Revival from the dead 起死回生
空腹:くうふく【空腹】
《名ノナ》
腹がすくこと。すきばら。
はーい。
今の私はこの状態でーす。
しかし参ったぞ!
動けない…。
ここまでの空腹は、前の前の世界での遠征の時でもなかったぞ!?
これはもしかして、児童虐待なのでは?
しかも、水浴びもさせてもらえないから、臭いよな…。
だってさぁ、小声で聞こえるんだよね…。
『城紙クッセー!!』
てね。
女性に向かってクッセーとか言ってんじゃねぇぞ!? クソガキどもが!!
って、私、男だったぁー!!
あぁマジクソヤバい!
今日は目眩が酷いぞ?
気を張っていないと、今にも気絶しそう…。
そうだ水。
水を飲んで紛らわすか…。
私はそう思い、席を立つ。 が、それを最後に記憶を失った…。
どのくらいの時間が経過したのだろう…。
耳に突き刺さるサイレンの音…。
そんな中、ペルちゃんが私を見下ろしている。
ペルちゃんは泣いているようにも見える…。
「ペルちゃん…私…もう無理…もう楽にさせて…もう…終わらせて…お願い…」
あぁ…ペルちゃん、なんか叫んでいるね…。
流石に今回は辛すぎだわ…。
役に立たなくて悪いね…。
☆ ☆ ☆
あれ?
どこだ?
誰だ?
騒がしいな…。
「キサマがやっている事はただの虐待だ! とにかく椿は俺が育てる! お祖父様の許可も貰っている、キサマらに城紙の名を語る資格はない! とっとと日本から出ていけ!!」
おっと?
何だか穏やかじゃないな?
城紙の名って、名家かよ!?
スッゲーな城紙家。
って、私か?
城紙家って名家なの?
なんか、普通の家だったけど?
「椿、目が覚めたか? 俺の事は覚えているか?」
ん?
何だこのイケオジは?
んー。
見覚えがあるような、無いような?
「覚えていないよな。俺はお前の父親の従兄弟で晋太郎だ。ずっとお前を探していたんだ。もう、あんな惨めな生活はさせない。約束する。うちに来て、これからは一緒に暮らそう」
父さんの従兄弟?
聞いた事がないな…。
てか、引っ越すのか?
りりちゃんと離れたくないな…。
あれ?
私、りりちゃんの事が大好きか?
いやまあ、大好きだよな…。
あぁ、ガチでりりちゃんとは離れたくないな…。
「えっと、一緒に暮らすんですか?」
「ああ」
「あの…。朝だけでいいので、何か食べさせて貰っても良いですか?」
晋太郎と名のる人は驚いた顔をしている。
「何を言っているんだ? 人間は朝と昼と夜にご飯を食べるんだぞ?」
いや、知ってるから。
それが貰えないから、頼んでいるんじゃないか!
「あの、城紙さん」
入り口から沢田先生が話しかけてきた。
てか、先生いたんかーい。
「実は私、椿くんを引き取ろうと思っていたんです。椿くんが受けている酷い仕打ちを警察に言っても聞いてもらえず、児童相談所さえ聞く耳を持ってくれなくて…」
「沢田先生。実は沢田先生が色々と手を打っていた事は昨日知りました。実は私以上に私の父が椿を探しておりまして、最終的には私が見つけたのですが。父は沢田先生が椿の事を誰よりも想ってくれていたことも存じております。ですが、我が城紙家は父ともども椿を立派な大人に育てます。その辺はご心配なさらず、これからも教師として椿のご指導をお願い致します」
うーん。
私が蚊帳の外で話が進んでおりますな?
ところで、先ほどの朝ごはんだけでも、の件はどうなんだい?
そして、りりちゃんとは別の学校になるんですかい?
はあ…。
何か食べたい…。