第三章ラスト #2
先に言っておきたいことがあります。それは、そろそろ定期テストだと言うことです。たぶん更新遅れます。すみません。 そういえば、この話、1000アクセス越えました。やりました! まあ、前書きはこんなことぐらいです。
俺たちはどこかの部屋の中にワープしたようだ。見た感じはホテルのようだ。
「急に現れてすまない。事態があまりにも悪くなってな。」
ノウが頭を下げる。
「やめてよ。そんなことされると逆にこっちが辛いよ。」
持田が笑う。
「ああ。なら本題に戻らせてもらう。俺たちはお前たちと別れたあと、あることを調べていたんだ。」
豪気が顔を歪める。
「あること?」
「ああ、チーム零のボスのことだ。名前は零、そしてIANだが……」
ノウが息をのむ。
「名前はオールだ。能力は全て。そう、全ての能力を使うことが出来る。」
「どういうこと?」
持田が首を傾げる。
「つまり、参加者全員の能力を使うことが出来るんだ。私の能力も、ここにいるみんなの能力も全部使えるんだ。」
「代償は?」
豪気が聞く。
「心だ。心を失い、全ての能力を使うことが出来る。分かるか、全ての能力だぞ。」
ノウの声は震えていた。
「私の仲間たちはやつによって蘭を除けば、全滅させられた。一瞬でだ。やつを止めるすべはない。」
「そんな。全滅だなんて。全く歯が立たなかったの。ちがうよね。」
持田が恐る恐る聞く。
「ああ、やつは手からレーザーのようなものを出した。それに当たった仲間は消滅した。仲間は光を放ってその場から消えたんだ。」
「そんな。」
持田が顔を伏せる。
「ともかく、そうやって私の仲間たちは消されたんだ。なんとか私と蘭だけは蘭の能力によって逃げられたんだ。」
「そいつに弱点はないのか。一個ぐらいあるだろう。」
豪気が言う。
「ない。断言出来る。やつは全ての能力を使えるんだ。どんな攻撃も出来るし、逆に防ぐことも出来る。」
全員、思考モードに入る。しかし、いったいどんな能力があるんだか分からないから考えようがない。
かなり時間がたったと思う。あれから誰も喋らなかった。特にノウと蘭は顔を伏せたまま動かない。仲間のことを思い出しているんだろう。
「なあ、少しの間1人になっていいか。ちょっと疲れた。」
ノウが呟いて部屋から出ていった。蘭がそれを見てオロオロする。
「私もついていきます。」
蘭がノウのあとを追った。きっと2人とも、いろいろと整理したい気持ちがあるんだろう。
「はあーあ、これからどうすればいいんだろう。」
持田がため息をつく。
「分からないな。正直、零がどれくらい強いのか分からないし。まったく、どうしたらいいんだか。」
俺もため息をつく。
「そうだ、こんな時こそ料理だ。俺、何かないか見てくる。」
そういって持田は出ていった。まったく忙しいやつだ。
「俺もちょっと出かけるな。そろそろ手持ちの写真が無くなってきたんでな。」
豪気も出ていった。暦もついていった。あとには俺と咲が残った。
「さてと、俺もなんかするかな。」
俺は立ち上がった。しかし、咲に呼び止められた。
「ねえ、金田。聞きたいことがあるんだけどさ。」
「聞きたいこと?」
「うん、前々から思ってたんだけど、なんで金田はそんなにお金が大事なの?」
俺は言おうか言わないか悩んだが、言うことにした。
「それは、俺は今、莫大な金が必要だからだ。さっき黄泉が言ってたろ。俺の寿命は10年以内だって。あれ、当たってるんだ。俺はあと一年しか生きられない。」
咲が一瞬息をのむ。
「それは本当なの。」
「ああ、本当なんだ。俺の寿命はあと一年しかない。お前、デブラ病を知ってるか?」
咲が首を振る。
「分からないわ。どんな病気?」
「原因不明で対処方法は無し、発症から1年以内に心臓麻痺を起こし死亡する。俺はそれにかかったんだ。」
咲が言葉をなくす。
「そして、この病気を治すには莫大な研究資金が必要なんだ。だから、俺は金がほしいんだ。」
「でも、金田は小さい頃からお金にごだわっていたような。」
咲の言うとおりに俺は昔から金にはうるさかった。
「たしかに俺が病気になったのは一月前だ。ただ、この病気を知ったのは小学生の頃なんだ。
その頃、俺の友達がデブラ病にかかったんだ。そして、友達は死んだ。治すために必要な莫大な金が手に入らなかったんだ。
俺は自分が無力だと思ったんだ。友達1人も救えないのだと。俺は悔しかった、今でも後悔している。あの時、もっと金があればと。
そして、俺は金にうるさくなったんだ。」
「そんなことがあったなんて。」
咲が少し驚きの表情をみせる。
「まあ、俺もデブラ病にかかったんだけどな。残念だけど、まだ金は集まってないけどな。まっ、あんな金集まるはずがないけどな。」
俺は自嘲ぎみに笑う。咲は黙っている。
「ねえ、金田。私が足をケガした時のことを覚えてる。あの時に私のことを励ましてくれたわよね。」
「ああ、覚えているよ。あの時のお前といったら…」
「私は中学の頃バスケ部だった。そんな私にとって足のケガは致命的だった。金田はそんな私を熱心に励ましてくれた。すごい嬉しかった。」
俺は少し恥ずかしい気分だ。こんなふうに真面目に言われると。
「もう、その時には俺の友達は死んでいたからな。だから俺は目の前で、誰かが傷つくのが嫌だったんだ。」
「あの時に金田は言ったじゃない。希望を捨てるなと。その時のことを思い出して。希望を捨てちゃだめよ。きっと病気は治るわ。」
咲の真剣な言葉は俺の心に響いた。
「ありがとう。」
自然とその言葉は口からでていた。 不思議だ。
「うん。元気になればよし。」
咲が笑った。
「みんなー、なかなか良い食材が見つかったよ。」
気楽な声が聞こえる。きっと持田だ。
「あれ、咲と金田だけか。まだみんなは戻ってないの。」
持田が部屋に戻ってきた。
「なんだよ。せっかく美味しい料理を作ろうとしたのに。」
持田がぼやく。
「まあまあ、みんな、いろいろあるんだから。それで、何か美味しいものが作れそうなのか。」
俺は持田をなだめる。
「ああ。ここの食材はなかなかだぜ。腕がなるぜ。」
持田の言葉から一拍おいて、豪気と暦が帰ってきた。
「ただいま。話しは聞いたぞ。持田、期待してるぜ。」
持田が自分の胸を叩く。
「任しとけ。最高にうまいものを作ってみせるよ。」
なんか、持田を見ていると元気になってくる気がする。
「さて、俺は下ごしらえをしてくるよ。」
持田は部屋を出ていった。
それから少し時間がたって、持田の料理が完成した。そしてノウや蘭も戻ってきた。俺たちは持田の美味しい料理を食べた。
「さて、これから、みんなどうするんだ?」
俺が聞く。
「俺はもう少し妹と話がしたい。」
豪気が暦のほうを見る。暦もうなずく。
「俺は食材のほうを見てくる。明日の料理を考えるから。」
持田は、もう、すっかりお母さんみたいだ。
「金田はどうするの。」
咲が聞いてくる。
「俺は疲れたから、もう少ししたら寝るよ。」
結局、その後、俺は特に何もせずに寝てしまった。
金田が寝たあと、咲は深刻そうな顔でノウに会いにいった。
「ねえ、ノウ。ちょっといい?」
咲のほうが先に切り出した。
「なんだ?」
「少し調べたいものがあって。黄泉の能力なんだけど。」
「それなら、もう調べてあるぞ。」
ノウがポケットから一枚の紙を取り出して咲に渡す。
「そこに書いてある。」
「ありがとう。ちょっと借りるね。」
そう言って、咲はポケットに紙をしまった。そのまま、咲は自分の部屋に戻った。
咲は部屋の中で先ほどノウにもらった紙を見ていた。
「なるほどね。」
紙を見ながら咲が呟く。
紙に書かれている内容はこうだ。
『黄泉、年齢25歳。IANは名前はデス、能力は相手の寿命10年につき、一回相手を触れば、相手を殺すことが出来る。
なお、能力発動時には本人の手は無敵になる。失うものは寿命で、一回触るこどに1週間失う。』
「厄介ね。どうしたものかな。」
咲は、1人思い悩んでいた。どうすれば黄泉を倒せるのかを。しかし、結局、思いつかないまま朝がきてしまった。
「みんなー、朝ごはんができたよ。」
持田の大声で俺は目覚めた。俺の隣にいる豪気も目覚めた。俺たちは居間に向かった。そこには俺たちを除いた全員が揃っていた。
それから、俺たちは全員で仲良く朝ごはんを食べた。
俺たちが食べ終わった瞬間、俺たちの目の前が光った。そして、そこには黄泉がいた。
「おはよう。皆さん。私から逃げられると思ったの。」
黄泉が不気味に笑う。俺たちは一瞬固まった。
「逃げるんだ!」
豪気の声に俺たちは正気に戻った。そして、一斉にドアに向かって走った。
「ふふ、今回は逃がさないわよ。」
黄泉も追ってくる。
俺は必死に走った。ドアを開けるとそこは廊下だった。そういえば俺は一度も外に出たことがなかった。とりあえず、前を走っている豪気についていくことにした。
俺は階段を降りていった。階段を降りると、そこはホテルのロビーだった。俺の予想どおり、ここはホテルだったんだ。まあ、今はそんなことを気にしている暇はないが。
ロビーのドアを出て、俺は外に出た。そして、1分も たたないうちに残りのメンバーも出てきた。
そして、俺たちの頭の上の数字は変わっていた。俺は変わらず1、豪気は5、ノウと蘭と暦はなし、そして咲と持田は…
「1!?どういうことだ咲!それに持田も2ってどういうことだよ。」
俺は叫ぶ。
「逃げる途中に触られたみたい。」
咲が後ろを見て言う。
「俺もだ。」
持田が言う。そして、持田が言い終わってから少しして、黄泉が中から出てきた。
「あら、逃げるのはやめたの。あきらめの早いこと。」
「あきらめた訳じゃない!俺たちはお前を倒す!」
俺は叫ぶ。
「威勢が良いのは結構。でも、それだけじゃ私は倒せない。」
俺は小切手に木刀と書き、切る。そして、出てきた木刀を構える。
「威勢だけじゃない!俺たちは絶対にお前を倒す!」
黄泉が高笑いをする。
「それじゃ、鬼ごっこ二回戦といきましょうか!」
俺たちの命懸けの鬼ごっこが再び始まった。