表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/33

第5話 タマのお勉強

ブクマありがとうございますっ



「だあああああああああああ!???」


目を開けたら、超超イケメン魔王様のどアップが飛び込んできて文字通りとび起きてしまった。

ベッドから落ちて後ずさる。

し、心臓に悪すぎる!

朝からイケメンのどアップってこんな破壊力があるのかっ!!

初めて知ったあああ!


「・・・どうした・・タマ?」

「わあああああああ!!???」


むく、と起きた魔王様。

眠そうな姿が、物凄い色気むんむん。

女なのに、色気に負けてしまった・・・。

いやそうではなく!!

何でこの人服着てないのおおおおおお!???

うわうわうわうわ!!

意外と細マッチョ・・・肌も白い・・

・・・・・・負けた。

いやだからそうじゃないって自分!


「タマ?ほら、こっちに来なさい」


ベッドから起き上がる魔王様。


「!!!!!!!!」


・・・・・・シーツで隠れた下半身も何も着てなかった。

私は生まれて初めて、男の人の全裸を見てしまった。







「そうかそうか、私の体に照れてしまったのか。愛い奴よ」


照れるとかそういうもんじゃないです!!!

でも言う勇気がない・・。

膝の上に座らされて、お腹やほっぺを揉まれる。

うううう・・・まともに男のアレを見てしまったよぉ・・。

・・・・・・・あれはまさしく凶器だった・・・。


「魔王様、タマ様。朝食の用意ができました」

「うむ」


あ・・シルヴィアさんだー・・・。

ああ、朝から疲れたよ私・・。



魔王様の膝の上に座らされたまま、私はサンドイッチを頬張った。

黒い葉と何かの肉が挟んであったが、味は普通に美味しかった。

青紫色のスープらしきものが、ぽこぽこ泡を噴いてるのが気になるけど・・。


「さあタマ。コンソメスープだぞ」


これコンソメスープなんだ!?

魔界のコンソメスープってこんな配色なんだねびっくり!!

差し出されたスプーンに引きつる口を開ける。


もぐもぐ・・・・・あ、本当にコンソメスープの味だ。



「タマ様、こちらの服をご用意いたしました」


朝食が終わった後、シルヴィアさんから黒い服を渡された。

制服じゃなかった。


「あの、私の制服は?」

「洗濯して保管しております。ご安心ください」


ほ、保管って。


「制服、着ちゃ駄目なの?」

「恐れながら人間界の服は魔界ではあまりに弱々しい造りですので、魔界の服をお召しになられた方がよろしいかと」

「弱々しい?」

「うむ、確かに人間界の服では魔界の雨も耐えられないだろうな」

「魔界にも雨が降るんですか?」


それは知らなかった。

意外と元の世界と変わらないかも。


「降るぞ。酸の雨が」


前言撤回。

酸の雨って何、酸の雨って。


「悪魔族や魔獣達には影響はないが、人間界の服だとすぐに溶けてしまうな」

「人間も溶けるでしょう!!!」


はっ思わず突っ込みを入れてしまった!

でも魔王様は気にしてない様だ。

良かった・・怒ってないみたい。


「何、お前は大丈夫だ。その鈴を付けているんだからな」

「え?この鈴ですか?」


魔王様が付けた首の鈴。

これを付けてるから大丈夫とはいったい?


「この鈴はお前の身を守る為の物でもある。魔界では人間のお前には不都合な事も多いだろうから、少しでも暮らしやすいようにと思ってな。

この鈴を付けていれば、酸の雨もお前には普通の雨と同じで影響は全くない」


そ、そんなに凄い鈴だったのか!

ただの首輪じゃなかったんだ・・びっくり。


「だが人間界の服にまで鈴の効力はない。魔界で暮らすからには、魔界の服を着た方がいいだろう。人間界の服よりもずっと防御力が高くなるぞ」


防御力って、そんなRPGみたいな。

ん~でも服に鈴の効力はないという事はつまり・・。

制服を着て外に出て、酸の雨に降られて私自身は無事でも、服だけ溶けるオチって事かな?

だったら嫌だなぁ・・。


「じゃあ、この服を着る事にします」


その方が私にとっても良いだろう。

黒い服はまるで魔法使いが着ているローブみたいなデザインだった。

良かった、露出がほとんどない。


「よし、着替えを手伝ってやろう」


はい全力でお断りさせていただきました。

シルヴィアさんも私の味方をしてくれた。

やっぱりシルヴィアさんは良い骸骨さんだ。




「タマ、今日はお前にこの魔界について色々教えてやろうと思う」


魔界の服は意外と着心地良かった。

そして今はシルヴィアさんが朝食の後片付けをして部屋を出た為、魔王様と二人っきりだ。

うう緊張する・・。

魔王様は私を抱っこして、部屋のいくつかある扉を開けた。



「うわあ・・・」


扉の向こうは図書館のごとく、本棚がいっぱいあった。

まるで以前テレビで見た、世界の美しい図書館に出てくるような幻想的な部屋だった。


「ここは私の書庫だ。タマも自由に使っていいぞ」


すげえ、流石魔王様。

書庫も立派過ぎる。

自由にと言われても・・・文字、読めるかなぁ・・?

魔王様は中央にあった、これまたでかい書斎机の椅子に腰を下した。

んで私は膝の上。

下ろす気、全くないと見た。

もうずーーーーーーっと、魔王様は私のお腹を揉んでいる。



「では始めようか」


魔王様が机の上で手を翳すと、机に何やら立体的な地図のようなものが現れた!

うわああ!漫画みたい!


「まずは地形について色々教えよう。この大陸を中心に周りに七つの大陸があるのが分かるか?」

「はい」


確かにぐるっと囲むように、島が七つある。


「この七つの大陸は私の配下達の領土となっている。

名はルシファー、サタン、レヴィアタン、ベルフェゴール、マモン、ベルゼブブ、アスモデウスと言って、奴らは七つの大罪と呼ばれている」

「七つの大罪・・聞いた事あります」

「人間界でも、奴らは暴れ回った事があるからな。その時名が広がったのだろう」


いや私は漫画でそんなタイトルがあったなぁという記憶しかないんです。

読んだ事ないけど、確かそんなタイトルだった気がする。

あとサタン・・駄目だ、ドラ○ンボールのキャラしか浮かばない。


「私に忠実な部下達だ。きっとタマとも仲良くなれるぞ」

「そ、そうですか・・・」


はい、仲良くなれる自信、まーったくありません!!

つい今しがた人間界で暴れ回って名前が広がったと聞かされたんだよ。

怖い悪魔さんだとしか思えないよおおおおっ。


「そしてこの中央の大陸が私の領土だ。この城もこの大陸にある」


魔王様が指を動かすと、立体地図に出てる中央の島が大きく表示された。

あ、お城だ。

凄い、何か模型みたいっ

お城の周りは・・森だらけだ。


「お城の周りは、森しかないんですね」

「この大陸には私の城と森しかない。森にはアンデッド兵士達が何万といる。

私の魔力が込もったその鈴を付けていれば、兵士達もお前には逆らわない。だから迷子になっても安心だぞ」

「アンデッド、兵士」


アンデッドって、あの外国映画とかで人間に襲いかかるあれ?


「手足をもがれようと、溶かされようともすぐに復活する兵士だ。中々役に立つぞ」


アンデッド兵士。

頭の中で甲冑を着たゾンビが浮かぶ。

鈴を付けていれば安心だと言われても絶対お目にかかりたくない!

絶対森には入らないようにしよう、うんこれも魂に刻んだ。


「このちっちゃな島は?」


中央の島の近くに小さな島があった。


「これはアンヴォーカという、召喚の儀式用の島だ。島には搭があり、その中に召喚魔法陣がある。奴隷召喚や使い魔を初めて召喚する時はここを使用するのだ。

タマも人間界からここに召喚されたんだぞ」


あ、あそこか。

気づけば魔法陣の上に絵理奈達といたんだけっけ。

・・・絵理奈達、どうなったんだろう?


「あ、あの魔王様、絵理奈達はどうなって」

「次は魔界の歴史について教えてやろう」


魔王様がまた手を翳すと、本棚から何冊もの分厚い本が集まった。

何これ?百科事典より分厚いんだけど!


「ず、ずいぶん厚い本ですね・・」

「魔界の歴史が書かれているからな。まずはこの本からだ」


魔王様が周りに浮かぶ本を一冊取った。

うーん、いかにも難しそう。

中を開くと、見た事のない文字がびっしりと・・・・。

うわあ何だこれっこれが魔界の文字?

読めねぇええええええ・・・・・・あれ?


「魔界歴912・・・読める・・・?」

「それもこの鈴を付けてるからだ」


ちりん、と魔王様が私の首に付けた鈴を揺らす。


「これには私の魔力を存分に込めてある。お前の身を守る為のものだが、魔界文字も翻訳できるようにしておいた」

「そ、うなんですか」


凄い便利だなこの鈴。

ただの鈴じゃなかったんだ。


「さあ歴史の勉強をはじめよう」


その日は一日中、分厚い本と魔王様の説明による勉強会で終わった。

私は歴史は苦手だったけど、魔界の歴史は意外と面白かった。

中にはとても口に出せない残酷な内容とか、エロティックな年齢制限物の歴史もあったけど・・。

魔王様の説明も、学校の先生よりずっと上手だった。

こんな先生だったら、学校の成績うんと良かっただろうな。


「タマは偉いな。集中力もあって真剣に私の話を聞いて、本当にいい子だ」


こうやって話の合間に褒めてくれるのも、かなり嬉しかった。

勉強で褒められたの、おじいちゃんおばあちゃん以外でいなかったし。

お父さんとお母さんは、お兄ちゃんだけしか褒めなかったんだよね。

お兄ちゃんは私をバカデブって言ってたし。


「どうしたタマ?」

「あ・・えと・・褒めてもらえて嬉しいな、って思って・・」

「・・・・・・」


魔王様は、笑った。

とても優しい目で、笑った。


「タマ、私のタマ。お前は本当にいい子だぞ」


抱きしめられた。

何度も抱きしめられたけど、今はそんなに嫌じゃないかも。



「ああこのもちもちしつつ、手にしっかり馴染むぽよんとした感触・・これはもはや芸術としか言いようがない・・何て気持ちが良いんだ」


・・・太ももを撫でまわされた。

やっぱりこの魔王様、物凄いイケメンなのに残念なセクハラ魔王様だ。

あれ?私何か魔王様に聞きたい事があったような?

うーん・・・忘れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ