第29話 タマの夢
これは、波の音?
海の匂いがする。
あ、おじいちゃんとおばあちゃんだ。
それに、小さい私もいる。
そうだ、これは小さい時おじいちゃんとおばあちゃんが海に連れてってくれた時の夢だ。
夏休み、お父さんとお母さんはお兄ちゃんの勉強を見てあげるのに忙しいからって理由で、私だけおじいちゃんとおばあちゃんと出かけたんだっけ。
貝殻を拾ったり、波打ち際でぱちゃぱちゃ遊んでる私。
おじいちゃんとおばあちゃんは、にこにこ私を見てる。
この時楽しかったなぁ・・。
かき氷も買ってくれて嬉しかったんだよね。
小さい私は岩場に歩いて行った。
人気もない寂しい岩場。
ちょうど、大きな岩で周りからも見えにくい。
そこで小さい私はとっても綺麗なものを拾った。
あれは、真珠?
ほんのりピンクがかった白い真珠。
小さい私は宝物を見つけたキラキラした目で真珠を見つめた。
その時、私は出会った。
相手は・・・・。
「夢・・・・・?」
そこで目が覚めた。
魔王様に抱きしめられた状態で。
毎度の事である。
たくましい胸元が目の前にあるのももう慣れてしまった。
「誰に会ったんだっけ・・・?」
そこだけ思いだせない。
そういえばあの真珠もどうしたんだっけ?
思い出せないや。
魔王様はまだ眠ってる。
耳を澄ますと、魔王様の心臓の音が聞こえる。
穏やかで規則正しい音だ。
実は魔王様のこの心音を聞くのが好きだったりする。
物凄く落ち着くのだ。
凄く安心してしまう。
守られてる安心感がある。
すごく、心地いい・・・・。
二度寝かましてしまった。
シルヴィアさんに起こされるまで魔王様と熟睡。
魔界に来てからの方が凄い良く眠れるようになったんだよね・・。
おまけにお風呂で使う石鹸も超高級品。
バランスの良い豪華な食事、お肌はもうつるつるでニキビ知らず。
水疱瘡の跡も消えたよ。
魔界すごいわ・・。
「・・・・・ん?」
紅茶を飲んでいた魔王様が窓の方を向く。
何だろうと私も見ると、サンドイッチかじりついたまま硬直した。
窓の外に黒い塊。
もじゃもじゃ動いてる。
な、何だあれは!?
よーく目を凝らしてみると・・・。
「ひっ・・!!」
ハエの、大群だった。
何千匹のハエが窓の外にいた。
きっもちわるうううううう!!
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