第17話 豪華すぎで、派手な大陸
はじめてのドラゴンフライ。
一言でいうと・・・・最高である。
「うわあああ!凄い凄い!!」
髪がばさばさになるけど、風が凄く気持ちいい!
強風だけど、嫌な強風じゃない。
何というか、とにかく爽やかな風って感じ!
それに空から見た魔界は、綺麗だった。
おどろおどろしいと思ってたけど、こうして見ると絶景かも。
「ぎゅおおおおおっ」
ビアンカが声を上げる。
これはかなり調子が良い時の声だと魔王様は教えてくれた。
「きゅおおおおお~」
「ブランシュ、お母さんの真似?」
「きゅうっ
可愛いなぁもう。
でもほんと、最高の気分だ。
恐怖とかまったく感じない。
ビアンカが安全に飛んでくれてるのもあるけど、魔王様がいるお陰だろう。
凄い、安心感がある。
落ちないよう支えてくれてるし、ドラゴンの乗りこなし方を丁寧に教えてくれるし。
魔王様って、本当優しいなぁ・・・。
「あ、何かやけにキラキラした島が見えてきた」
空からでも分かる、すっごいキラキラした島。
何だあのキラキラ?
「あれがルシファーの住む大陸だ」
へーあのキラキラな島が・・。
魔王様がビアンカに島へ降りるよう命令する。
低く鳴いて、段々降下を始めるビアンカ。
ほんと、何であんなにキラキラしてるんだろう?
その疑問はすぐに分かった。
宝石が、木から生えてる。
生えている木、全部に宝石が実っている。
大粒なダイヤモンドやらエメラルドやらルビーやらが、ごろごろ実ってる。
え、これ夢?
「この大陸では木の実の代わりに宝石が実るんだ。魔界にある宝石はすべてこの大陸のものだ」
木の実じゃなくて宝石が実る・・魔界すげええええ!!!
すっご・・これが人間界にあったらとんでもない事になるよ・・。
所有権めぐって醜い争いおきそう・・。
街を見下ろすと、宝石屋さんがいくつもあった。
アクセサリーのお店もいっぱいある。
凄いなぁ、活気がある。
ルシファーさんのお城へ行くと、更にすごかった。
金ぴかの、シンデレラ城のようなお城だった。
金色ですっごい派手。
お城の外でルシファーさんが手を振っていた。
「魔王様タマ様!お待ちしておりました!!」
びしっとポーズを決めてお出迎えなルシファーさん。
イケメンだからポーズがやけに様になってる。
ビアンカとブランシュも一緒にお城の中へ入ってもいいみたいなので、中へ入ると、もう派手どころではなく絶句してしまった。
二本足で立つ梟や、クジャク。
そしてやっぱりいた骸骨メイドさん。
ただ、彼らの格好が凄かった。
サンバだ。
皆、きらびやかなサンバの格好をしている。
とんでもなく、露出が激しい。
梟やクジャクは、男性の、かなり良い筋肉を見せている。
骸骨メイドさんは、人間ならかなりギリギリなラインまで見せている。
いや、派手に動いたらポロリしちゃいそうな・・。
な、何か異次元だ。
ここだけ異次元になってる。
「ご、ゴージャスですね・・」
「ありがとうございますタマ様!我が城は七つの大陸の中でも最も気品があり上品で美しいと評判なのです!」
まあ、今の所、派手さでいうならこの城が一番だ。
「相変わらずお前の美に関する追及は感心するぞ。この城もチリ一つなく素晴らしい」
「お褒めのお言葉感激でございます・・!!」
確かに壁も床も鏡みたいにぴっかぴかだ。
土足で上がり込むのも躊躇するくらい。
「では早速だが、魔界樹の所へ。タマも同行して良いか?」
「勿論でございます」
そうだ、本題は魔界樹だ。
あまりの派手さに頭から抜けてたよ。
ビアンカとブランシュは骸骨メイドさん達に任せて、私と魔王様はルシファーさんの案内についていった。
ついたのは大きな魔法陣がある部屋。
「ここは?」
「地下へ行くための転移魔法陣です。魔界樹はこの城の地下に生えているのです」
「私と七つの大罪、地下を守る番人以外、魔界樹のある魔域への立ち入りは堅く禁じられている。この転移魔法陣は私と七つの大罪以外には使用できないようになっているんだ」
魔域?聖域と同じ意味かな?
「あの・・そんな大事な場所に私ついていっていいんですか・・?」
魔王様と七つの大罪以外駄目って言いましたよね今?
「タマなら良い」
「タマ様なら構いません」
何で!!!
皆さん私に甘すぎやしませんか!?
「いやでも、他の人の立ち入りは堅く禁じられてるって・・」
「私が良いと言っているんだ。問題はない」
「それに、タマ様は魔王様の鈴をつけていらっしゃいますから大丈夫ですよ」
鈴?
これ、関係あるの?
「鈴を付けてないと、どうなるんですか?」
「地下に入った瞬間、結界魔法により魂ごと燃え尽きます」
・・・・・・・・・・・・・・・こええええええ!!!!
私は何があっても鈴を守ろうと誓った。
魔法陣の上に立つ。
しかし不安だから魔王様にしがみ付く。
魂ごと燃え尽きるなんて恐ろしすぎる。
魔王様は嬉しそうにしてるから別にいいだろう・・!!
「では魔界樹のもとへ」
魔法陣が光り出す。
転移魔法は移動している感覚が全くない。
次の瞬間にはもう目的地についている。
「・・・・・ふわあ・・・」
目の前にとんでもない大木があった。
ト○ロに出てくるあの木みたいに、凄く大きい木だ。
あ、頭の中でト○ロのBGMが流れる・・。
でも木の傍にはバカでかいライオンと、バカでかいグリフォンがいたからすごいビビった。
この二匹が魔界樹を守る番人らしい。
番人にくんくん匂いを嗅がれた。
鼻息すっご・・!
でも、二匹はごろんと寝転んでお腹を見せてくれた。
うわあ、これも鈴のお陰だろうか?
ライオンなんかすっごい喉鳴らしてる。
とりあえず、わしゃわしゃと二匹のお腹を撫でてあげた。
「・・・なるほど、確かに少しおかしいな」
魔王様は少し眉を寄せて魔界樹を見上げていた。
どう可笑しいんだろう?
「どこが可笑しいんですか?」
「うむ、魔界樹は本来赤く輝く花が咲いているんだ。だがその花が一つもない・・」
花?
見上げると、確かに艶々と葉っぱはあるけど花はどこにも見当たらない。
「どこか弱っている訳でもないのですが・・以前は花がいっぱいでしたのに、先日から急にこのような状態に・・。まるで花が消えてしまったかのように一輪もないのです」
「ふむ・・・・」
「大陸には何の影響もないんですが、全く原因不明なのです」
原因不明。
本当に、どうしたんだろうな?
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