第24話 ベルフェゴールさんは匂いフェチ?
黒い雲がぷかぷか。
その雲の上に寝そべって、すぐに眠っちゃいそうな顔の悪魔さん。
この悪魔さんこそ、七つの大罪の一人であるベルフェゴールさん。
な、何かレヴィアタンさん達と比べると威厳が感じない・・。
というか魔王様が目の前にいるのに、ベルフェゴールさん身なりとか整えようともしない。
ある意味凄いな。
「ベルフェゴール、例の件だ。お前の力を借りたい」
「・・・んん~」
ベルフェゴールさんは気だるげに手をぱんぱん叩く。
と、今まで飾りだと思っていた鳥の彫刻が動き出して驚いた。
「うわっ本物?!」
「これはベルフェゴールの右腕ともいえるフェニックスだ」
フェニックス!?
つまり不死鳥?!
うわあ、本当にいたんだぁ・・。
「ん~・・えっと~・・シルヴィアっていうメイドのー・・不眠解消でしたね~・・・」
フェニックスがベルフェゴールさんを起こす。
雲の上で胡坐をかくベルフェゴールさん。
起き上がるのもめんどくさいの・・?
「あの、シルヴィアさん・・本当につらそうなんです・・どうにかできませんか・・?」
本当にどうにかしてくれるのか心配だよ。
ここは私からもしっかりお願いしないと・・!
「ん~・・・・・・」
ベルフェゴールさんはしばらく私を見つめると、もそもそ動き出して雲から降りた。
そしておもむろに。
くんくんくんくんくんくんくんくんくんくん
匂いをかがれた。
凄い思いっきり。
「こら何をしている」
ベルフェゴールさんから私を引き離す魔王様。
そして私を隠すように私をマントの中に。
「ん~・・・なんかぁ・・凄く良い匂いがぁ・・したんです・・・。俺、凄く良い気分になったんですよ・・・もうちょっと匂いをかがせてくれたらぁ・・がんばれそうです・・」
え、私良い匂いするの?
まあ確かに毎日良い匂いのするお風呂に入ってるし。
お洋服は毎日洗濯してもらってるし。
「図々しいにも程があるぞベルフェゴール。タマは私のものだ、匂いも全て私だけのものだ」
「ええ~・・・・」
いや匂いもって魔王様、とんでも発言。
んでも本当にベルフェゴールさんやる気、出してくれるのかな・・?
「あの・・、匂いかがせたら・・シルヴィアさんの不眠症、治してくれますか?」
「タマ・・っ」
「魔王様、私は別に全然構わないですよ。それでシルヴィアさんが元気になるなら」
「タマ・・・お前は聖母か・・」
何か魔王様、口に手を当てて感動している。
聖母って。
「ん~・・かがせてくれたら頑張るよぉ・・・」
「んじゃ・・どうぞ」
魔王様、ものすごく嫌な顔をしてる。
大丈夫だから、と私はベルフェゴールさんに近づく。
「あの・・もし触ったりしたら魔王様、キレそうなんで・・」
「うん~・・匂いをかぐだけ~・・・・」
一定の距離を保って、ベルフェゴールさんがくんくん私の匂いをかぐ。
傍から見たら何だコレ?だろうな・・。
ベルフェゴールさんってもしかして、匂いフェチ?
「(あ~・・・やっぱ良い匂いだ・・。女嫌いの俺をこんな良い気持ちにさせるなんて・・タマ様って何者なんだろ・・)」
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