第10話 人魚一族の王様達
人魚達は歌を聞かせてくれた。
私と魔王様に捧げる歌だとか。
楽器なんか持って、女の人魚さん達は高らかに歌ってる。
まるでオーケストラだ。
あれだ・・リト○マーメ○ド思い出すねっ。
レヴィアタンさんは、中心になって歌ってる。
凄く綺麗な声だ。
人魚さん達もだけど、レヴィアタンさんの声は凄く透き通ってるというかどこまでも響くって感じ!
楽器の演奏も全然眠くならないし!(クラシックとか眠くなる)
「凄い凄い!!」
終わって私は盛大に拍手してしまう。
だってほんとに凄かったんだものっ。
魔王様も拍手している。
人魚さん達は嬉しそうだった。
「人魚さん達も物凄かったけど、レヴィアタンさんの声ほんと綺麗だったです!」
もう私は興奮気味だ。
レヴィアタンさんはちょっと照れた感じでありがとうございますと頭を下げた。
うわああ、美少女の恥じらいパねぇ・・・。
「レヴィアタン、素晴らしい歌だった。相変わらずお前の声は美しいな」
「魔王様・・もったいないお言葉感謝いたします」
あ、レヴィアタンさん更に赤くなった。
うーん、美少女はどんな顔も可愛いな。
「人魚達も素晴らしき演奏であったっ」
やっぱり魔王様の一声は違うね。
人魚さん達、わあって喜んでる。
魔王様の前で歌や楽器とか緊張するだろうなぁ。
私にはできねえや。
リズム感ないもん。
リコーダーも満足に吹けなかったし。
学校の発表会ではトライアングルが精いっぱいだったわ・・。
「あ、あの・・タマ様・・」
ん?
わあ、さっきの子達よりもちっちゃい人魚の女の子だぁ。
かわゆいっ。
「こ、これ・・どうぞ・・」
女の子の小さな手には、綺麗なサンゴがあった。
「うわあ、綺麗っ。これ、貰っていいの?」
女の子はこくこくと頷いてる。
プレゼントか、嬉しいなぁ。
私はサンゴをありがたく受け取った。
「どうもありがとう」
頭を思わず撫でちゃう。
女の子はちょっと驚いたようだけど、えへへっとはにかんでた。
うわああ愛らしいっ。
「ほうタマ。良いものを貰ったな」
「はいっ凄く綺麗です」
ほんと、このサンゴ透き通ったピンク色で綺麗だわぁ。
「それは紅玉サンゴといって、それを持っていれば魔界の海の中でも呼吸ができ自由に動けるのだ」
「え、そんな凄いものなんですか!」
「うむ、流石は人魚の姫君。素晴らしい贈り物だ。私からも礼を言おう」
人魚の女の子はもう全身真っ赤で照れてる。
そうかーそんな凄いものを貰っちゃったんだ。
人魚のお姫様ありがとう!
・・・・・ん?人魚の、お姫様?
「魔王様、もう間もなく人魚一族の王と女王と王子が来られます」
「そうか。奴らとは久しいから楽しみだ」
え?え?
王様と女王様?
それに王子様って?
ぱああああっ!
わわっプールの中央に何か魔法陣が浮かんだああ!?
そこから現れてくるのは・・。
「へ?」
50センチくらいの王冠を被った男の子の人魚とティアラを付けた女の子の人魚だった。
あ、周りの人魚と変わらない男の人魚さんもいる(超イケメン)。
王子があの男の人なら、あのちっちゃい二人が王様と女王様?
「お父様ーお母様ーお兄様ーっリンリ、ちゃんとできたよーっ」
人魚の女の子が三人に泳いで近づく。
ティアラを付けた人魚が女の子を抱きあげた。
「まあリンリ、いい子ね」
「えへへ~」
「魔王様、タマ様、レヴィアタン様。この度は遅れてしまって申し訳がありません」
やっぱり小さい二人が王様と女王様らしい。
周りの人魚さん達が超イケメン筋肉もりもり&超美人ナイスバディなだけにものすごいギャップがあああ・・!
「いや、こちらも急な呼び出しすまなかったな」
「いえいえ、タマ様が我々人魚一族との交流を望まれた事、大変光栄でございます」
「タマ。この者が人魚一族の王、ポセイドン。その妻のアムピトリーテ。第一王子のリオン、第一王女のリンリだ」
王子だけ遺伝子違うんじゃないかというくらい体格の差があるのは何故?
王様も女王様も王女様もかしこまって頭を下げてくるので、私も頭を下げる。
王子もお辞儀したけど、何か凄い無表情・・。
嫌われてるっぽい・・?
「随分遅かったわねポセイドン」
「申し訳ございませんレヴィアタン様。ジャイアントクラーケンとジャイアントオクトパスがつまらぬ小競り合いを始めたもので・・」
「ああ、あの魔獣達は仲が悪いらしいな」
「魔王様の言う通り、あの魔獣達には困ったものですわ」
ジャイアントクラーケンとジャイアントオクトパス。
巨大なイカとタコだろうか?
頭の中で巨大イカと巨大タコ、世紀末の大決闘なんてフレーズが浮かぶ。
うわああ見たくねええええ。
「それにしても・・魔法陣から出てくるとは思わなかったです」
「人魚一族は水のある所なら、どこでも出入り自由だからな」
そうなんだ。
この温水プールも例外じゃないって事なんだね。
「普段皆さんはどこに住んでいるんですか?」
「私たちは海の底の宮殿で暮らしております」
「人魚一族はレヴィアタンの命により、この魔界の海に生きる生物たち、全ての管理を任されているんだ」
うわ大変そう。
「忙しい中、何かごめんなさい」
「とんでもない!我々はタマ様とこうしてお会いできて光栄でございますっ」
王様めちゃ焦ってる。
なんかほんと申し訳ないな。
「いやいや、ほんと都合も聞かないで・・。いつもご苦労様ですっあと、このサンゴありがとうございます。本当に嬉しいです」
駄目だ適切な言葉が浮かばない!
でもとにかく、次はちゃんと相手側の都合も聞こう。
「タマ様・・恐縮でございます」
「お気に召されて、何よりです」
「タマ様ー」
王様も女王様も、王女様も笑ってくれた。
良かった・・。
でも王子様はずっと無表情のまま。
やっぱり嫌われてるっぽい?
「あ、レヴィアタンさんも色々ありがとうございます。お陰で凄く楽しいです」
「!いえ・・タマ様に気に入ってもらえて幸いです」
いやでもほんと、本物の人魚には会えたし良い演奏は聞けたし。
身も心も潤ったって感じ!
「タマ様ーこんど宮殿にも来てください~」
「こ、これリンリっ」
宮殿か。
人魚の住む宮殿。
見てみたい、かも。
私は魔王様を見上げる。
「では次は直接宮殿へ出向こうとしよう。勿論お前達の都合がつく日に」
都合のつく日。
魔王様、私の意図読んでくれたみたいっ。
「!!魔王様とタマ様が宮殿に!ありがとうございます!」
そ、そんなに喜ぶ事かなぁ?
周りの人魚さん達も騒いでる。
「魔王様とタマ様ならいつでも歓迎でございますっああ、何というありがたき幸せ・・」
「わーいわーいっ」
レヴィアタンさんが静かにしなさいと怒るまで、人魚さん達は歓喜の声を上げてた。
そんなに、嬉しい事なのかな・・・?
でも気になるのは人魚の王子だった。
宮殿に行くという話が出た時、凄く嫌そうだったような・・?
やっぱり私が人間だから、かな?
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