MA CHÉRIE ririko
昨夜、椿くんのお母さんから連絡をもらった。
〜解説的振り返り〜
「りり子ちゃん、今日、椿くんが帰ってくるの。 それでね、明日の十一時三十分頃って大丈夫?」
「はい、美術部が十一時迄なので、大丈夫です」
「よかった。それじゃ十一時三十分に椿くんを第二公園に行かせるわね」
「はい、ありがとうございます」
「うん、それでね。城紙家の都合で離れ離れにさせちゃったけど、椿くんを簡単に許しちゃダメよ?」
「え?」
「だってそうでしょ? りり子ちゃんは椿くんに会えなくて辛かったでしょ? 男の子は女の子の涙に弱いからね。いい? 椿くんを少しでいいから困らせてあげてね」
「は、はい。出来るかわからないけど…わかりました」
〜振り返り終了〜
「りり、帰ろ!」
「あ、あの今日はちょっと…」
「なんかあるの?」
「えっと…」
「え? もしかして、例の彼が見つかったの!?」
「いや、ちがっ! そう…美和、声が大きいよ…」
「ごめんごめん! わかった! 夜にでも報告してね! 絶対だよ!」
「うん」
もう、みんなに聞かれちゃったじゃん!
学校から公園までは十五分くらい。
早めに行こうかな。
あっ、ダメだ。
椿くんを困らせるんだ。
でも、寒いから可哀想かな…。
あっ! やばいこんな時間! 行かなきゃ!
☆ ☆ ☆
うぅ、寒い。
嬉しすぎて早く来てしまった。
何を話そうかな?
まずは謝らないと。
それと…。
あっ、来た。
りりちゃんの歩き方だ。
この優しい気配…。
「椿くん」
りりちゃんの声…。
やばい!
涙が…。
「りりちゃん」
あっ、りりちゃんも涙が…。
「バカ!」
「え? いきなり?」
「救急車で運ばれたと思ったら、そのまま消えて!」
「ごめん…」
「許さない! バカ!」
「許して?」
「許さないから!」
「ごめん。 もうどこにも行かないよ」
「許さないってば!」
りりちゃんは泣きながら私の胸をポカポカと叩いている。
あぁ、りりちゃん可愛すぎですぞ?
「りりちゃん、大好き」
「バカ! 大嫌い!」
ポカポカ。
ポカポカ。
↑
椿の胸を叩いている音
「大嫌い!」
ポカポカ。
ポカポカ。
↑
椿の胸を尚も叩いている音
「りりちゃんごめんね?」
「許さない! 大嫌い!」
ポカポカ。
ポカポカ。
↑
椿の胸を未だ叩いている音
「もう、大好きだよ。 椿くん…」
「ありがとう。 俺もりりちゃんが大好きだ」
「バカ…」