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第11話 温泉で仲良くなれた


「露天風呂もあるとは・・こだわってるなぁ」


人魚さん達とお別れをした後、夕食の前にお風呂を勧められた。

これまた広い露天風呂。

しかも完璧日本形式。

魔界とは思えないや。

魔王様は当然別々で入ってる。

残念そうな顔をしたけど、これだけは絶対譲れない。


「タマ様、失礼いたします」


レヴィアタンさんがタオルを巻いた姿で入ってきた。

一緒に入るのかな?


「お背中を流しに来ました」

「ええ?」


変な声が出てしまった。

まさかそんなハーレム物の漫画で男主人公に起きたラッキーハプニングみたいな台詞をリアルで聞くとは・・!

いや、女同士なんだけどね!


断り切れずに、レヴィアタンさんが背中を洗ってくれてる。


「あの・・私よりも魔王様のお背中を流した方がもっと良いのでは?」

「そ!そんな私などがそのような・・恐れ多いです!!」


レヴィアタンさん、真っ赤になってる。

石鹸泡立てすぎて凄い泡だらけになっちゃった。


「ま、魔王様にはメイド達を遣わせていますからご安心ください」

「え、そうなの?」


そういえば、ふりふりエプロンを着けた和風なメイドさんもいたなぁ・・。

骸骨の。

骸骨メイドさんは魔界では普通なんだろうか?

という事は今、魔王様の風呂の世話を骸骨さん達が・・・。

いかんいかんっ

何か一種の特殊プレイみたいな想像してしまった。


「むしろ私がメイドさんで、レヴィアタンさんが魔王様という役割の方が良いんじゃ・・?」

「わ、私では何かご不満でしょうか?!」

「いやいや!!そういう意味じゃないですごめんなさい!ただ、レヴィアタンさんはここでは偉い人のようだから、魔王様のお世話はレヴィアタンさんの方が良いんじゃないかなぁって・・偉い人には偉い人みたいな?」


やば、悪い事言っちゃったかな?

だってレヴィアタンさん、魔王様の事凄く慕ってるみたいだし、その方が良いんじゃないかと思ったんだけど・・。


「・・・・・・・です」

「え?」


レヴィアタンさんはもじもじしている。


「ま、魔王様とお風呂・・なんて・・緊張して・・固まってしまいます・・・」


・・・・・・・・・・K A W A I I !

何て可愛いんだこの悪魔さんは!!

美少女ヒロインとしてはもう完璧!

ウルトラ合格だよ奥さん!(誰)


「そっかぁ~。確かに緊張するかもね~」

「はい・・・」


私の場合は違う意味での緊張だけど。

でもほんと、レヴィアタンさんって可愛い悪魔さんだわ。


「それに・・」

「ん?それに?」

「わ、私全然肉付き良くなくて・・痩せっぽっちだから・・タマ様が羨ましいです」


ふぁ!?

何を言いだすのかしら一体!!?

痩せっぽっち?

そんなの私一度も言った事ないよ!!


「いやいや!細くて良いじゃないですか!むしろ私はそっちの方が羨ましいですよ!!」

「で、でも魔王様は肉付きの良い方がお好みなんです!タマ様のような!」


いや好みって・・。

魔王様の私に対するあれは単にころころ太った動物に対しての情愛ですよおお!

それに私は肉付きが良いを通り越してまっせ・・。


「タマ様は柔らかくって思わず触ってみたい体で魅力的なんです!・・凄く羨ましいです」


わー。

魅力的なんて人生で絶対言われる事ないと思ってたー。


「私はレヴィアタンさんの方が羨ましいですよっ!

細くって愛らしくって目はぱっちりしてて思わず守ってあげたくなる可愛さを持った美少女なんですから!!」


思わず拳を握って力説してしまった。

でもほんと、レヴィアタンさんはデブの私からしたら羨ましい美少女だもの。


「でも私は胸だって・・」

「そんなの問題じゃないです!これから成長の可能性もあるし、レヴィアタンさんは可愛いから胸の大きさなんて問題ないですよ!」

「ち、ちっちゃいし・・」

「小さくてもレヴィアタンさんは七つの大罪という凄い悪魔さんなんでしょ!?全然問題なし!」

「ま、魔王様の好みとはかけ離れてるのに・・」

「あの人なら気に入らない相手なら視界にも入れようとしないでしょう?」


まだ魔界に来て数日だけど、大体魔王様の性格は把握した。

レヴィアタンさんも確かに!という顔をした。


「わ、私もっと自信持って・・」

「持って良いですよ!持つべきです!だってレヴィアタンさん凄く可愛いんだから!!」

「い、いつかなでなでとか、してくれるでしょうか?」

「してくれるしてくれる!!絶対!!」


ぐっと親指を立てる。

きっとこの会話、隣にいる魔王様に筒抜けだろうし。


「な、何か自信わいてきました!」

「良かったね!レヴィアタンさん!」

「ありがとうタマ様!」


私達はお互い手を握り合った。

何か、良いお友達になれそうな予感。





お風呂から上がって、まるで宴会場みたいな畳の部屋に案内され、出された夕食はまさに旅館の豪華な夕食であった。

おおっお刺身まである!


「レヴィアタンは本当に日本式に拘っているな」


ほんとほんと。

魔王様も私も浴衣を着ている。

風呂上りで浴衣姿の魔王様・・何たる色気。


これも魔界に暮らしてから分かった事だけど、悪魔達は基本人間を奴隷としか思っていない。

でも魔法が使えないのに、まるで魔法のように発展させていった技術には感服する悪魔達も多いだとか(シルヴィアさん情報)。

一気に仲良くなったレヴィアタンさんから聞いた話だと、たまたま人間界に行った時に初めて日本の温泉に入って日本のサービスが行き届いた旅館に酷く感激して、魔界に帰ってすぐ自分のお城を旅館風に変えちゃったらしい。

外国からわざわざ泊まりにくるという温泉旅館もあるけど、悪魔も虜にするとは・・凄いな温泉旅館。


「魔王様、タマ様。本日の催し・・お気に召されましたか?」


レヴィアタンさんは今度は仲居さんみたいな恰好で正座してる。

拘りすごい!


「もう凄く最高です!」


私は全然文句ない。

むしろここまでしてもらえて、申し訳ないくらいだ。


「うむ・・人魚達の演奏会も見事であったし、温泉もこの料理も素晴らしい。レヴィアタンよ、感謝するぞ」


そうして魔王様は、レヴィアタンさんの頭をそっと撫でた。

やっぱり聞いてたね魔王様。

私と目が合ったとき笑ってたし。

レヴィアタンさんはぽっと赤くなって嬉しそうにはにかんでた。

私がこっそり親指を立てると、それに気づいて満面の笑みを向けてくれた。


夜は夜で旅館で言うなら一番お高い部屋で一泊した。

布団も畳の上に敷かれた日本風。

・・・・一組の布団に枕二つだったけど。

当然のように私は魔王様の抱き枕状態で一晩過ごした。


まあ何はともあれその後、私とレヴィアタンさんは時々手紙を送り合うくらい仲良しになった。

レヴィアタンさんの使いの空を飛ぶ黒猫が手紙を運んでくれる。

その手紙で、レヴィアタンさんが2000歳を超えた年である事を後に私は知って椅子からひっくり返ったのだが、それはまた別の話である。

閲覧ありがとうございます!

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