第19話 パーティーへレッツゴー!
づがれだーー!
暑いですが皆さん体調気をつけてください!
「ふんふんふーん♪」
俺は、鼻歌を歌いながらスキップをしている。
これは機嫌が良い人の典型的な行動である。
そう、俺は今機嫌が良いのだ、とても。
「ふんふんふーん♪」
隣に海斗がいるが、気にしない、気にしない。
「どうしたんだよ…頭のネジ外れたか?」
ノンノン、俺は機嫌が良いだけだぜ。
「はぁ…何でそんなに機嫌が良いんだ?(って言って欲しいんだろ)」
よくぞ聞いてくれた、我が友よ!
「ふふ…父さんたちと、政治家も集まるパーティーに行くんだよ!きょう!」
「へぇー、それって俺も行っていいやつ?」
…意外にも海斗が食い付いた。
「いいぜ。母さんが海斗くんも連れてきたら?って言ってたし。」
「ありがと。どこで開催されるん?」
めっちゃ食い付くねぇ…
「えーと…確かさくらぎなんとかだったと思う。」
楽しみにしてる割に覚えてないんだよなぁ、俺。
「桜木ホールディングス、か。そんな大きなグループと関わりを持つなんて…翔の父さんって意外と凄いな」
ああ、それだよ、それ!桜木ホールディングス!
そんで父さんのことを褒められると、自分のことみたいで照れてしまうんだよなー。
「まあな!父さんはかなりのスゴ腕商社マンって有名らしいしぃ?」
「まじかー。えーと、じゃあ翔んちに6時でオッケー?」
「オーケーオーケー!楽しみだよな!」
「ウキウキだぜぇ!んじゃ、また後で!」
ウキウキッー!ワクワクゥー!
猿になっちまった…気を引き締めよう。
「ただいまーー」
「おお、翔。おかえり」
学校から帰って父さんがいることはほぼないので、少しびっくりした。
でも、今日はパーティーだから早帰りなんだな。
父さんのお陰だよなぁ、パーティーに参加できるのも。
父さんに感謝だ!!
「母さん、そういえば海斗も来るって」
「あら、良かったわ〜海斗くん頼もしいものね」
いつもはエプロン姿の母さんだけど、今日はよそ行きのワンピースか。
やっぱり大企業のパーティだもんな。
うんうん。母さんもまだ若いな。
そんなことを考えてたら母さんに急かされた。
「翔、早く早く。着替えなさいよ」
そう言って突き出されたのは、俺が普段は絶対着ないようなきっちりしたシャツ。
うわー…似合わないだろ…
うん、でもせっかく母さんが買ってくれたんだ。
とりあえず着よう。
「…え?!翔どうした?!」
すると丁度帰ってきたりんた兄さんに心配されてしまった。
「やっぱり似合わないよな…」
しくしく。少しは期待してたんだが…
「いや、違うって!かっこよくなり過ぎてて」
そんな言い訳はいらないよ…俺には似合わないんだよ…
「いや本当に!なあ父さん!」
急に話を振られた父さんは、少しびっくりした後こう言った。
「うん。似合うぞ、とてもダンディだ」
「はぁ…そう?それならいいんだけど…」
「似合うわよ!翔は自分がかっこいいことを自覚しなさい!」
母さん…親バカ…
まあ、似合うんなら良かった…。
りんた兄も同じような服を着て、(りんた兄かっこいい!)
空野家と海斗が乗った車は目的地の桜木ホールディングスへ向かった。
おお〜、着いたぜ!
これが桜木ホールディングス本社か…
言葉で表すとしたら「でかい」の一言だな。
「で、でかい…」
海斗もおんなじことを考えてるみたいだ。
「中へ入りましょ」
母さんに言われて会社の中へ入ると、受付嬢らしき女性にお辞儀をされた。
「空野様でしょうか?」
「はい。そうです」
戸惑う俺らとは反対に、慣れているだろう父さんははきはきと返事をした。
父さん、さすがだよな…
「空野様の案内係を務めます、田中と申します。宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします」
「いえいえ。ではパーティー会場へご案内致します」
迷路のような道を案内されながら歩いていく。
俺はどこが何かさっぱり分からないが、田中さんはすいすい歩いていく。
しかも俺らに案内もする。
田中さん、さすがプロ…
俺の推定によると田中さんは30前後だ。
他の50代の方達に比べれば、(俺が言うのも失礼だが)まだ働いている年数は少ないはずなのに、
これだけすいすいと案内するのは田中さんの努力なんだろう。
父さんにしても、田中さんにしても、やはり努力は大事なんだな。
俺が色々と考えているうちに、パーティー会場へ着いたようだ。
「こちらがパーティー会場です。どうぞお楽しみください」
「ありがとうございました」
「ではまた」
会場の扉を開けると、ガヤガヤ、とたくさんの人が集まっていた。
中には芸能人、アイドル、政治家もいて、他にも色々な分野の有名人がいる。
こんな凄いパーティーに俺らが来てよかったのか?
そう思ったのも束の間、俺、じゃなかった、父さんの周りに人がどっ、と集まってきた。
「空野さん!またお会いできて嬉しいです」
「潤くんじゃないか!また飲みでも行かないか?」
「あの節はありがとうございました!空野さんには本当に感謝しています!」
凄いなぁ…父さんは仕事もコミュニケーションも完璧にこなしてるんだな…
たくさんの人の中には、俺に話しかけてくれる人もいたが…
「きみ、翔くんかい?大きくなったなぁ!」
誰なのか分からない。え、誰なの?
「一応そうです」
「一応ってなんやね〜ん!まぁ、俺のこと分からへんのも仕方ないな!」
「はぁ…」
「俺な!きみが幼稚園に通ってた頃、潤が忙しいときは預かったりしてたんや!英治っつーねんけど、そん頃はえいじさん〜て翔くんにも言われてたな!」
「あぁ!えいじさんだったんですか?!思い出せず申し訳ないです!あの頃はお世話になりました…」
言われるまで気づかなかったのは…昔はもっと細かった…からだと思う…
「別にええよ!筋トレで筋肉がめっちゃついたお陰で友達にも気づかれへんくらいやから!」
あぁ…そうなのか!良かった、俺の記憶に間違いは無かったようだ。
英治さんと連絡先を交換して、別れたあとふと思い出した。
…俺、海斗放ったらかしじゃ…
思った通り隣に海斗はいなかった。
近くを見回すと、…あ、いた。
海斗のやつ、パリコレモデルと話してる?!しかも満面の笑み…?!
ひなせが見たらこれは怒るというよりショック受けるだろ?!
たたっ、と海斗のもとへ駆け寄り、声を掛けた。
「海斗、ひなせの事考えてる?」
振り返った海斗は、なんのことは分からないという顔をしていた。
「翔、どうしたん?」
「いや、彼女いるのにモデルとかにべったりしてたらちょっと…」
「俺が世界で好きな女子はひなせだけだぜ。さっきの人は連絡先聞かれたから断っただけだし」
「あ、それなら良かったけど…」
「ん。翔も和泉だけだろ、好きなの」
「そ、そうだね、うん。」
「じゃあ行こ〜う」
海斗とスイーツブースへ向かっていると。
…また隣に海斗がいない!
しかも、俺はパーティー会場を飛び出したみたいだ。
廊下じゃん…高校生なのに迷子になっちまった…
どうすんだ…
そこでふとさっきの田中さんの案内を思い出した。
「この階は本社と桜木さまのお屋敷が繋がる通路がございます。迷わないようご注意ください」
迷っちゃったじゃん…
うっかりお屋敷入ったら最悪じゃん…
いや、でも警備員さんとかいるよね?
うっかり入らないよね?
まさか入る訳ない。
今は会場に戻らないと。
記憶を頼りに歩いていく。
あ、ここだな。
扉をぐっと押して入ると、そこは会場では無かった。
…違った…戻ろうか。
まさかお屋敷との通路とかだったら最悪だもんなぁ。
がちゃ。
不吉な音がした。
扉が閉まってしまった…あぁ、どうしたらいいんだ。
いくら押しても扉は開かない。
横を見ると小さな看板が立っていた。
「関係者以外の立ち入りを禁止します
勝手に入られた場合は今後会社への立ち入りを制限します 桜木ホールディングス」
「た、田中さん…!俺は田中さんの言った通りになっちまった…!」
終わった…確定じゃん。
あ、携帯は?!
「今月分のギガがなくなりました」
…本当に終わった。最近のーじょーぼくじょーをやりすぎたからだ…
俺が絶望に暮れていると、誰かがこちらに叫びながら向かってきた。
誰だ?!もう俺の人生は終わった…楽しい人生だったよ…
「や、もうやめてくださいって!」
朝、さん?!
いや、違うよな。
目をこすってもう一度見ると、やっぱり朝さんだった。
あともう1人、朝さんを追いかける同い年くらいと男子。
え、あれは桜木ホールディングスの御曹司じゃないか?!
朝さんがこちらを見た。
「なんか分かんないけど、翔くんたすけてーーーー!」
ブクマ、星もよろしくお願いします!
泣いて喜びます!
感想はログインなしでも…




