第三章 ラスト
言いたいことは分かってます。更新については何も言わないでください。本当にいろいろあったんです。すみません。
俺たちはノウにもらった地図を頼りに、ある家の前まで来た。ここに豪気の妹がいるはずだ。
「ここか、ここに…」
豪気が家を見上げる。俺たちはただ、何もせずに家を見ていた。
「さあ、豪気。」
咲が豪気の背中を押した。
「ああ。分かっている。」
豪気がインターホンを押す。ゆっくりとコール音が鳴り響く。生き別れて十数年、豪気はどんな思いなんだろうか。
ゆっくりとドアが開いた。中には1人の女性がいた。歳は高校生ぐらい。おそらく豪気の…
「暦…暦なのか?」
豪気が恐る恐る言う。暦さん(?)が豪気の顔をまじまじと見る。
「お兄ちゃん、兄さんなの?」
「ああ、ああ。兄さん、豪気だよ。本当にお前なのか?」
俺たちは2人に気をつかって、その場から自然と離れていった。
「それにしてもさあ、チーム零ってなんだろうな。」
俺は疑問を口にした。
「どうって?」
持田が聞き返す。
「つまりさ、あんなふうに人殺しを平気で出来るやつらリーダーはどんなやつなんだろうか、ってこと。」
俺が答える。
「いまいち分かんないな。ノウも何も言っていないしね。いったいどういう能力なんだろう。」
俺たちは頭をひねる。相当強いと思うけど、意外と思いつかない。
「あと、黄泉の能力はなんなんだろうな?」
俺はまた言う。
「私もちょっと分からないわ。」
咲が答える。そして、俺たちはさらに頭をひねった。
「それにしても分からないことが多すぎるよな。宇宙人の目的も分からないし。」
俺がつぶやく。
「確かにね。私たちを戦わせてどうするつもりなのかしら。まったく本当に分からないことが多すぎるわ。」
咲もつぶやく。
「でもさあ、ガスも電気も使えるしさあ。俺たちを殺したくは、ないんじゃあないかな。実はただ俺たちのことを見たかっただけかも。」
持田がつぶやく。
「つまり、俺たちのことをスポーツ観戦としか見ていないということか?」
俺が聞く。
「うん、そんな感じ。」
皮肉みたいにに俺は持田に言う。
「だとしたら最悪だよ。」
俺たちは笑いあう。こんな感じで俺たちは話し合いをしたが、結局なにも分からなかった。
その間に感動の再開も終わったようで、俺たちは暦の家にあがらせてもらうことにした。
「まずは、私から話しますね。」
暦が言う。
「私はこのゲームに参加して一週間です。IANの名前はガードで、えっと、能力はお守りをひとつ失い、好きな人を1分間だけどんな攻撃などから守るというものです。」
持田が首をひねる。
「攻撃などから守るって、どういうこと?」
「つまりは1分間は死ななくなるということです。ただ、身を守るだけなんですけど。」
暦が照れ隠しに笑う。
「さて、これからどうするか。どうするべきなんだか。」
豪気が言う。確かに豪気の言う通り、俺たちはなにをするべきか分からない。
「そうなのよね。なにをすればいいんだか。なんか意見ある。」
咲が周りを見る。俺たちは何も考えが浮かばず、黙っている。
「とりあえず、ご飯でも食べない?」
持田が聞く。俺たちは持田の意見に賛成して飯を食うことにした。やっぱり持田の作ったご飯はうまくて、みんな、たくさん食べた。
そうして、俺たちはゆっくり休むことが出来た。そんな時だった、みんなの携帯が鳴った。
「なんで携帯が?使えないはずなのに。どういうこと。」
持田が言う。持田の疑問はみんなが思っているものだ。とりあえず俺たちは携帯を見た。メールがきていた。差出人は不明。内容は…
『皆さん、宇宙人です。ゲームの途中経過をお知らせします。現在、参加者の数が激減しています。ただいまは千人たらずしかおりません。
ということで、このゲームを三日後に終わらせることにしました。三日後に送付したデータの場所に集まってください。そこにて決勝戦をおこないます。』
確かにメールといっしょに地図のデータが送付されていた。
「みんな、見たか?このメールによると参加者はあと千人しかいないって、どうする?それに三日後、決勝戦?」
俺はみんなを見る。みんなの顔は困惑でうまっていた。いきなり、しかも、残り千人という宣告に驚きを隠せないんだ。
「たぶん、このメールは本当のことだろう。まあ、嘘だといいんだけど。そうじゃないだろう。」
豪気が確認する。俺たちはうなずく。実際、確かめる方法がないから、なんとも言えないはずなんだけど。
「でも、あと三日でゲームが終わるのね。そう思うとあっという間だったわ。」
咲がつぶやく。
「たしかにね。あっという間だったよ。まあ感傷にひたっている時間はないんだけどさ。」
俺もつぶやく。
「まあ、いろいろ思うところもあるけど、とりあえず、送られてきた住所に行ってみないか。」
豪気が俺たちのことを見る。
「いこうぜ。全てを終わらせよう。なっ。」
俺は言う。
「そうだね。行こうよ。だって、俺たちにはそんなことしか出来ないんだから。」
持田も賛成する。
「分かったわよ。行きましょう。」
咲も賛成した。これで全員が賛成したことになる。
俺たちは車に乗るために外に出た。しかし、そこには思いもよらない相手がいた。
「黄泉!なんでここに!?」
咲の言うとうり、俺たちの目の前には黄泉がいた。黄泉は薄ら笑いを浮かべている。
「ふふ、ボスからの指令よ。残りの参加者を殺すよう言われたのよ。まあ、最初に会うのが、あなただとはね。」
「よくも、ぬけぬけと私に会えるわね。私のことを覚えてるでしょ。」
「それはね、覚えてるわよ。あの仕事は金になったから。ふふ。」
「なにがおかしいのよ!あんたのせいで私の父は!許せない!」
咲が黄泉に向かって走っていく。そして、殴りかかった。
「そんなんじゃ、一人も殺せないわよ。」
黄泉は咲のパンチをいとも簡単に避けていく。そして、咲にカウンターパンチを繰り出した。それは、完璧に咲の腹にはいった。
「だめね、そんなんじゃ私は倒せない。ふふ。」
黄泉が不気味に笑う。俺は一瞬ゾッとした。咲は痛みが酷いのか、俺たちの所まで後ろに下がった。
「だいじょうぶか咲。あいつは強い。みんなで戦うべきだ。」
俺は咲のほうを見る。思ったより苦しそうだ。息が荒い。
「そうね。そのほうがいいわ。つい、感情にまかせてしまって。」
「それじゃ、みんな頑張ろうぜ。」
豪気がみんなを見る。
「いくぞ!」
豪気が叫んだ。豪気はそのまま黄泉に突っ込んだ。が、いとも簡単に避けられる。
「あなたにプレゼントをあげるわ。」
そう言って黄泉が豪気に触れた。その瞬間、豪気の頭の上に、数字が現れた。
「なんだ、いったいどういうことだ。」
豪気が頭上の数字を見る。数字は黒色で5を示している。
「それは死のカウントダウン。0になったら死ぬ。あなたは5ね。なかなかあるわね。」
豪気が少し後ろに下がる。
「いったいどういうことだ?」
「私が触れる度に数字が1ずつ減っていく。そして0になったら……死よ。つまり、私があと5回触ったらあなたは死ぬのよ。」
黄泉が豪気に向かって手をのばす。豪気はそれを寸前でかわす。
「さあ、楽しい鬼ごっこの時間よ。」
黄泉が豪気に向かって手をのばしていく。豪気はそれを紙一重で避ける。
「いい反応。なかなか楽しめそうね。ふふ。」
黄泉が笑う。豪気は大きく後ろに下がった。
「気持ち悪いことを言うぜ。けど、腕は本物だな。敵うのか、あいつは強い。」
「お次はこれよ。もっと楽しませてね。」
黄泉が懐から拳銃を取り出す。俺に銃口を向ける。
「ふふ、まずは1人かしら。」
黄泉がトリガーを引く。ほぼ同時に咲が俺の前にでる。ギリギリで咲のほうが速かった。弾は咲に当たり、砕け散った。
「私がいる限り銃は使えないわよ。」
黄泉は銃をしまい、かわりに懐から手榴弾を取り出した。
「銃弾は防げても、これはどうかしら。いくわよ。」
黄泉が手榴弾を俺たちの、はるか頭上に投げる。黄泉はそれを撃ち抜く。手榴弾が爆発する。俺たちは爆風に体をふらつかせる。
「さて、まずは一回ね。」
黄泉が、ふらついた俺たちに向かって手をのばす。俺と咲と持田が触られた。咲の頭上には6、持田の頭上にも6、そして俺の頭上には1が。
「1?あなた寿命があと10年も無いの?かわいそうにね。」
黄泉が少し驚いた表情をみせる。
「なぜ分かる。」
俺は黄泉を睨む。
「私のIAN、デス、はある一定回数ね、標的を触ると相手を殺せるのよ。その回数とは相手の寿命よ。10年ごとに一回つまり…」
俺は黄泉にかぶせるように言う。
「俺の数字は1、つまり10年しか寿命がないというわけだ。まあ、当たってるけどな。」
「その年で寿命が10年ねえ。かわいそうに。まあ、ここで死ぬから意味がないわね。ふふふ。」
黄泉が、かん高い声で笑う。
「ねえ、金田。寿命が10年って、どういうこと。」
咲が俺のほうを見る。
「それは……」
俺は顔を伏せる。
「そこ、よそ見しないの。死ぬわよ。」
黄泉が懐からガスマスクを取り出す。
「毒ガスよ。どうする?」
黄泉が懐から手榴弾のようなものを取り出す。黄泉はそれを投げつけた。その瞬間、爆発音とともに煙がとびだした。
「ふふ、1分しかもたないわよ。」
黄泉のいうとおり、俺たちはガスマスクもない。万事休すだ。
「困ってるみたいだね。」
その声のぬしはノウだった。そして、その隣には蘭がいた。
「速くこっちにくるんだ!」
俺たちは言われたとおりにノウのもとに行った。
「この子に捕まるんだ!」
俺たちは言われたとおりにした。
「みなさん、いきますね。」
蘭が言う。黄泉が蘭に気づいて、蘭に向かって発砲した。その瞬間、俺たちはワープした。銃弾は俺たちには届かなかった。
「ちっ、逃がしたか。」
あとには黄泉だけが残った。