ、ほとんどが一個の穴としていることが多く、落ちたら大抵氏を覚悟するといい。

 しかし、他の風穴に繋がっている例もあった。

 つーか体験したことがあった。

 あの時は爺さんに富士樹海に投げ込まれて、偶然空いてた風穴にナイスイン♪

 持っていた荷物の中から懐中電灯出して、風穴内をさまよった。

 偶然出口が横穴だったから良かったけど、直下型だったらどうなってたんだろうか。

 話がずれたけど、結論から言えばこうなるのだろう。

 確実な死よりわずかな可能性にかける。

 まぁいざとなったらロープもあるし、脱出できるんじゃないかな?

 どーやってロープ設置するかは知らないけどね。

 ……絶望か。

 ナイトに存在を気づかれないよう、無言で穴に身を滑らす。

 そういえば、雀と一はどうしたんだろう?

 意外と深い穴を滑り落ちながら俺はそんな事を考えていた。

 光の見えるほうからはナイトの戸惑う声が聞こえた。

「悪ふざけが過ぎたか!?やばい!あいつが消えると……」

 ……悪ふざけだったのかよ、んじゃ雀と一は城の中だろうな。

 おふざけで死の危険に陥ったのかと苦悩する暇もなく足は地に着いた。

 どうやらそこまで深くはない、だけどロープは届かない。

 そんな場所に下りてしまったらしい。

「はぁ……」

 ため息をこらえきれずに吐くと、俺が落ちてきた穴を見上げる。

 一応光は届いているが、この先は今俺の目の前にある闇の中を進むしかないだろう。

 しょうがない、どうやら今日は探検だ。

 幸い、風を感じるから出口はあるだろう。

「こういう時だけ、爺さんに感謝だな」

 トラウマによる経験、技術を武器に俺は闇という化け物と戦うことを決めた。


いつも読んで下さってくださるあなたに感謝……

貴方ですよ!そこの貴方!

このページはこれを呼んでいる貴方に対する感謝の気持ちなのです。

それとペース遅いっすかね?

まぁ遅いとは思っているのですが、よろしければ意見をください。

できる限り善処してきます(^^)

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