外伝エピソード:カナタ、マスコット協議会へ行く
ある日、カナタはミュンに誘われて――というより、ほぼ強引に引っ張られる形で、ミュンの職場である「マスコット協議会本部」へと足を踏み入れた。
カナタ「わあ……すごい!いろんなマスコットがいっぱい!」
目の前には、地域ごとに配属された個性豊かなマスコットたちが勢揃いしている。
ぬいぐるみのようにまんまるでかわいらしいものから、ムキムキの筋肉質タイプ、さらには空を飛ぶものや水中を自在に泳ぐ者まで――多種多様だ。
しかし、そんな彼らの視線はどこかよそよそしく、少し警戒を感じさせるものだった。
「話題の魔法少女が来たらしい」
「元男だって噂、聞いた?」
「人間界でかなり有名な子らしいよ」
ざわざわとざわめき、ヒソヒソと囁き合う声が広がる。
――正直、賛否は大きく分かれていたのだ。
だが、カナタはそんな空気などおかまいなしに、屈託のない笑顔で明るく挨拶を繰り返す。
カナタ「こんにちは!よろしくね!この飴、とっても美味しいから、よかったら食べてみて!」
初めは戸惑っていたマスコットたちも、その人懐っこさと優しい心遣いに次第に心を開いていく。
小さな転んだマスコットには、そっと絆創膏を貼り、
重い書類を抱えて困っている者には手を貸し、
緊張して言葉が詰まっている新人には優しく声をかけ、
「大丈夫だよ、深呼吸してみよう?」と静かに手を添える。
気づけば昼休みの休憩時間は、いつの間にかカナタを囲むマスコットたちの笑い声と話し声であふれ返っていた。
やがて帰る時間が近づくと、マスコットたちは名残惜しそうに声をかける。
マスコットA「もう帰っちゃうの?」
マスコットB「明日もまた来てくれる?」
マスコットC「スカウト、してもいいですか!?」
中には涙ぐんで抱きつく者もいて、その光景にカナタも少し照れくさそうに笑みを浮かべる。
そんな彼女の様子を遠くから見守るミュンは、ひとりぽつりと呟いた。
ミュン「……遂にここも落としたミュンか……」
――まったく、うちの娘はどこまでモテるミュン!
そしてカナタの笑顔は、マスコットたちの心に小さな光を灯し続けていた。
蛇足エピソード:それでも、諦めてたまるもんですか!
カナタと零はついに結ばれた——
だが!その裏側では、まだ“戦い”が終わってはいなかったのだ!
夜のビルの屋上。満月を背にして佇む二人の少女の影が揺れている。
??「諦めろだと?バカ言っちゃ困るわね……」
????「むしろ、ここからが本番ですわよ……ふふふ……」
風に揺れるスカート。ぎゅっと握りしめられた拳が静かに震える。
美香「意地でも諦めてたまるもんですか!いざとなったら……生やす!!」
アンジェ「わたくしも負けませんわ!諦めません!いざとなったら……愛人でも構いませんのよ!!」
その瞬間——
一方、カナタは自宅のこたつでみかんをほおばりながら、突然背筋に悪寒が走る。
カナタ「な、なに今の悪寒……?」
横で雑誌を読んでいたミュンが、クスクスと笑いながら言った。
ミュン「こいつらはいつまでたっても……変わらんミュンね……」
そして、どこか別の場所で、恋と執念のドタバタ劇がまた幕を開けるのだった——!




