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第19話 タマに忍び寄る影

かなり短いです。

次はもう少し長くなると思います



蝋燭だけの光しかない暗い室内。

大きな大きな蜘蛛から糸を紡いでいく男の姿があった。

ペストマスクにより、顔は分からないけれどマスクの下の口元は弧を描いていた。


「ふふ・・ふふふふ・・・この糸であの方を・・・・」


かたん、かしゃんと男は機織り機を動かし始める。

怪しい笑い声が室内にずっと、ずっと響き渡った。





「芽が出た!!」


シルヴィアさんから貰ったクリスタルフラワーの種とサタンさんから貰ったアミュレットフラワーの種。

育てはじめて数日、ようやく芽が出たのだ!

う、嬉しい・・・努力がようやく実った気分だ。

どちらも普通の緑色の芽。

こうして見ると、ただの花の芽だなぁ。

これだけだと、魔界の花とは思えない。


「でもまだ芽が出ただけ!花が咲くまで頑張らなきゃっ絶対枯らさないようにするぞ!」


花が咲いたら、まずは最初に魔王様に見せたい。

魔王様はどう思ってくれるだろう?

どんな事を言ってくれるかな?

褒めてくれるだろうか?

よくやったとか、綺麗に咲いたなとか、言ってくれるかな?

また、頭を撫でてくれるかな?


「・・・・あれ?」


私、結構魔王様の事好きなのかな?

・・・・・まあ嫌い、ではないな。

暇さえあれば、私のお腹に顔埋めたり二の腕揉んでたり太腿撫でてくる残念なイケメンだけど。

でも魔王様は私に酷い事は絶対しない。

些細な事でも褒めてくれて、受け入れてくれる。


「・・・私、魔王様の事・・どう思ってるんだ?」


嫌いじゃないのは確かだ。

だが、どう答えたらいいか分からない。

何だろうこの感じは?


「・・・・・・よく、分かんないな・・・」


如雨露の水を出たばかりの芽にあげる。

だから気づかなかった。


背後でいつの間にか佇んでいた影に。





「タマ様。少しばかり私めとお付き合いくださいませ」


後ろから、長いしなやかな腕がタマを捉え抱き寄せる。

タマが持っていた如雨露が床に落ち、水が絨毯にシミを作る。

部屋には、もう誰の姿もなかった。




眠るタマをベッドへと寝かせる。

穏やかな寝息だ。


「魔王様にバレたら、私の命はないかもしれませんねぇ~・・。

ああ、でも我慢できなかったのです・・どうしても、我慢できなかった・・・」


ペストマスクの下の顔が狂気じみた笑みに染まる。


「タマ様・・・私の思いを、どうか受け止めてくださいませ・・」


七つの大罪の一人、マモンは魔王の怒りを承知の上でタマを自分の城へ連れ込んだ。

己の野望を達成する為に──。


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