第22話 シルヴィアさんが大変です
誘拐事件も何とかひと段落して、私は今優雅なお茶タイムです。
魔王様も一緒。
美味しい紅茶のシフォンケーキを堪能して幸せな時間・・・なんだけど、シルヴィアさんの様子が変なんだ・・。
いつもきちんとしているシルヴィアさん。
綺麗な金髪縦ロールが、今日はくしゃくしゃ。
メイド服も何か、よれっとしてる。
極め付けが目の下の隈。
骸骨だけど、隈がはっきりできてる。
それに何かふらついてるし・・。
シルヴィアさん、病気?
「シルヴィア、どうした?今日のお前は変だぞ?」
「シルヴィアさん大丈夫?」
「申し訳ございません・・魔王様、タマ様・・大丈夫でございます」
「全然大丈夫じゃないように見えるんだけど・・」
「何かあったのなら話せ。遠慮はいらん」
「はい・・・ありがたきお言葉です・・。実は・・・」
シルヴィアさん、ここの所よく眠れていないという。
まずベッドに入ってもまったく眠気が来ない。
ハーブティーを飲んだり、軽く運動しても効果が全くなく、ようやく眠気が来ても1時間ほどですぐ目が覚めてしまうとの事。
昨夜なんか、一睡もできなかったらしい。
悪魔でも不眠症ってあるんだ・・・。
「眠れないって辛いですね・・」
「原因は分からないのか?」
「原因・・一つだけ、心当たりがあるのですが・・」
最近、シルヴィアさん枕を変えたという。
お気に入りの枕を、寝ぼけて風魔法で引きちぎってしまって急遽新しいのを安く購入したのだが、それが合わないらしい。
何か、人間っぽいなこの話。
「ご心配おかけして申し訳ありません・・仕事にはなるべく支障を出さないようにしますので・・」
そう言ってシルヴィアさんはまだ残っている仕事を片付けるために部屋を出た。
何か可哀想だな・・。
「魔王様・・シルヴィアさん、何とかできませんか?いつもお世話になってるから、何かしてあげたいです」
「うむ・・シルヴィアはこの城のメイド長としてよく働いてくれているしな・・」
魔王様はしばらく考え込む。
「ならばベルフェゴールの出番だな」
「ベルフェゴールさん・・七つの大罪さんの一人ですね」
確か、雲に乗ってて凄く眠そうな顔をしていたあの悪魔さんだ。
「ベルフェゴールは眠りに関しては右に出るものはいない。即解決できるだろう」
眠りに関してはって・・かっこいいんだかそうでないんだか。
でも七つの大罪さんでもあるし、シルヴィアさんの不眠症治せるかも。
「ベルフェゴールさんに是非相談しましょう!」
「そうだな。では手紙を出そう」
魔王様はベルフェゴールさんに手紙を送った。
返事はお昼過ぎに来た。
牛柄の封筒で来た。
可愛かった。
「・・・・・あのベルフェゴールが数時間で返事を返すとは・・・」
魔王様、何か返信の手紙を受け取って驚いてる。
手紙の返事、出すの遅い相手なのかなベルフェゴールさん?
でも確かにいるよね。
いつでも出せると思って中々行動に移さない人。
手紙の内容はこうだった。
『お待ちしてます』
ミミズが張ったような字でこれだけ。
魔王様に出す返事にしては失礼に値しないかこれ?
でも魔王様は、自分で書いてよこすとは・・あいつ悪いものでも食ったか?と本気で心配していた。
魔王様によると普段は手紙の返事も、部下に書かせるというめんどくさがりさんらしい。
・・・・任せて良いのか、心配になってきた。
ともかく、私と魔王様はビアンカに乗って(ブランシュもちゃんと一緒)ベルフェゴールさんの大陸へ向かう事にした。
シルヴィアさん待っててね!
必ず不眠症治してあげるから!!
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