第二章 リアル#3
やっぱり、書き貯めがないと更新が遅れます。これからもこんな感じなんで長い目で見てくれるとありがたいです。 あと、この前サマーウォーズを見ました。もう、最高です。まだ上映しているんで見に行ってはどうでしょうか。
そんな感じで俺たちは外にでた。豪気が道路に停めてある車を指差す。
「みんな、あれを貸してもらうぞ。」
俺たちは意味がわからず立ちつくしていたが、豪気は車に向かって歩いていき車の横に立つと、いきなり窓を割った。
「何してんだよ!!それ!!」
俺が大声で叫ぶ。
「いや、落ちてたから。拾って交番にとどけようかなと思って。」
「いや、違うじゃん!!普通に泥棒じゃん。」
豪気が頭をかく。
「冗談だ。俺も昔は悪だったからな。よくこんなことをしていたんだよ。」
俺は会った時からそう感じていたことは黙っていた。あのとんがった髪に銀のアクセサリーは誰かみてもヤンキーだ。
「お前、俺の仕事は分かるか。株をやってるんだぜ。」
豪気がポケットから工具のようなものを取り出しながら、驚くべき事実を言う。俺はてっきりヤのつく自由業だと思ってた。
「コラタエンターテイメントの株だって持ってんたぞ。」
「あのコラタエンターテイメントの。あのコラタ。」
コラタエンターテイメントは世界一のコンピューター会社で、世界の約80%のコンピューターはコラタ製品だ。
「コラタは私の父親の勤めていた会社よ。コラタは私の父を…」
咲が呟く。豪気が窓を割って、入れていた手をだした。そして、豪気が手をあげる。
「出来た!これでこの車は俺の物。みんな乗れよ。」
俺たちは少し罪悪感を感じながら車に乗った。車のキーを差す所からは様々なコードが出ており、明らかに違反車だ。
「なあ、咲。お前の言っていたことなんだけど。あのコラタが一体どういう犯罪に関わっているんだ?お前の父親はコラタの何を知ったんだ。」
豪気がエンジンをかけながら振り向むいて言う。
「みんな、カリアサイバーテロを覚えてる?あれよ。」
「カリアサイバーテロと言ったら、あの被害総額10億円の。死者さえでた。」
「そう、あの時に使用されたウイルスはコラタで作られたのよ。」
「あの史上最悪で最強のコンピューターウイルスを。」
「私の父はその証拠を入手した。そして、消された。」
咲が何かを言おうとした瞬間に車のエンジンがかかった。
「よし、かかった。さあ、いくぞ。」
そのとたん、車は急発進した。
「走り屋の血が騒いできた。」
車は一気に時速100Kmまで到達し、カーブはドリフトを使い、信号は止まっているので無論、車は止まらずに発電所まで向かった。
俺は、薄れゆく意識のなかで今から行く発電所、古川発電所のことを思いだしていた。確か原子力発電で、発電所の中に電気についての研究所があって、有名だったはず。中には稲妻について研究してるとこもあったはず。
俺の意識もそこまでだった。とてもじゃないけど、豪気の運転にはついていけなかった。俺は失神した。
俺が意識を取り戻したのは発電所についてからだ。豪気に起こされた。それはみんなも同じで、みんなも豪気の運転に耐えられなかったらしい。
「ここが古川発電所か。誰かいるのか。」
豪気が古川発電所の入口を見て言う。入口はガラスのドアで一般入口と書いてある。
「とにかく入ってみようよ。」
持田が言う。
「さて、開いてるかな。」
豪気がドアに手をかける。するとドアはするりと開いた。俺たちは中に入った。中は暗かった。とてもじゃないけど人がいそうにない。
「豪気さあ、さっきの運転はひどかったよ。それに、何か変わったよね。なんかギャグキャラになった。」
咲が豪気に向かって言う。
「ああ、それか。俺は初対面の相手にはけっこう堅苦しいんだけど、慣れてくると、けっこうはしゃぐようになるんだよな。」
「ふーん。」
俺たちは突き当たりまで進んだ。そこには総合操作管理室があった。しかし、ドアには電子ロックがかかっており、当然、俺たちはパスワードなどは知らない。
「さて、どうするか。力ずくか。」
咲が豪気の手を止めた。
「やめて、こういうのは力ずくでは出来ないわ。途中に稲妻研究室があったでしょ。そこに行きましょう。」
豪気が咲のほうを向き、首をかしげる。
「なぜだ、別に壊してもいいんじゃないか?」
咲が首を振る。
「ダメよ。この手のロックは様々なものと連動していて、壊すと何が起こるか分からない。」
豪気がドアに背を向ける。
「分かった。じゃあ、その稲妻研究室に行こう。」
俺たちは来た道を戻り、稲妻研究室に行った。しかし、研究室なだけあってドアに鍵がついていた。その鍵は旧式で鍵穴があるタイプだ。
「豪気、ドア蹴破ってくれない。このタイプは別に大丈夫だから。」
豪気は生返事をして、ドアを蹴った。ドアは三回蹴っただけで開いた。
「なあ、何でこんなこと知ってるんだ。」
俺は咲に聞いた。
「父に教えてもらったの。もし、何かあった時に使えって。」
俺たちは研究室の中に入った。咲はパソコンを見つけて、パソコンの前の椅子に腰かけた。
「やっぱりあった。さすがに研究室の中にはパソコンぐらいあるでしょ。」
「なにするの?」
持田が問いかける。
「ハッキングよ。真似しないでね。」
咲はそう言って、パソコンを立ちあげた。そのとたん、咲の指が動いた。おそらく俺たちの10倍の速さで動いている。画面には様々な言語や記号が現れては消えていく。
そして、25分後。咲は数々のファイアウォールを突破し発電所のすべてのシステムを掌握した。俺は豪気といい咲といい化け物ばかりだと思った。
「さてと、これで全てのロックは解除したわ。」
持田がはしゃぐ。
「すげえよ咲。いったい何をしたんだよ。凄すぎるぞ。」
「いや、今回は防衛プログラムしかいなかったから。普通なら防衛プログラマーがいるはずなのに。おかしいわ。」
持田が首をひねる。
「防衛プログラマー?そんなの聞いたことがないな。」
「一般には公表されてないからね。彼らは重要施設には必ずいるはずなんだけど。彼らは最終防衛ラインとしてハッカーと戦うの。なのにここにはいない。だから簡単にハッキング出来た。」
「ということはここにまったく人がいない可能性があるわけか。」
豪気がつぶやく。
「まあ、この感じじゃあねえ。1人もいないわよ。とにかく、先に行きましょう。ね。」
俺たちは先ほどのドアに戻った。ドアは何もなかったかのように開いた。中には1人も人はいなかった。
「やっぱり。でも、おかしいわ。機械が動いているわ。」
咲が言ったとうりに様々な機械が動いている。人もいないのに。
「たぶん、オートプログラムが作動しているんだわ。やったのは宇宙人かしら?」
持田が周りの機械を見る。
「オートプログラムって。」
「有事の時に、公共機関がテロリストに占拠された場合に対して使用される。全ての機械をオート化する。父に教えてもらった。」
豪気が咲に向いて振り向く。
「つまり、ここに人はいないのか?」
「たぶん、そうだと思う。」
その時、俺たちが入ってきたドアが開いた。俺たちは振り返った。
そこにはノウと1人の少女がいた。少女のほうはだいたい高校生だろうか。
「君たちもここに来てたんですね。」
少女がノウの後ろに隠れた。
「心配しなくてもいいよ。彼らは敵じゃない。まあ、味方でもないかな。」
少女がじっと俺たちのことを見る。俺は愛想笑いをする。豪気が前に出た。
「いったい何でお前がここに来るんだ。」
「それはこっちが聞きたいですよ。まあ、今はあまり時間がないから話しますが。私たちはチーム零を抜けた。だから、追っ手が来たというわけですよ。」
ノウが俺たちに向かって手をだした。そして、次の瞬間に手のひらが輝きだし、光がおさまると4枚の紙が置かれていた。
「私のIANでだした。追っ手のIANについて書かれている。読んでくれ。」
ノウが紙を俺たちに配った。そこには、1人の男について書かれていた。名前はマロ、アメリカ人だ。IANの名はグラビティーだ。1m四方の正方形の場所を任意に選び、そこの重力を10倍に出来る。なかなか手強そうだ。
俺が読み終わった瞬間に、爆発音がした。ノウが振り返った。俺たちも音のほうを見る。
「やつらが来ましたか。皆さん逃げましょう。」
俺たちは顔を見合わせた。豪気がノウのほうを見る。
「あいつの言ってることは本当だと思うんだ。どうしようか。」
持田が右のほうを指差した。そこには非常口のマークが輝いていた。
「あそこから逃げようよ。」
持田が言った瞬間に、もう一度爆発が起きた。俺たちは全員、非常口のほうを見た。
「これは逃げるしかないんじゃないか。なあ?」
俺がみんなに聞く。みんなもうなずいてくれた。
「でも、ちょっと待って。あの出口は見張られている可能性があるわ。あそこにノートパソコンが置いてあるわ。あの中に地図のデータがきっとあるわ。」
咲が右の方にある机を指差した。咲はそこまで歩いて行き、ノートパソコンを持ってかえってきた。
「あっ、これロックがかかってないわ。ちょっと待っててね。」
咲の指がキーボードの上を踊る。そして、画面に地図が表れた。
「どうやら、さっきの机のところの壁をぶち破り、もう一枚、壁を破れば外に出れるみたいね。」
持田が壁のほうを見る。
「でも、どうやって壁をぶち破るつもり?」
「私の能力を忘れたの。見ててね。」
咲が壁に向かって疾走する。そして、そのまま壁に飛び蹴りをした。咲が壁に当たった瞬間に壁にあなが空いた。
「私の能力で壁を粉砕したのよ。どう?なかなか使えるでしょ。」
咲が笑う。俺たちは咲の所まで走った。ノウたちもいっしょにきた。壁の穴をぬけ、次の部屋に入り、また咲が壁に穴を開けた。
「ねえ、ノウ。その子は誰なの?」
持田が少女のほうを見る。すると少女はノウの後ろに隠れてしまった。
「この子は私たちの仲間だよ。IANは名をテレポートと言って、自分と、手をつないでいる人間のことを好きな所にワープ出来るんだ。この子の名前は暦。」
暦が俺たちのほうを見る。そして、ペコリと頭をさげた。
「ちなみに、この子の能力で逃げるのは出来ない。どうしてかと言うと、この子は能力を使うのに携帯電話が必要なんだ。生憎、私たちは余りの携帯電話はない。君たちもだろう。」
俺たちはうなずく。
「とにかく、外にでようぜ。」
豪気が言う。俺は小切手に木刀と書かいた。額面には千二百円とでた。どうやら、咲の言っていた通りに俺の能力は周りにいる人間に左右されるらしい。
一番の先陣をきったのは豪気だ。次に俺、三番手には持田。四番には咲、五番、六番はノウと暦だ。
外には……