第13話「女子力が天元突破!?魔法少女の家庭力(物理)」
【夕暮れ・カナタの部屋】
ミュン「ふぃ〜……やっと帰ってこれたミュン……
会議、カオスすぎて胃が痛いミュン……。
てか“モデルケース:性転換済み男子魔法少女”って何ミュン……誰のせいミュン……」
ヨロヨロと靴を脱ぎながら、ぐったりとするミュン。
玄関から入ったその瞬間――
ガチャ。
カナタ「おかえりなさ〜い、ミュン!」
ミュン「……ん?」
そこにはエプロン姿で笑顔を振りまく、
理想の“新妻(魔法少女)”が一人。
カナタ「ご飯できてるよ!今日は煮込みハンバーグ!
お風呂もわかしてあるし、マッサージもしてあげるね!」
ミュン「………誰……ミュン?」
カナタ「なに言ってるの〜、私だよっ!」
キラッとウィンク。
もう完全に“主婦歴15年”の貫禄すらある。
ミュン「………最近、女子力が暴力的ミュン……!!」
【数分後・お風呂タイム】
バスルームの湯気の中、あひるのおもちゃに囲まれて――
ミュン「ふぃ〜〜〜……極楽ミュン……。
会議で削られたSAN値が回復していくミュン……」
外から優しい声がかかる。
カナタ「ミューン?湯冷めしないようにね〜。
バスタオル、温めておいたから♡」
ミュン「は〜〜いミュン……ってなんか母性まで感じるミュン……」
【その後・マッサージタイム】
ミュン、ふかふかの布団に大の字。
カナタは白いエプロン姿のまま、背中にまたがり――
カナタ「はい、肩凝ってるね〜。毎日お疲れさま〜」
ミュン「んっ……そこそこ……って、ウマいミュン!?
マジでプロミュン!?揉み返し来ない系ミュン!?
てか女子力で……オーバーキルミュン……!」
カナタ「えへへ、嬉しい? 今日ね、“女の子としての家庭力”ってテーマで
お料理配信も見てたの。西園寺くんに作る練習っ♡」
ミュン「惚気てるミュン!?
でももうどうでもいいミュン……癒されればすべて良しミュン……」
【深夜・布団の中】
ミュン、布団に包まりながら、目だけランランと起きている。
ミュン(心の声)
「……こういうのも、悪くないミュンな……」
隣で寝息を立てるカナタ。
その表情は穏やかで、幸せそうで――
カナタ「おやすみ、ミュン……♡」
ミュン「……うん。おやすみミュン……」
静かな夜。平和な時間。
だが――
ミュン「――って、ちょっと待つミュン!!」
ガバッと布団から飛び起き、目をぎらつかせるミュン。
ミュン「オチがないミュン!?
オチも怪人も暴走もないミュン!?
ボケしかいない空間、ツッコミ魂が干からびるミュン~~~!!」
――その悲鳴は、夜空へと虚しく響いた。




