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トカゲのしっぽ作戦開始!


 トカゲのしっぽ作戦、通称”トカ戦”と名付け、私は決行することにした。

 だが、どのタイミングで寝れば、いつに飛べるのかまだ理解していなかった。


「ん~とりあえず10時に寝てみよう!」

 そう呟き、目覚ましをセットして寝床についた。


「(ピピピピッ、ピピピピッ)ふわっあー・・と朝だ!今日は何日かっと、、」


 4月20日、よし、2週間後に飛んだ。10時に寝ると2週間後と、ノートにメモをして学校へ向かった。


「おはよー、ねぇ那奈、今日って何日?」

 一応確認した。


「え?きょ、今日は4月20日だけど、、あなた転校生?なんで私の名前知ってるの?」


「あ、そーだっけか、そう転校生!名前は名簿見たから~なんとなく覚えてたの。私は浜辺 鳴海ってゆーの!よろしくね!」


「うん、よろしく!」


 っあぶねー、そうか、私の記憶は更新されていくけれど、みんなの中で未来に飛んでいる分、私は存在しないことになっているんだ。これは慎重にいかないとね。


「ねぇ那奈、このクラスに遠藤っているでしょ?」


「うん、遠藤 優くんでしょ?もちろん知ってるよ!みんなのヒーローだもん!」


「え?ヒーロー?」


「そうだよ?そうか、鳴海ちゃんは転校生だから知らないんだね。あの人は、簡単に言うと人を助けるようなことを常に考えているのよ!」


「人を助けるようなこと?例えばどんなこと?」


「例えばー、いじめられている人がいたら全力で助けたり、コミュニケーションが苦手な人がいたら、上手に話かけて、みんなの輪に入れてあげたり、って当たり前のことだけど、結構難しいことを何でもやっちゃうの!だから私の中では彼はヒーローなの。」


「へぇー、そんな良い奴やってるのか。」


「え?鳴海ちゃん遠藤くん知ってるの?」


「あ~~いやいや全然、そんな良い人いるんだね、私もちょっと喋ってこようかな。」

 と、私は遠藤優の肩を叩いて、こう言った。


「ねぇ遠藤くん、初めまして、転校生の浜辺 鳴海です。よろしくね!」


「転校生?うちのクラスに転校生がいたんだ?よろしく!俺は遠藤 優!ん?浜辺?鳴海?」


「え?」


「違っていたらごめんね、君もしかして海の近くで暮らしていたことあったりする?」


「ななななんでよ、無いわよ!私は生粋の都会っ子だから!」


「そうだよね、ごめんごめん、実は俺が探している人と同姓同名だったから、もしかしたらって思って。」


「探している?へぇー、あ、そうなんだー、あはは、見つかるといいね!じゃ」


 なんなのよ、なんで私のこと知ってるのよ、え?


 『私のことを探している?』


 なんで?なんでなんでなんでーーーーー。理由を聞けば良かった。けど、なんか理由を聞くことが怖かった。私の知っている遠藤優は、お父さんのかたきなんだ、変な感情はいらない。


 その日わかっことは、遠藤優がみんなのヒーローってことと、なぜか私のことを探していることだった。一応ノートに書いておこう。


「よし、今日は9時に寝よう、おやすみー」

 そう呟き、寝床についた。




「(ピピピピッ、ピピピピッ)ぬん、朝か!よし!今日は何日だ?・・・ん?6月11日?えーーー!」


 なんと、2カ月先まで飛んでしまったのだ。どーゆうこと?理解が追い付かない。とりあえず学校に行かなければと、足早に学校へ向かった。


「(ガラガラ)、、おはようございます。」

 私は聞こえるか聞こえないかの声で自席についた。


「あれ?あなた誰?」

 隣の席の片桐 那奈が話しかけてきた。


「あ、私転校生の浜辺 鳴海、よろしくね。」

 何回この自己紹介を繰り返せばいいんだ、と思ったが、まぁ実際みんなには初めましてなんだから仕方ないか。


今日は私を探している理由を聞いてみよう。それがとりあえず今日の目標だった。


「あの~遠藤くん。」


「え?君だれだっけ?」


「あ、私転校生の浜辺、、鳴海、、よろしくね。」


「そーなんだ、よろしく!俺は遠藤 優!ん?違っていたら申し訳ないんだけど、君って海の近くで暮らしていたことある?」

 キタキタキターこの質問。


「あ、うん、あるよ?なんで知っているの?」


「やっぱりそうか!いや実は、こんなことを言うのも変かもしれないんだけど、俺は君と結婚する運命なのかもしれない!」


「はぁ?何言ってんのよ!出会ったばっかりで結婚って無理に決まってるでしょ?」


「いや今すぐなんて言ってないさ、実は過去いろいろあってね、俺は君と同じ名前の子をずっと探していて、いつからかその子のことだけを考えながら生きてきたんだ!それが君かもしれないってわけ!」


「勝手なこと言わないでよ!何があったってゆーのよ!」


「君って、もしかして小さい頃お父さんを海で、、」


「そうよ、だから私はこうして、、あ、いや何でもない。続けて!」


「うん、たぶんそうだと思う。実は昔、君のお父さんに言われたんだ。娘を頼むって。」


「え?私のお父さんが?お父さんと話したことがあるの?」


「ある。と言っても、鮮明には覚えていないんだけどね!俺が小学校3年生のころ、あの日俺は死のうとして、一人で電車に乗り、荒れた海へ入って行ったんだ。そしたら、一人の男の人が自殺しようとした俺を助けに来た。それは、紛れもなく、君のお父さんだった。」


「じゃあ、あの時、死のうとしたあなたを助けて私のお父さんは死んだってゆーの?、、最低!!」


 私は話の途中で、教室から逃げ出してしまった。


 お父さん、お父さん。辛いよ。


 遠藤優は、助かった命と引き換えに、私のことを結婚する運命とか言ってる。なんでかわからない。


 6月の外はやけに静かで、暗く、いつ雨が降るのかわからない梅雨空だった。

 まるで私の心を映し出しているかのようで、今泣いてしまったら、雨に打たれてしまう。傘を持たない人は濡れてしまう。それが人生であり、人は傘を持たずして、雨の中前へ進むことが困難な生き物だ。

 あなたの傘になる、それは特別な人へ送る言葉。


 きっと素直になれば、傘なんていらないのに。





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