ギルドでは
前のエピソードでS級の冒険者と書きましたが修正して傭兵としました。
気分が優れない顔をした男を少女たちが宿屋に送り、見送った女たちは囁き声から一転男のことで盛り上がった。
「男がギルドに来るなんていつ以来よ」
「依頼に来たのかな?普通は直接来るのなんてないからギルド初心者?」
「いや、冒険者になりに来たかもじゃん、でも顔を青くしてたからなぁ…ちょっと受付~脅して男を逃がすの止めなよ~」
「そんなことよりエロくなかった?鎖骨むき出しとか誘ってるでしょ」
「ちょっとあんた達、鉄級になったからって男連れて来るとか…あたしにも紹介しなよ」
ギルドでは男の話題に持ち切りになり、男をギルドに連れてきた少女たちにも絡んでくる。
冗談交じりに紹介しろと言われても、つい先ほど出会ったばかりの上に命の恩人なのだ話せることなどないので、苦笑いで躱しつつ受付嬢のほうに、銀級の獣の皮を納品する。
受付嬢は驚いた顔をして少女たちに注意する。
「あんた達、銀級の森の奥に行ったの!?ダメじゃないですかそんな危ないことをしちゃ!これはギルド長に報告しておきますからね!!」
受付嬢はすぐさま報告に行こうとして、少女たちは焦って呼び止め叫んだ
「違うんだよ!鉄級の狩場に出てきたんだ」
「鉄級の狩場に…?それは本当ですか?」
本当ならば森の奥で異変が起きていることになるし、それによって魔獣が溢れてきて、村に甚大な被害が出るだろう。
銀級の魔獣がうろつくなら、冒険者の成長にも支障をきたす。
大事をとって銀級の冒険者複数か、金級であるギルド長に出張ってもらうしかない。
「分かりました、ギルド長に調査してもらうように掛け合います」
そういうとギルド長室に向かっていこうとし、何かを思い出したように振り返り、少女たちに問いかけた。
「そういえば、この魔獣はどうやって倒したのですか?あなたたちは鉄級ですし…他の銀級は他の依頼を受けてましたし…」
「言ってなかったっけ?あの人に助けてもらったんだよ」
「あの人…魔法使いでしたか…」
「いや剣で首を跳ね飛ばしてた、びっくりしたよ」
受付嬢は首を捻った。