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嫌な予感

 とある村で待ち合わせをしている少女がいる。


 その少女は自信が無さげに俯いており、これからの事を考えて悲観とも言える顔をしている。


 お金が無くて…というわけではなく、剣と皮の防具を身に着けていることを見れば、その少女が冒険者であること、そしてこのまま狩りに行くことが分かるだろう。


 少女はどうしてこうなったのかに思い出す。


 それは店で飲み食いしてた時に、その少女にとっては唐突なことであっても、このパーティーリーダーの少女にとっては、決定事項とでもいうが如き態度でこう言い放った。


「明日森の奥に行こうぜ」


 少女は仁王立ちするリーダーに横目に見遣り、それとなく止めるように促した。


 リーダーは少女が臆病風に吹かれていると思い、少し馬鹿にした態度とった後、自分たちが鉄級になったこと、ギルドで鉄級で入れる森の入り口のところまでしか入らないこと、熟練の鉄級で入れると言われる更に森の奥には行く気はないこと、危なくなったらすぐ撤退するつもりであることを、この用心深い斥候に思慮深く考えていることを伝えた。


 これには普段余りにも考え無しに称賛の声を上げるが、それでも気が進まないことを少女は告げる。

 リーダーの少女も理由を尋ねてみると。


「勘」


 という一言を発した。


 リーダーの少女は呻き声を上げて後ずさる。


 この斥候の勘は結構当り何度も助けられた思いでもある、しかしながら必ずしも当たるわけでもないという旨を告げると。


「嫌なら今日は留守番をすればいい」


 そして後ろで待機していた魔法使いの少女に声をかけ、そしてその場を後にする。


 ただ魔法使いの少女は振り返りながら一言。


「大丈夫、私に任せて、この未来の大魔法使いがいるから」


 などと宣いながら店を去っていった。




 正直今でも嫌な勘がするし、宿に戻って眠りたいぐらいだが、パーティーリーダーに誘われて冒険者になったこと、そしてこのパーティーで一番戦闘力が高いこと、こんなことで死なせるわけには行かないことが、ここに少女を来させた理由である。


 早朝からいつもの待ち合わせ場所で待っていると、案の定パーティーリーダーと魔法使いがやって来た。


 パーティーリーダーは最初、いつもの待ち合わせ場所に他の人がいるのかと、きょとんとしていたが、その人が仲間である斥候だと分かると、嬉しそうに手を振りながら駆け寄ってくる。


 その後に魔法使いが続いたが、斥候は早速仲間たちの準備不足を指摘し始める。


 やれ携帯食料は持ってきてないのかとか、地図を持ってきてないのとか、そんなことじゃ森で野垂れ死ぬことになることを再三説教する。


 パーティーリーダーは聞いているのか、聞いていないのかのような顔をしながら。


「お前が来てくれたじゃん」


 と真剣に言ってくるのである。

 魔法使いも。


「来てくれると思ってた」


 と信頼しきった目で言ってくる物だから、斥候は遂にはそっぽを向いて森の中に歩き出した。


 パーティーリーダーと魔法使いは、楽しそうにその後を追いかける。





 少女たちはまだこの森に何が起こっているのかは知らない。

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