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聖女さまは魔王を守りたい  作者: 朝霧あゆみ
聖女さまとラザン帝国
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聖女様と伝説の王

更新が遅くなってすみません。

久しぶり?に、あの人も出てきます。

『なんだ、小娘ども。封印を解いたのはお前らなのか?』

「なんか偉そうなやつが出てきたけど、どうする?」

「もう、うざくて偉そうな奴はおなかいっぱいなの。」


ハンナと二人、箱から出てきた謎の男を前にしながらこそこそと話し合う。


『誰がうざいやつだ!全部聞こえとるぞ!』

「思ったより耳がいいみたい……。」

『ふん、貴様ら人間どもと一緒にするんじゃない。我はこう見えて……』

「こう見えて、って言われても、封印されてる箱から、怪しい魔力を纏って出てくる時点で、普通じゃないなの?しかもティーナお姉ちゃんと私を見て、小娘だ、人間だっていうところを見ると、大したやつではないという判断なの。何も見てないの。」


ぴょこぴょこと羽を揺すりながら、ハンナは呆れた顔で男を見る。

アレクシスたちとそんなに変わらないくらいの年齢に見えるが、まぁ、見た目と年齢は一致しないしな。青い目と青い髪。古竜族(ヒメたち)のエメラルドグリーンとは違い、透き通るような、それでいて深みのある美しい青だ。


『ふん、ひ弱な獣人ごとき、人間と変わらんわ。そっちの娘は魔力が多少……多そうだが、何だ?獣人か魔族なのか?』

「うーん、この偉そうな態度を見るに、竜族か何かなの?」

「そうだねぇ。おやっさんに気配が似てる気がしないでもないけど。」

『おやっさん?よく分からんが、あんなトカゲと一緒にするな。我は妖精族だ。』

「えー……?ようせい?」


……。妖精(フェアリー)族といえば、神出鬼没で、特殊能力を持っていて、羽根の鱗粉が不老長寿の妙薬だったり、涙が宝石になったり、神の加護で生まれた不思議な一族て聞くけど。妖精って、こう、もっと、かわいいのがいい。がっしりした体躯の青年は嫌だ。


『そんなあからさまにがっかりした顔をするな!普通は会えたら感激するものだぞ!利用価値も高いし、優秀だし!』

「自分で利用価値とか優秀とか言っちゃう妖精って……。」

「痛々しいの。」

『うるさい!何なんだお前らは!』


謎の妖精の扱いに困っていると、流石に怒り出してしまった。

でもさ、封印されてたんだし、助けてやったようなもんなんだから、偉そうにされる筋合いはないと思うんだがなぁ。


「後、気配が禍々しいの。妖精ってもっと神秘的なオーラを持ってるはずなの。」


そういってハンナは、いきなり男の脛に蹴りを入れた。


「ちょ!?」

「いてぇぇぇ!?何しやがる!」


男が、ひざを抑え、涙目になりながら講義すると同時に、コロコロと何かが地面に落ちた。


「ちっさ!あ、でも宝石。ブラックオパールにブラックオニキス、ブラックダイヤ。見事に黒いね。」

「不本意だけど、本当に妖精みたいなの。」


不機嫌そうにその宝石を拾い、まじまじと見つめるハンナ。

もしかしてこの子、こう見えて私と同じく、妖精に何か幻想を抱いていたのではないだろうか。

そんな中、こんな奴が妖精だっていうんだから、がっかりだよなぁ。


『不本意とは何だ!』

「なんかおかしいよね、あんた。呪われてるの?」

『……うっ。何故分かった。』

「いや、こんな真っ黒な宝石ばっかり生み出しといて、何故も何もないでしょ。」


陸の妖精だと、ダイヤやエメラルド、サファイヤにルビーなんかを出すはずなんだけど。こんな真っ黒いのしか出さない妖精なんて聞いたことないし。


『我は、妖精王なのだ。本来はもっと大粒のダイヤとかを生み出して、尊敬と羨望の眼差しを受けるはずだったのに!!あの女め、宝石が欲しいからといった理由で、我の国を根こそぎ奪いよって!そうだ!あれから何年たっている!?王妃は!?姫は!?』

「と言われましても、妖精の王国が滅びたのって7千年程前でしょ?それ以降は、各地でたまに妖精の生き残りが見つかるくらいで……。」

「な、ななせん、ねん……だと?」


男は、愕然とした表情で、その場に膝をついた。

まさか、なん千年も封印され続けてたってこと?


「うーん。なんか、悪い妖精王がいて、聖女さまがやっつけた、みたいなおとぎ話があったような気がするけど。」

『誰が悪い精霊王だ!!聖女と名乗る女が突然やってきて国を滅茶苦茶にしたくせに、どういうことだ!』

「私に言われたって知らないわよ。そんな、7000年も昔の話。」


なんか話がややこしそうなので、放置しようと思ったが、流石に精霊王を名乗るやつを放置しておくのもどうかと思うわけで。


「しかし妖精王ほどの人が、何でまたこんな箱に。」

『妖精王は不死身だからな。しかも、我がいる限り妖精の国のモノに手を出すことができない。だからといって、まさか、悪魔の魂を利用して封印されるとは思ってもいなかった。聖女という肩書に騙されたが、あの女は欲望の塊だ。恐ろしい、悪魔よりも悪魔のような女だった。はて、そういえば、お前が封印を解けた、ということは……まさか……せ、せい……ひぃぃ!?』


突然頭を抱え、プルプルと震え始める。

七千年前に何妖精王。


「確かに私は聖女だけど。そっか、やけに簡単に封印が解けたと思ったら、聖女がキーになってたのね。」

『ごめんなさいごめんなさい。お願いですから家族と国民には手を出さないで……。』


急に子ウサギのように小さくなって震える妖精王らしき青年。

どうやら、7000年前の聖女に、トラウマになるようなことをされたらしい。

でもなー。伝記上は悪の妖精王とか言われてるし、突然、国を襲ってきたって、聖女がそんなことするかなぁ?


「そんな大昔の話は分からないけど、その禍々しい気が悪魔の魂なら、私が何とかしてみようか?」

『できるのか!?ぜひ頼む!こんな姿では、嫁や娘に会ってもわかってもらえない!』

「さすがに嫁や娘が生きてるかどうかはわからないけど。ていうか、その姿も悪魔の影響なのね。」


私は、さっさと聖女の魔力を練り上げ、浄化の魔法を唱える。


「ちょっと熱いけど我慢してね。浄化の炎(ヘブンファイア)

『へ?あちゃちゃちゃっ!?』


本来は浄化をする魔法なんだけど、悪魔の魂が混ざりこんでいるので、無理やり引き離すためには仕方ない。綺麗な腰までのストレートだった髪がなんかチリチリになってるけど、良いよね。


「無茶をするなぁぁぁ!!」


煙の中から現れたのは、透き通る羽をもった青年だった。手のひらサイズとは言わないが、さっきより一回り小さく、見た目も10歳ほど若い。

サイズ以外、見た目はほとんど変わらないが、確かに禍々しい気は消え失せている。どちらかといえば神聖な気だ。


「あ、少し縮んだ。」

「ふん、本来はこのサイズだ。汚らしい悪魔の魂など混ぜおって。」


確かに妖精は神の加護を持っているので、魔人の加護を持つ悪魔の魂とは相性が悪いだろう。

声も、なんかさっきよりクリアに聞こえる。


「で、王妃様とかお姫様とか言ってたけど、心当たりはあるの?」

「本来は、全ての妖精は妖精王とつながっている。涙の宝石を悪用されそうになると、我の力をもって国民全員を石に変えてしまうのだが、混ぜ物をされたせいで石化の魔法が使えなくてな。封じられる間際に、王の力を娘に託し、国民を石化させるように命じたのだが、その後はどうなったのか。」

「……はっ。ということは、あんたは()妖精王なわけね!」

「……いや、まぁ、そうだけど。変なとこ細かいな、お前。」


さっきの焼却、じゃなかった、浄化で多少心を許してくれたのか、普通にしゃべってくれるようになった。

しかし、妖精王だの聖女だのと言った話が出てきたら、もう私の管轄を外れている気がする。

そういうのは、古竜のジジイや父様の方が詳しそうだ。

しかし、ヒメがいない今、古竜のジジイと連絡を取る手段はない。

となると、やっぱりあれか。


「私はよく分からないからさ、もう少し詳しそうな人のところに行きなよ。」

「詳しい人?」

「魔王とか、古竜の竜帝王とか。」

「急に難易度高いこと言うな、お前は!どっちも、そうそう会えるようなものじゃないだろ!これだから聖女って嫌い……。」


何やら、トラウマが蘇ったらしく、俯いてもじもじしている。

しかし、この封印箱、何でこんな怪しい宗教集団のアジトに放置されていたんだろう。

ふと疑問に思い、こいつが封印されていた木箱をじっくりと見る。

すると、がっちり封印されていた上の部分とは別に、下の方に小さな小窓?のような部分があった。

そこには封印はないが、何やら魔法がかかっている。


「へー。中にいたあんたの魔力を凝縮して結晶化し、取り出す機構なのね。」

「そうだ。数日に一度程度取り出すことができたらしい。人間どもは()()()()()()()と呼んでいたようだがな。ここから採れる宝石は呪われているから、身に着けると様々な悪影響があるぞ。」

「へぇ。これ、もしかして、この組織運営の資金源の一部だったりして。」

「もしかしなくてもそうなの。で、妖精王は殺せないなら、おそらく娘さんもどこかに何らかの形で封印されているはずなの。」

「何!それなら、早く助けに行かねば!」


急に慌てだす元妖精王。しかし、7000年も前のことを、今更数日急いだところで変わらない気がする。

そもそも、どこに封印されているかも知らないのに。なので、私はとりあえず彼を魔王領に送ることにした。

まず、下準備として、魔力が外に漏れないように結界を張る。

出ないと、漏れ出た魔力で近場の人がダメージを受けかねないからだ。


「落ち着いて。どこにいるかもわからないのに、助けられないでしょ。詳しそうな人を呼ぶから、とりあえずそっちに行ってくれる?」

「竜帝王や魔王を呼ぼうってのか?そんなバカげた……」

「できるよ。竜帝王は、()()()無理だけどね。」


そういって私はお守りを取り出すと高く掲げて叫んだ。


魔王召喚(サモン・おとうさま)


眩い光とともに、その場に現れたのは、何故か真っ白になり完全に目が死んでいる、引き締まった体躯の男性、魔王(とうさま)だった。


「父様?……何があったの?」

「はっ!ティーナちゃーん!マイエンジェルゥゥゥ!!!」

「きゃぁぁぁ!?」


突然意識が戻ったかと思いきや、全力で抱き着いてきた。

一体何が!?世界最強ともいわれた魔王にここまでダメージを与えられる人なんて、この世にいるの!?

一瞬考えた後、私以外に二人ほど思い当たったので、気にしないことにした。

シンディの馬鹿、とか、エミールちゃんがどうとかぶつぶつ言っているので、おそらく何かあったのだろう、うん。


「父様、落ち着いて。ちょっと、お願いがあるのよ。」

「ん?ええよええよ。ティーナちゃんのお願いなら、ワシ、何でも聞いちゃう。」


しばらく私を撫でて満足したのか、さっきまでの放心状態が嘘のように落ち着き、親ばか状態に戻った父様を見て、話を切り出す。


「ここにね、元妖精王とか言う人がいるんだけど。」

「そこで倒れてる人かの?」

「ん?」


みると、そこには魔王の魔力に当てられたらしい元精霊王が気絶していた。

やれやれ、毎回これだなぁ。


暑い日が続きますね。

皆様、お体にお気を付けくださいませ。


いつもありがとうございます。

これからも、よろしくお願いいたします。


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