表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

 Little girl in side the see 深海少女


八神やがみ りり子 13才。〇〇中学に通う一年生だ。精神的に病んでいるようなら、彼のことを話しても構わん。ただあまり深くは教えるな。来季からは彼も普通の学生に戻るからな。まぁ普通ではないけど…」

「はい、かしこまりました。お父様」

「それと、お前も彼のことをだいぶ気にかけているようだが、わかっているな」

「大丈夫です。あの時は気の迷いでした」

「それならいい。それじゃ頼んだぞ」

「はい」


 ふぅ…。

 椿くん帰ってくるのかぁ。

 あの時、救急車の中で私のことを『ペルちゃん』と呼んでいたのよね。

 しかも女の子みたいな口調だった。

 PTSDという訳ではなさそうだし、それに葬儀の時の大人びた口調。

 あの子、何か引っかかるわね…。


 ペルセポネィ。

 この世界を統べる女神。


「まさかねぇ」




      ☆ ☆ ☆




「おはよう、りり。」

「おはよう」

「どうした? 暗いぞ?」

「いや、別に…」


 椿くん…。


「ねえ、りり。私の家でクリパをやろうと思うけど、りりも来ない?」

「うぅん」

「あぁもぉ! りりは強制参加! わかった?」

「う、うん。わかった」


 椿くん、あれからどうしたのかな…。

 椿くんが住んでいた家、無くなっちゃったし。

 でも、新しい家の表札は城紙ってなっていた。

 椿くんの親戚かな?

 優しそうなオジサンとオバサンだったな。女の子もいた。


 やだ、私ってストーカーみたいじゃん!?


「おーい。八神ー? どうしたー? 出欠の時に返事しないと欠席にするぞー?」

「す、すみません!」


 あぁもう、どんどん根暗になっちゃう。 椿くんのせいだ!



 その日の放課後。

 私は部活の美術部にいた。


「八神いるかー?」

「はい」

「ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいか?」

「はい」

「部活中に悪いね、職員室なんだけど来てくれ」


 沢田先生…。

 小学校の時の椿くんの担任だった先生。

 今は私の担任。

 先生だったら何か知っているかな?

 聞いちゃおうかな。

 一年以上前のこと、変な女と思われちゃうかな…。


「心ここにあらずだな? どうした?」

「あの。いえ、別に…」


 大丈夫か八神?

 こりゃ重症だな…。

 これ以上は無理だな。


「ここだ、入ってくれ」

「生活指導室?」

「はい座って」

「失礼します」

「あーいい、いい。かしこまるな、私しかいないんだから」

「はい」

「暗いなぁ…。そんなんじゃ城紙くんに嫌われちゃうぞ?」

「先生には関係ないじゃない! あっすみません…」

「そんな事を私に言っちゃっていいのかな?」

「なにがですか!?」


 ヤバ、この子の逆鱗か?


「年末にこっちに帰ってくるってさ、愛しの椿くん。来季からはこの中学だ。良かったねぇ、りり子ちゃん?」


 突然、立ち上がる八神りり子。


「っておい、八神? どうした?」


 恥ずかしい…。

 声に出ちゃっている…。

 大声になっている…。

 大声で泣いちゃっている…。

 もうダメ、我慢できない!


「ちょっ? 八神? お前、泣きすぎ!?」


 トントン。 カチャ。


「沢田先生? どうしました?」

「いやちょっと、この子の不安要素を取り除いた結果でして」

「はぁ? なんで大泣きしているんですか?」


「うわーん! 嬉しいんです~!」

「八神、お前どんだけだよ? ひくわぁ…」

 



 その日、私は美術部には戻らず、先生に美術室からバッグを持ってきてもらい、帰宅をした。

 帰り道、私は椿くんの家の前を通ってみる。

 ここに帰ってくるんだ。


「家に用事?」

「あっ、いえ」

 やばい、この家の人だ!

「ん? もしかして八神 りり子ちゃん?」

 

 え? なんで?


「はい」

「やっぱり! 椿くんは今月の26日か27日に帰ってくるわよ。帰ってきたら連絡させるわね」

「あっ、はい」

「それともサプライズで家に行かせようか? あはは、なーんてね。 それじゃ連絡をさせますね」

「はい、お願いします」


 やったー!

 椿くん、待ってるよ!







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ