第31話「愛情レシピはスパルタ味!?」
──放課後。カナタの家のキッチンに、妙な緊張感が漂っていた。
(エプロン姿の美香、アンジェ。頭には三角巾。ミュンは鍋のフチに退避中)
美香「……カナタの胃袋を掴むには……やっぱ料理よ!恋の基本ってやつ!」
アンジェ「フッ、庶民もたまには良いことを言いますわね。
わたくしの“優雅で完璧なお料理”で、カナタさんを陥落させて差し上げますわ!」
ミュン「……なんか、嫌な予感しかしないミュン……」
(数時間後)
美香「なにこれ……なんで……黒いの?これホワイトシチューのはずだったんだけど……」
アンジェ「わたくしも、レシピ通りに“炎を見つめながら愛情込めて混ぜた”はずなのに……なぜ爆発音が……」
ミュン(おそるおそる覗き込む)「これ……食品なのミュン……?
なんか魔力反応、出てるミュン……」
(食卓)
カナタ「わぁ!美香ちゃんとアンジェちゃんが作ってくれたんだ~!すっごく嬉しいっ♪ いただきますっ!」
(もぐっ……もぐもぐ……)
美香「カナタ!?ストップ!今すぐ吐き出して!それ、食べ物じゃないから!」
アンジェ「そうですわ!あれはもう“料理”ではなく錬金の失敗作ですのよ!?危険すぎますわ!!」
カナタ(にっこり)「そんなことないよ?二人が私のために頑張って作ってくれたんだもん。
それだけで、もうすっごく美味しいよっ♪」
(見てるこちらが泣きそうな、満面の笑顔)
(沈黙。……そしてぽろぽろと涙を流すふたり)
美香「……バカ……ほんと、バカだよあんた……
そんなこと言われたら……もっと、もっと好きになっちゃうじゃん……」
アンジェ「……こんな……優しくて、真っ直ぐで……
ああもう……惚れ直してしまいますわ……」
(ミュン、さりげなくカメラで撮影)
ミュン「尊いミュン……これは“恋の爆発的感情放出シーン”として永久保存ミュン……」
(その夜・帰り道)
美香「……マジで、ちゃんと料理教室、通おうかな。包丁の持ち方から、ちゃんと……」
アンジェ「……わたくし、フランス料理の専門書、取り寄せますわ。
……次こそは、ミシュラン級の料理で、カナタさんをノックアウトしてみせますわ」
ミュン「(……二人の闘志に、ついに火がついたミュン……!
恋は戦争。キッチンは戦場ミュン!)」




