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ロストゲーム  作者: Foo
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プロローグ

あなたは、宇宙の存在を信じているか?おそらく信じているだろう。あなたはここに住んでいるのだから。


なら、宇宙人の存在は信じているか?俺は信じている。なぜなら、俺は会ったからだ。嘘と思ってもいい、ただ、これだけは知っていてほしい。彼らとの出会いは決して、あなたの思っているものとは違う。あちらにも都合があるのだ。それは当然のことだ。


今から話すのは、ほんの一例。そう、俺とあいつらとの出会い。全ては、俺が高校生のころから始まった。


夏休み、それは学生なら誰もが楽しみにするもの。俺もそうだった。高校三年生にとっては最後の夏休みが明日に控えている。そう思うと、ワクワクせずにはいられなかった。平成21年7月25日までは俺 は普通の人だった。


でも、つぎの日からは違った。俺は終業式の帰り、宇宙人に会ったんだ。いつものとおり校長の話は長く、俺は上の空で夏休みのバイトについて考えていた。そして終業式が終わり、俺は家路につこうとした。


友達に誘われて、途中までいっしょに帰っていたけれど、さっき別れたので今は一人だ。


(持田は夏休みは何をするんだろうか。俺はバイト一筋だけど。)内心そんなことを思っている間に家のすぐちかくまできた。ドアを開けて中に入ろうとした時、目の前が真っ暗になった。


そして、まわりが明るくなると、そこは家のまわりではなく、どこか別の場所だった。どこかの部屋のようだ。


(ここはどこだ?なにがあった。)不思議に思いながら、あたりを見回すが、あたりには白い壁しかなく、手がかりになるものはない。ドアすらもなく、どうやってここに来たのかもわからない。


「ようこそ地球人。突然呼び出してすまない。さっそくだが話がある。」これが俺にとって初めての宇宙人との出会いだった。


「おまえは誰だ!どうして俺をここに連れてきた!」俺は天井に向かって叫んだ。


「君たちにとっては宇宙人と言ったほうがいいかな。」


(なんだっていうんだ、頭がおかしいのか?)俺はまったく状況が解らない。


「さっそくだが、話がある。君の一番大事なものはお金だね?そして、一番欲しいものは、お金になればなんだっていい。つまり、すべてだね。あっているね。」俺は叫ぶ。


「そんなことはどうでもいい!俺のことをどうしたんだ!」しかし、宇宙人は動じない


「いいから質問に答えたまえ。そうすれば、ここから出してあげよう。」


「ああ、あっているよ!俺は金が大好きだ!早く俺をここからだせ!」俺が叫び終えるのと目の前が暗くなるのは同時だった。ここから俺のゲームは始まった。


俺は目がさめると、目の前には天井があった。夢でもみたのかと思い、周りを見渡すと机の上に一通のでがみがあった。俺は布団から出て机にむかおうとする。


が、自分がパジャマではなく、制服を着ているのに気づいた。


(やっぱり、夢ではなかったんだ。あの時のことはすべて本当だった。)机の上には、さっきのでがみと紙の束が置いてあった。でがみには、長い文章が書いてあった。


『おめでとう、とでも言えばいいかな。君はわたしたち宇宙人によって選ばれたのだ。君はこれからゲームに参加しなければいけない。


ルールは簡単、ただバトルロワイアルをしてもらうだけだ。ただし、参加者には全員に一つずつ特殊能力が与えられる。その名は

「IAN」だ。能力の内容は人により異なる。


だが、基本的には使用者の一番大事なものを無くす変わりに、一番欲しいものが与えられるようになっている。君の場合はお金を失い、すべてを得るようになっている。


方法は、簡単だ。小切手に欲しいものを書く、すると額面に金額がでるので、もし、その金額でよければ小切手を刃物で切れば良いそうすれば、君の財布から額面分のお金がなくなり、小切手が君の欲しいものに変わる。


簡単だろう?さてバトルロワイアルについてだが、ルールは3つある。


一つ、バトルは午前7時から午後5時までだ。それ以外の時間にバトルを仕掛けた者は失格とする。


二つ、君たちは仮想空間でバトルしてもらう。簡単に言うと我々が作ったもう一つの地球の中でバトルしてもらう。なお、その中にはバトルロワイアルの参加者しかいないので、人に出会ったらそれは対戦相手だ。ちなみに、中にある物はいくら壊しても良い。


3つ、たとえ致死量のダメージを受けても、我々の科学力で完璧に治すので安心してほしい。つまり、相手を倒すためにどのような手段を使ってもよいということだ。なお、こちらが戦闘不能と判断した場合は失格とし、傷を治してもとの時間、場所にもどしてあげよう。


そして、バトルロワイアルの優勝者には、我々が何でも良いから一つだけ願いを叶えてあげよう。


ただし、次の質問に答えられたらだ。

「この宇宙のなかで一番大事なものはなんだ?」以上で説明を終える。』俺は紙を握りしめる。


(ふざけやがって、なにがバトルロワイアルだ。わけわからない!)俺は紙の束の方を見てみた。よく見ると、それは小切手の束だった。試しに、一枚とってみて、消しゴムと書いた。すると、額面に百円と浮き出た。机から、はさみをとって小切手を二つに切った。


そのとたん、小切手が光りだし空中で消えて、かわりに消しゴムがあらわれた。


(どうやら、今までのことは本当らしいな。さて、どうするか。)俺は携帯電話をとって、電話しようとしたが、どこにもつながらない。


(ダメか。とりあえず、外に出ようか。)俺は小切手とペンと財布、それにはさみをポケットに入れて外に出た。周りを見渡すが、いつもの風景だった。もちろん、自分の家もなんら変わりなく、一軒家の二階建てのままだ。


俺はとりあえず、友達の持田の家に行くことにした。俺が歩いて1分もしないうちに、後ろから視線を感じた。振り替えると、そこには一人の少年が立っていた。少年が少し笑う。


「こんにちは。」


そのとたん、少年の背中から翼がはえた。まるで絵本の天使のように、羽ばたいて空に舞う。


「あなたに死を。」


そうひとこと言って少年はポケットからナイフを取り出す。


(なんていう夏休みだ。)俺は内心思いながら、ポケットから小切手とペンを取り出し木刀と書きこみ、はさみで切る。小切手が消えて、木刀があらわれる。それを手に持ち、構える。少年は高く舞い上がってナイフを構える。ひとこと


「さようなら。」


とつぶやき、こちらに急降下してくる。俺はとっさに木刀をふりあげて、ナイフをうけながす。少年がニヤリと笑う、


「やるね。でも、この僕のIAN、ウイングには勝てないよ。」


俺はもう一度木刀を構える。


「さて、どうかな。俺もただでは負けないよ、理由もなく死にたくないからね。なんで、お前は俺を襲うんだ。理由はなんだ。」


少年が鼻で笑う。


「お前が参加者だからだ。俺には叶えたい願いがあるからな。これに勝ち残れば、願いが叶う。それにどうせ死なないんだろ。」


少年が不気味に笑う。


「話しすぎたね。そろそろ終わりにしよう。」


少年がふたたび急降下してくる。俺がそれをうけながすと、少年はもう一度俺にむかってナイフをつきだしてくる。俺はもう一度それをうけながす。


「なんで、お前はためらいなく人を殺そうと出来るんだ!」


少年がおもいっきり力を込めてナイフをふりおろす。俺は木刀で受け止める。その瞬間木刀に亀裂がはしり、木刀の上の方が折れる。少年が叫ぶ


「教えてやろうか、僕は見たんだよ!二人の男たちがバトルしてたところを。ひとりは刀を手に持って、もうひとりは拳銃を持って殺しあいをしていた。俺は何度もそんなことを見てきた。


ゲームがスタートして一月、みんな性格が変わっちまった。死にたくないから僕は戦うんだ!」


少年がナイフをおもいっきりふりおろす。俺はとっさに後ろに跳ぶ。そして、ポケットから小切手とペンを取り出す。そのあいだに少年が空へ舞いあがる。


「もうあきたよ。」


俺も笑い返す。


「俺もだよ!」


俺は小切手にペンで、のりと書き込み、はさみで切り、小切手をのりに変える。そして、もう一枚の小切手にも書き込みをし、それを折れた木刀にのりで貼り付ける。


「なんのまね。」


少年がつぶやく。


「お前を倒す準備さ。」


そう言って、木刀を少年にむけて投げる。少年はそれをナイフで切り落とす。


その瞬間に木刀が光って、木刀から水が吹き出る。少年がバランスを崩して空から落ちてくる。大きな音をさせて少年が地面に落ちた。少年がうめき声をあげる。


「なんで水が。」


俺は笑う。


「俺の能力さ、小切手を水に変えたんだよ。お前、木刀といっしょに小切手も切ったろ。だからさ。小切手に水と書いておいたんだよ。つばさが濡れれば飛べないだろ。」


少年が舌打ちをする。


「くそっ、そんなので僕は負けたのか。願いは叶わなかったか。まあいいや、でも君はきっとこのさき地獄をみるよ。」


俺は少年に背中をむける。


「じゃあな。」


俺はその場から立ち去ろうとする。


「とどめは刺さないのか。」


少年がうめく。


「ああ、どうせもう動けないだろ。」


俺は答える。


「あんた甘いよ。そんなんじゃこのさき生きていけないよ。」


俺は振り返る。


「大丈夫さ。きっとなんとかなる。そういえばお前、名前は。」


少年がかすれ声で言う。


「楓」


そう言って頭をふせて動かなくなる。


(気絶したか。)俺は前にむき直り、また歩きだす。


(あいつはゲームがスタートして一月と言っていた。どういうことだ。まったく分からない。とりあえず持田の家に行くか。)俺の不安とはうらはらに、空は澄みきっていた。


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