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第14話「平和ボケ怪人、茶とカステラと時々ミュン」

【怪人協会・秘密地下本部】


(和風の座敷。ちゃぶ台には湯呑、急須、そして丁寧に切られたカステラ。静かな尺八BGMが流れていそうな空間)


怪人A(スーツに獣顔)「……ふぅ。茶が旨いなぁ……」


 獣の顔をしたスーツ姿の怪人Aが、上品に湯呑を口に運ぶ。


怪人B(ムキムキ魚)「やっぱ静岡茶っすよねぇ〜。この渋みと香り、たまんないっす」


怪人C(モヤモヤ系)「あ、この前なんか市民に“あ、茶飲み怪人だ!”って言われたっす。

 ウケますよね〜、俺たち最近、戦ってないのに〜」


怪人A「……なにぃ!? そんな噂が……まあ、でも否定はできんかぁ~……。

 それよりこのカステラ、うめぇな。どこで買った?」


怪人C「通販でっす! “昭和百年・老舗堂々屋”のやつっすよ。職人の魂っすよコレ」


怪人B「ぶっちゃけっすけど、怪人業よりカフェ経営のが向いてません?

 “和怪茶屋・カステラン”とかどうっすか」


怪人A「……それなぁ~~~」

(ちゃぶ台囲んで全員で頷く)


【そのころ・カナタの部屋】


ミュン「――ちょっと待つミュン!! 怪人協会、なにやってるミュン!?

 怪人出現ゼロ日数、20日連続更新中ミュン!!このままだと魔法少女の出番も消えるミュン!!」


 カナタ、ソファでポテチを食べながらごろり。


カナタ「それはそれで……平和でいいんじゃない?」


ミュン「よくないミュン!! 平和すぎるとアニメの尺が余るミュン!!

 なんならこの回も背景固定ミュン! 作画班がピクニック行ってる気配すらあるミュン!!」


カナタ「……ミュン、すごくメタいし荒れてるよ?」


ミュン「だって! 怪人も怪獣も出ないまま、魔法少女モノが“ゆる日常系”に転職してるミュン!!」


【再び・怪人協会】


 ちゃぶ台では第二ラウンドのお茶会が始まっている。今度は梅干しと漬物が登場。


怪人A「……ところで最近、魔法少女カナタってやつ、性別変わったってウワサあるな」


怪人C「マジっすか!? トレンド乗ってますねぇ〜。さすが今どきの魔法少女っすよ」


怪人B「てか、あの子が唯一の敵なんすよね……。あの子倒したら、また何もやることなくなるなぁ……」


怪人A「まぁ、倒すのはまだいいか。今は平和を楽しもう。カステラ、もう一切れいくか?」


全員「はーい♪」


 ちゃぶ台に再び笑顔が広がる。

 ここに、世界征服の気配は……一切なかった。


【その夜・カナタの部屋】


ミュン「……いいミュン……分かったミュン……

 だったら、ミュンが怪人をプロデュースして出撃させるミュン……」


カナタ「えぇ……!? それもう“敵側の立場”じゃない……?」


ミュン「作品を成立させるために、倫理は時に超越されるミュン……(真顔)」


カナタ「こわいよミュン……」

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