表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/157

勇者と作者のエトセトラ

読み飛ばしてもらっても問題ありません


「勇者よ。エンターテイメントを解さない勇者よ。少しいいですか」


 サラフィネが回顧するおれを呼び戻した。


「なにかな?」


 訊くおれに、大真面目な顔でサラフィネが言った。


「回想……永くありません?」


 ぐうの音も出ない。

 けど、おれには言わなければいけない言葉がある。


「それは言わない約束でしょうが!」


 …………サラフィネが黙った。


「いえ、そんな約束をした覚えはありません」


 わけではなかった。


「いや、頼むよ。空気読んでくれよ」

「勇者よ。わたしは空気を読んだからこそ、訊ねているのです」


 だろうね。

 おれも薄々気づいてはいたよ。

 回想長くねぇ!? ってことにはさ。

 普通さ。さっき倒した大魔王が、異形の邪神じゃなきゃダメなんじゃねえの? なに違う大魔王倒してんだよ! って言われても仕方ないよね。

 でもね、それを認めるわけにはいかないのっ。


「だって! まだ続くんだから!」


 回想が。

 こんなはずじゃなかった。

 最初の予定では、神官が宰相で、大魔王復活を画策しているって展開だった。

 そして、勇者に倒され、神官はあそこで退場するはずだった。


「ふっふっふ。わたしを倒しても無駄ですよ。この街の生命力は、大魔王様の在す冥府の門へと送られ、その復活に役立っているのです。そしてそれは、もうすぐそこまで迫っているのです。ふっふっふ。絶望しなさい。私はそれを、地獄から眺めることにします」


 こんな感じのわざとらしい捨て台詞を残して。


「くっ、一杯食わされたか」


 そんなこと言うやついないだろ!? なんて思いながらも、おれは問題の沼に赴き、異形の邪神をやっつける。

 そんな話だったはずだ。


「いつ変わった?」


 教えてくれよ。

 頼むよ。


「大体! この後どうすんだよ!」


 おれは天に向かって叫んだ。

 …………

 答えがねえ。

 これはつまりあれだな。

 未定なんだな。


「どちくしょうが!」


 おれの剣幕に、サラフィネが目を白黒させた。

 いけない。驚かせてしまったようだ。

 波立った精神を凪の状態に戻すべく、おれは大きく深呼吸をした。一度ではなく、複数回だ。


「おほん」


 わざとらしく咳払いを言葉にし、サラフィネも間をとった。

 互いに時間を取ったことで、少しだけ落ち着けた。


「魂の叫びの意味はわかりませんが、勇者にも退っ引きならない事情があるのは察しました」


 サラフィネが仏のような表情を浮かべた。

 仏だけに、悟ってくれたのだろう。


「ありがとう。わかってくれたか。では、続けてもいいな」


 ダメと言われても変更はないのだが、一応おれは訊いた。


「仕方ありません。続けてください」


 素直な肯定であった。

 感謝。

 ここでウダウダ言わないあたりは、やはり女神だ。


「残念ですが、わたしの活躍はもう少し後ですね」


 肩を落とすサラフィネに、おれは言った。


「いや、お前が活躍する話なんかねえよ」


 ……たぶん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ