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聖女さまは魔王を守りたい  作者: 朝霧あゆみ
聖女さまとラザン帝国
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聖女さまは従者たちと合流する

遅くなりました。

今度は手足口病だったようで、高熱の後喉と口内炎の痛みで大変なことになっていました。


少し遅れ気味ですが、これからもよろしくお願いします。




因みに、ハンナが思い込んでいるだけで、この場にクロコダイルは居ません。全部劣化竜です。

「ハンナの記憶がないから良いけどさ、何であそこまで直接的なダメージ与えたの?」


ハンナが獣化していまい、我を忘れていたのを直したのは古竜であり、ヒメの父親(おやっさん)だ。

しかし、改めて考えると、ちょっと内臓潰すほどは、やり過ぎじゃないかと思ったのだ。


「古竜は魔法にも長けてるんでしょ?もうちょっと、羽を焦がすだけとか、幼女に対する優しさが必要だと思うんだけど。」

「ティーナお姉ちゃんには言われたくないと思うの。子供は優しく扱えなの。」

「えええ、何で私!?」


まさか、滝のそばでハンナをぶん投げたことにより、彼女が重傷を負っていたとは知らない私は、全力で抗議する。


「たわけ。アレは、必要なのだ。そうだな、例えるなら、羽化した蝶を治癒してイモムシに戻すことなどできんだろう?それに近い状態になっていたのだ。一度、獣人の獣部分を死の淵まで追いやらんと人型には戻らんのよ。」

「えええ、そんなやばい状態なの?あれ。」

「ゼルくんのような魔族の半獣人化とは訳が違うのだ。獣人の獣化は、命懸けだというておろうが。殺してしまわぬように人化した上で、狙った臓器だけを潰したんだ、我の技術を褒め称えるが良い。」


むむ。おっさんのくせに、なんか説得力が凄い。でも褒めない。なんか癪だから。


「で、やっぱりキュートプリンセスは来てないのか?」

「しつこいなー。何度も言ってる通り、ナルノバ王国で休んでるって。」

「ううっ。お父さんの格好いいところ見せた上で再会できると思ったのに!」

「一週間程度しか離れてないのに再会とか大袈裟な言葉使わないの。」


いじける、おっさん改めおやっさんを放置しながら、ぐちゃぐちゃになった、生き物の死骸を見る。


「ハンナがやっつけたの。クロコダイルなの!」

「クロコダイル?こんなだっけ?」


挽肉になってしまっているので全ては詳しくは分からないが、確かに爬虫類っぽい鱗や牙が見える。

爪もそんな感じだろう。クロコダイルも爬虫類系だしなぁ。

でも、ぱっと見たところ、劣化竜が混ざってるのは間違いない。全部劣化竜(レッサードラゴン)かと思っていたけど、違うのか?コレじゃ、分からん。

一部はヒメの父親(おやっさん)を見つけた時に焼いちゃったしな。

クロコダイルと戦ってる最中に劣化竜が参加してきたとかかなのかなぁ。


「うーん?」


おやっさんは、不思議そうな顔をして肉塊を足でちょんちょんと蹴る。


「我の記憶のクロコダイルとは違う気がするが。というか、全部劣化竜な気がするのだが。」


ブツブツ呟いているか、独り言なのでほっておく。

しかしまぁ、かなりの部分がミンチになってるとはいえ、凄い量。なんか勿体無い。


「クロコダイルは食べれないの?」


ハンナが肉塊を見ながら首をかしげる。まぁ、勿体無いよね。基本倒した魔物は大まかに解体して魔法収納に入れているが、コレだけぐちゃぐちゃだと、肉くらいしか使えそうにないしなぁ。


「コレがクロコダイルかどうかは別として、クロコダイルも劣化竜も食えるぞ。鶏肉のようなオーク肉のような味で、それなりに美味いぞ。」

「じゃ、持って行こうかな。」


流石は長生き古竜。詳しいですな。

せっかくの肉なので、野宿のときに食べる用に持っていく事にした。

綺麗そうなところをナイフで切り分けると、ポイポイと収納に入れていった。

どうにもならなそうなところは仕方ない。そのうち適当な魔物が来て食べていくだろう。


解体のついでに拾った劣化竜の火袋や爪、牙、魔石なんかも、ちょっとした小遣いになりそうなので一応回収しておく。

クロコダイルの皮は、そこそこ良い素材らしいので少し欲しかったが、探しても見つからなかった。

燃えちゃったのか、見つからないくらいくらいぐちゃぐちゃになったのか。

まぁ、仕方ない。


「さて、ヒメに会えないなら我はそろそろ行くぞ。」

「あ、ありがとう、おやっさん。」

「ところで、なんでこんなところにいたの?古竜の住処とは逆方向なの。」

「うっ。ちょ、ちょっと用事があったのだ!我は忙しいのだ!」

「ふーん。まぁいいや。お礼になるか分からないけど、お酒は持ってないし、良ければエリクサー少し持っていってよ。」

「なんと!有り難い。アレは貴重品だからな。我々の中でもそれほど在庫があるわけではない。まれに過去の遺物として見つけるくらいだ。」

「でしょ!でしょ!ほら、やっぱりエリクサーは素晴らしいものなのよ!」


久しぶりにまともな評価を受けたエリクサー。

収納の肥やしとか、失敗作とか、不遇な扱いを受けていたが、本来はこうして崇め讃えられるアイテムなのだ!

褒められて気分を良くした私は、収納からエリクサーと上級回復薬を取り出す。


それぞれ、1()0()0()()()()


「……。」

「ふふふっ!遠慮なく持っていってよー!」


魔力の扱いが得意な古竜は、意外にも回復薬作りは苦手と聞いたことがある。

材料をこちらで用意したこともあり、ヒメは難なく作っていたが、何でも薬草との相性があまり良くないらしい。

薬草を取ると、竜の魔力に当てられて薬草がすぐに枯れてしまうのだとか。

一応、魔力操作の練習として少量作る事はあっても、わざわざ自分たちで薬草を取ってきて普段使い用に作る事は少ないらしい。


しかし、おやっさんは受け取りもせずエリクサーを見て固まっていた。


「……。」

「足りない?」


あれ?


感謝より先にドン引きしてる気もするが。

おかしい。もっと感謝される予定だったのに。


「普通は、出し惜しみしながら価値を高めていくものなの。そんなにポンポン渡したら、ありがたみも何もないの。」

「はっ。嬉しさのあまり、つい!」

「……全く、聖女ってやつは相変わらず規格外だな。」


正気に戻ったらしいおやっさんは、苦笑するとエリクサーをひとつ手に取り、まじまじとみつめる。


「これ一つで、平民なら数十年暮らせる額になるというのに。市場に出したら価格が崩壊しそうだ。」


そういや、そんなことも言ってたな。金貨5000枚とか何とか。


「とはいえ、あくまで今の価格だ。歴代の聖女がある程度安定供給していた頃は金貨100枚前後で手に入ったがな。」


50倍ですか。

そこまで値上がっちゃうと、普通の人は手が出せないよね。


「でもさ、作れるのが聖女だけなら、仕方ないんじゃないの? どうしたって、需要と供給が合わないでしょ。むしろ、金貨5000枚出してでも買えるんだから良いじゃない。」

「ああ、それな。後、あまり知られていないが、神の加護のある地域で、稀に沸くんだ。」

「何それ?」


初耳。聖女が作る以外に、エリクサーが有るなんて。


「天然物は我々も殆ど見たことが無いぞ。神の祝福がある土地に、たまたま生える変異種の薬草の蜜が同じ効果を持っている。しかし、大体はエルフの住む森の側だからな。人間やその他の種族の元にはそうそう回って来ん。稀にエルフたちが取引の中でもたらす事がある程度だ。」

「へぇ。色々、知らないことが多いな。」

「ふふん。古竜を見直したか?」


偉そうに踏ん反り返るおやっさん。

こういう態度を取るから、素直に尊敬できないのだが。


「これだけあれば、エルフどもから強気な取引を持ちかけられる事もあるまい。この際遠慮なく貰っていくぞ。」


そう言って、おやっさんは合計200本の回復薬を収納にしまうと、満足そうに頷いた。『これで、旨い酒も飲めそうだ。』と、ぼそりと呟いたのも聞こえたが、まぁ、何に使おうと私の知ったことでは無い。

ハンナを助けてもらったお礼なのだから。


「で、お前の従者たちは大丈夫なのか?」

「何が?」


ゼルたちのことなら、私たちの水浴びを待ちながら、軽食でも食べているのでは無いかと思うのだけれど。


「いや、さっきあっちに、ビッグホーンの群れがいたからな。普通と違って50体ほどいたぞ。あれだけ食おうと思ったらなかなかのものだ。お前の桁外れの収納が必要になるのでは無いかと。」

「おい。」


早く言えよ。


「そう言えば、かなり前にあっちで、魔法が炸裂するような音がしていたの。ゼルさんたちなら負ける事はないと思うけど、様子を見にいったほうがいいかもしれないの。」

「おい。」


お前もかーい。

全く心配していないにも程がある。

まぁ、私たちと違って3人だし、ゼルが気絶すれば鬼神の如く降臨するロベルトが居るしなぁ。

いくらビッグホーンが50体いようとも、所詮はBランクモンスター。魔族にとっては少し厄介な程度で、殺されたりする事はないだろう。


「うーん、まぁ、一応水浴びの前に観に行くかぁ。」


汗もかいたし汚れたし、水浴びしたいところだが、そのせいでアレクシスたちが死んでたら王様たちに合わす顔がない。


「それでは、我はこれで失礼する。我が娘(キュートプリンセス)にはくれぐれも、よろしくな。我の勇姿を余すところなく伝えてくれ。パパ、素敵!格好いい!大好き!って、なるようにだぞ!」

「……はいはい。分かりましたよ。」


しつこく言い続けるおやっさん。

何とか追い払うと、私たちは駆け足でゼルたちと別れた林道へと戻った。


そこに転がるのは、またも魔物の死体の山。

大型のイノシシで、額に生えた鋭いツノが特徴の、一頭で500キロくらいあるビッグホーン。

それが、辺り一面に切られたり焼かれたりしてゴロゴロと転がっていた。


「ああ、お嬢様。サッパリしましたか?」


そんな道の片隅で、人の良さそうな笑みを浮かべ、ゼルがのんびりと魔物の解体をしていた。


「あれ?アレクシスとジークハルトは?」

「ああ、あちらで休んでます。」


指さされたそこには、血と泥にまみれてぐったりと座り込んでいる二人の姿があった。



いつもありがとうございます。

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