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隣の和泉さんと農場ゲーム  作者: 春川
2人の出会い
18/25

第18話 縛られたくない

今日は多めかな!読み応えがたーっぷりです。

「朝!また明日〜!」


分かれ道になってひなせがひらひらと手を振る。


「ひなせ〜ばいばい」


ひなせに手を振り返し、くるり、と家の方向へ向かう。


…「ただいま」


家に帰ると、お母さんとお姉ちゃんが待っていた。


「あら、遅いじゃないの。今日は大事なお見合いなのに」


…忘れてた。今日はお見合いだったんだ。


本当は翔くんや星空くん、ひなせと話してたけど、そんなことを言ったら怒られる。


だって私は「和泉グループ」の社長令嬢だから。


学校ではひなせ以外の人には言ってない。


たまにお見合いやパーティとかに行くこともある。



遅くまで友達と喋ったり遊んだりしたらダメ、とお母さんが言う。


そして社長令嬢は狙われやすい、と念を押される。


本当はもっと遊びたい。


家柄とかそんなのに縛られたくない。


でも今はまだ高校生だから、


使うことを許されたスマートフォンでのーじょーぼくじょーをしてるだけだけど、


本当は一人暮らしもしたいし、アルバイトとしたいし…したいことがたくさんある。


ひなせの説得でなんとかいけたオフ会も、次は許されるか分かんないし。


だってオフ会って言ったら、ダメって言われるから、


友達と遊ぶって言わないと、ね。


その友達が誰か、どこで遊ぶのかも細かく聞かれてもうウンザリ。


ひなせと行く、って言ったらひなせ連れてくるし。


ひなせが察してくれたから良かったけど、ずっとこの調子だもん。


もっと私だって遊びたいよ!


門限は6時なのに、早く帰らないと怒られる、なんておかしいよ!


こんな生活嫌だよ…!


「朝、聞いてる?」


お姉ちゃんの夕が言う。


「ごめん。えっと、何?」


「…夕の会社はとうとう世界まで展開したのよ」


「へぇ。そう」


「なぁに?その素っ気ない返事!夕はすごいのよ?ほら!この新聞にも紹介されてるでしょう?」


と、新聞を見せながらお母さんが言った。


こんなのっておかしいよ。


お姉ちゃんは大学生なのに世界で活躍してる。


しかも高校生の頃から一人暮らししてるし、バイトもしてた。


門限だって一人暮らしだから自由だし…


全部お姉ちゃん優先なんだよ!


いつだって。


お姉ちゃんが「和泉グループ」の跡継ぎは嫌だって言ったから私になった。


お姉ちゃんがお見合い嫌だって言ったから私が行ってる。


なんで私とお姉ちゃんの扱いがこんなに違うの?


なんで、嫌だ嫌だって言ってるお姉ちゃんが褒められて、全部ちゃんとやってる私が怒られるの?


ふつふつと沸く怒りを顔に出さないように、ぐっと力を入れた。


「あらら、話していたから時間が過ぎてたわ、もう出なきゃ」


お母さんに急かされて、急いでお祖父ちゃんに買ってもらったお気に入りのワンピースに着替える。


「今日のお見合い相手はあの『桜木(さくらぎ)ホールディングス』の方なのよ!」


「へえ…えーっと、あれだよね、えっと」


私が口をもごもごさせていると、隣からお姉ちゃんが口をはさんだ。


「あんた、お見合い相手のことくらい知っとかなきゃだめでしょ」


ふっ、と鼻で笑われ、私は怒りを押されられなくなりそうだ。


危うく目の前のティーカップを投げつけてしまうところだった。


「だいたい、あんたは堅すぎ。だから彼氏ができないのよ」


苛立っていたところにさらに苛立ちの原因を投げつけられる。


「母さんも、朝にお見合いなんてやめさせれば?どうせ朝なんて…」


つづく言葉なんて分かっている。


「どうせ次女だから」いつもお姉ちゃんは私に言う。


ぷちん、と何かが切れる音がした。


目の前にあるティーカップをお姉ちゃんに投げつけようと思ったその時だった。



お母さんがお姉ちゃんの顔を「ぱちんっ」と殴った。


「…夕。貴女は確かに世界でも活躍してるし、色々なメディアで取り上げられて有頂天になっているかもしれない。」


お姉ちゃんが、違う!と怒鳴る。


でもお母さんはお姉ちゃんを無視して話を続けた。


「でもね、貴女がちゃんとやっていけるのも、全て朝のお陰なのよ」


またお姉ちゃんが怒鳴る。


「なんなの?!朝の味方をするの?!朝だって学校では私や家のことを自慢しているんでしょう?!」


「…してないよ。ましてや家の話もしてない」


「朝はたくさんの我慢をしているのよ」


お姉ちゃんがまた強く言い返す。


「私だってたくさん我慢しているわ!」


「そうね…夕にも朝にも苦労をかけた。2人ともごめんなさいね」


「…ううん。いいの。それよりお見合いに行こう?間に合うかな」


「夕も来るかしら?」


「…うん。行くよ」


外ではもう専属ドライバーの岩倉さんが待っていた。


「ちと遅かったですヨ〜。安全運転で急いで行きマァース」


年齢不詳…いつ見ても変わらない。



車の中で、お母さんはたくさん話をしてくれた。


お姉ちゃんを甘やかしすぎて我が儘な性格になったから、反省して私にはお姉ちゃんより厳しくしているということ。


いつも苦労をかけて申し訳ないと思っていること。


そして、なぜ厳しくしすぎるか。


お姉ちゃんのことだけではなかったみたいだ。


「お母さんは小学生の頃帰り道に誘拐されたのよ。大きな騒ぎになったわ。犯人は社長の娘を人質にとってお金を取るつもりだったそうよ。」


「幸い私は怪我が無かったけど、あの怖い思いは今でも鮮明に覚えてるわ…本当に社長令嬢、特にこんな大きなグループは狙われやすいの。そして特に帰り道は危ないの。」


私はお母さんの話をうん、うんととても良く聞いていた。


お姉ちゃんは興味なさげだという顔をしていたが、お母さんが話すたび無意識のうちにリアクションをしていた。


そんなこんなしているうちに、ようやく目的地、つまり桜木ホールディングス(お家)に着いた。


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