表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/41

第20話「魔神の名はバルゼア=ネメシス」

王城――重厚な扉が軋む音とともに開かれ、一行は玉座の間へと導かれた。


頭上には天井画、赤い絨毯の先には金と宝石に彩られた玉座。そしてその中心に、王は座していた。


その背後では、召喚陣がまだほのかに光を残している。


王「西園寺零。貴様を再びこの地へ召喚したのは他でもない。貴様が、魔王を倒せた唯一の者だからだ」


西園寺「……随分と都合のいい話だな」


その声には怒りも、皮肉も、もう込められていなかった。ただ、凍てつくような静けさがあった。


美香「は!?ちょっとアンタら……この人を“無能”って捨てといて、今さら何ほざいてんのよ!!」


カナタ「そ、そうだよ!!西園寺くんは……西園寺くんは……あんなに辛い思いして……!」


ミュン「まさかとは思ったけど、再召喚の理由が最悪だったミュン……!人の心どこに落としてきたミュン……!」


王は顔色一つ変えずに続ける。


王「……奴が現れたのだ。“魔神バルゼア=ネメシス”。」


重い空気が、玉座の間に降りた。


臣下「魔王など比にならぬ……この世界を滅ぼしかねぬ、原初の災厄です。我が軍の勇者たちも、次々と倒されました。もはや頼れるのは貴方しか……!」


西園寺「で、勝手に呼び戻したと。魔王には手を出せず、魔神にも負けそうになって……そのツケを、また俺に払わせるか」


カナタ「……西園寺くん……それでも、戦うの?」


一瞬の沈黙のあと、彼は静かに背を向けた。


西園寺「……魔王を倒したのは、俺の“ケジメ”だった。だが――」


一歩、歩を進める。


西園寺「今度の“魔神”は、お前らの“罪”だ。……だがな、それでも――」


彼は背中越しに言い切った。


西園寺「俺がやらなきゃ、誰も止められねぇ。だから、俺がやる。ただそれだけだ」


空気が、凍りついた。


誰もがその背中を、言葉もなく見つめていた。


【一方その頃、魔神の城】

異世界の空の底、黒い雷が渦巻く天空の城。禍々しい尖塔に立つのは、一人の男――魔神バルゼア=ネメシス。


バルゼア「……フフフ。また来るのか。“あの男”が……忌まわしき“失格の勇者”が……」


側近の怪人が、片手にあめ玉を持ちながら問いかけた。


怪人「ボス、今度はどんな悪事しましょうか?子供のあめちゃん奪います?それとも温泉地を買い占め――」


バルゼア「今はギャグパート控えろ。我は忙しい」


怪人「ひっ、す、すいません!」


バルゼアの目が、虚空の彼方――かつて己を葬った“拳”の主を捉えていた。


バルゼア「来い、西園寺零……。この世界ごと、貴様に絶望を刻んでやろう――」


【そして、決意の時】

重く、鋭く、時は流れ――。


焚き火の前。語り終えた西園寺の背中に、カナタがそっと声をかける。


カナタ「でも……僕も、戦うよ。西園寺くんと一緒に。僕だって、もう逃げない」


アンジェ「……カナタさんが男の子だったとか、もうどうでもよくなってきましたわね……。今は“誰が戦えるか”の話ですもの」


ミュン「いよいよ話がシリアス成分多めミュン!ここまで来るとはミュン……タイトル詐欺になりそうミュン!」


カナタ「いいんだ……タイトルなんて……この拳で変えてやるッ!!」


ミュン「誰の影響受けたミュン!!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ