第21話「この涙が、君を救うなら」
異世界・終末の城。禍々しい魔力が渦巻く戦場にて――)
四天王A「俺たちの出番は!?今こそ“ヤツは四天王の中でも最弱…”って言うところじゃ――」
ナレーション「――尺の都合によりカットです」
四天王たち「そんなぁ!?こっちにもキャラ設定あったのにぃぃ!!」
(※四天王は背景モブのように消える)
【激闘、魔神との対峙】
バルゼア=ネメシスの力は、常識を超えていた。
異様な気圧、空間を圧する魔力の奔流。
カナタたちは必死に抗うが――その差は、あまりにも大きかった。
カナタ「こんな……がんばってるのに……!なのに、まるで歯が立たない……!」
バルゼア「フン。無価値なる“魔法少女”よ。貴様の力など、我が爪弾きにすら劣る」
(魔神の手が掲げられる。巨大な魔力弾がカナタめがけて放たれる!)
ミュン「カナター!!避けるミュン!!死んじゃうミュン!!」
――その瞬間。
ドンッ!!
重く、何かがカナタの前に立ちはだかった。
カナタ「……え?」
(目の前に立つのは――血に濡れた、西園寺零)
カナタ「に、西園寺くん……!?」
バルゼア「なに……!?この攻撃を、真正面から庇っただと……!?」
(西園寺、胸を貫かれながらも、静かに振り返る)
西園寺「……無事……かよ?」
カナタ「うそ……なんで……どうして私なんかのために……!」
西園寺「女を守るのは……当然だろ……。ちと……ヘマしちまった……かな……」
(膝をつき、崩れ落ちる西園寺。その姿に、カナタの手が震える)
カナタ「いや……やだよ……!そんなのって……!やっと、やっと伝えられると思ったのに……!」
【その瞬間】
カナタの頬から零れた涙が、西園寺の胸元に触れた時――
――黄金の光が、彼女の身体を包む。
ミュン「な、なんだミュン!?これはただの魔力暴走じゃないミュン……」
アンジェ「いいえ……これは“覚醒”よ!魔力が……一段階、いや次元ごと変質している……!」
(カナタの胸の宝石が輝き、空中に舞い上がる。指先が、西園寺の傷へと伸びる)
カナタ「お願い……西園寺くん……治って……!生きて……もう一度、笑って……!」
(彼女の手から放たれた光が、西園寺の全身を包む。傷だけでなく、その魂すら癒すように――)
美香「これ……回復魔法ってレベルじゃない……!魂に届いてる……。いったい何が……」
【そして】
数秒後――
西園寺のまぶたが、ゆっくりと持ち上がる。
西園寺「……起きたばかりで悪いが……どんだけ泣いてんだ、お前」
カナタ「うわああああん!!よかったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
(そのまま西園寺にしがみつくカナタ)
ミュン「……惚れる惚れたの次元じゃないミュン……こりゃもう“少女漫画の最終巻”ミュン……!」
アンジェ「っていうか、ほんとに“魔法少女”でしたわよね……?カナタさんって……」
美香「もはやカテゴリ詐欺どころか、ジャンルすら変わってんじゃね……?」




