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聖女さまは魔王を守りたい  作者: 朝霧あゆみ
聖女様と人間の国
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聖女様と聖女の伝承

隔日更新のつもりが、3日に一回になりつつあります。

気合い入れて頑張ります。


何も為さない聖女なぁ。


因みに、伝承上、一番いろいろな事をやったのは101代聖女。

《幼い頃からその能力を余す事なく発揮し、何と一歳にて大人の言葉を全て理解し、言葉を話していた。魔族と比べても遜色ないほどの魔力を持っており、人でありながら神になったと言われる聖女である。

聖女の魔力の使い方を完全把握し、勇者と協力して多くの魔族を討伐することに貢献した。神の知識を用い、病の治療や原因の根絶にも貢献した。驚異的な量のマジックアイテムや回復薬も作ったことで知られている。》


「怖!101代目、怖!」

「ああ、カムラ?」

「あんたまさか、全部覚えてるの?」

「いや、全部ではないけど、聖女の中の聖女と言われたカムラは有名だよ。」

「名前だけ見れば、何も為さない聖女様と似てるのにね。」

「んー?あ、発音によってはそうかもな。でも、全然違うよ、彼女は最高の聖女だ。」

「魔族を虐殺してるんだし、私からすれば最悪の聖女だけど。」

「勝てば官軍、かな。」

「ん?人間は難しい言葉を使うね。まぁ確かに、勝ったほうが正義なのかも知れないわね。片方を滅ぼして仕舞えば、どっちが悪いかなんて分からないし。」


そう言うと、アレクシスは苦笑した。


「普通に考えるとおかしいよね。基本的に全てにおいて魔族より劣っているはずの人間が、優位な形で世界が回っているんだから。」

「劣ってるかどうかは、何を基準にするかで変わるわよ。」

「それはもちろん、そうなんだけどね。」


しかし、王たちですら呪いの影響下にあり、多くの人が思考を抑制されている中で、アレクシスは平気なのか。

最初は、チャランポランで間抜けのふりをしているからだと思った。

だが、本を書いたり研究したり、多少なりとも 、周りに知られるほどには聖女を調べているはずだ。

ジークハルトも、彼を聖女オタクと表現していた。


「ちょっといい?」


何か、呪いか封印でもあるのか?

それだと、聖女の力で解けるかもしれない。

そしてそれは、この世界中に根ざした呪いを打ち消すために役にたつだろう。

しかし、いきなり解呪すると、さっきみたいにマーク付きの呪いだった場合に困る。


何も考えずにやるのは良くないと学んだところだ。

まずは、聖女の魔力を流して、鑑定してやる。

私は、アレクシスの肩を掴むと、聖女の魔力をまといながら、ゆっくりとアレクシスに流していった。


「はっ、そんな、大胆な!」

「ち、ちが!目を閉じるな!きもい!」

「そっちからやっといて、キモいって……。」


いきなり肩を掴まれたアレクシスは、なんかキス待ちしている。

イケメンは何をしてもゆるされるわけではないんだぞ。

そんなことはどうでもいい。

とにかくこいつがそばにいると違和感があるのだ。

聖女の魔力が、ウズウズする。

しばらくすると、シュン、と変な感覚があり、聖女の魔力が消えた。

いや、吸い込まれた?


「何だこれ。」


腰のあたりに吸い込まれた気がする。


「ちぇ、バレちゃったか。」


アレクシスが苦笑しながら腰に手を当てた。そこにあるのは、派手な装飾の剣。

王宮の中でも、私たちみたいな例外と、王族は帯剣が許されていた。

ニヤニヤしながらスルッと剣を抜くと、何とその剣はキラキラと光を放っていた。聖女の魔力を吸い込んだ剣。


「お!魔力が更新された。完全な聖剣ふっかーつ!」

「え?それ、聖剣?」

「そう。父にねだって、貰ったんだけどね。」


勇者の魔力と聖女の魔力が混ざって付与された剣。

確かに、過去の遺産として出てくることもあるし、多少であれば、一般の人が使うこともできる。


「その剣で、守られていたっていうのか。その剣て、いつから持ってるの?」

「15年くらい前かね。」

「あんた今いくつ?」

「ん?25だよ。」


ゼルより二つ下か。


「ああ、俺が無事な理由がこの剣と関係あるかってこと?それはどうだろうね。因みにこの聖剣は102代聖女の物とされてるんだけど。」

「古!いや、古いなそれ!私が138代目としたら、えー……7000年くらい前!?」


大抵の聖剣は使い捨てである。

剣自体は残るが、500年もすれば、付与した魔力が消える。

マジックアイテムのように、聖女の魔力を使い、元々魔力を帯びている石や回復薬などを変質させるのとは理屈が違うのだ。

剣自体を変質させて、魔力剣にすることは出来るが、それは魔力剣であって聖剣ではない。

魔力が付与されて初めて聖剣が聖剣として力を発揮できる。


「剣自体が残ってるのも奇跡的だけど、そんな期間魔力が残るわけないじゃない。」


近寄って見てみるが、そんなに古い剣には見えない。


「あ、でもこれ、魔剣だね。」

「さすが聖女様。一応隠蔽魔法もかけてあるんだけどね。」


ふーん。


「因みに、この剣に刻まれている言葉、衝撃的なんだぜ。」

「刻まれてる?特に何にも書いてなさそうだけど。」

「隠蔽魔法を解いて、勇者の力を流すと読める。」

「へぇ。じゃあ、歴代の勇者の誰かが読んだわけだ。」


確かに、剣にはいくつかの封印魔法がかかっていた。

しかし、私では解けない。

勇者が使う魔法だ。


「そんな衝撃な内容なのに、世に広まらずにあんたがその剣持ってるって面白い冗談ね。」

「俺が解読したから、俺しか知らないしな。」


そういって、ぐいっと剣を握りしめた。


「はぁ?」


()()解読した?


「勇者の魔力は勇者しか使えないでしょ。」

「だから、俺が勇者の魔力を使って解読したってこと。」


何言ってんの、こいつ。


「あんたバカ?知らないわけないでしょ、勇者の魔力は、勇者が持っているもので、勇者以外が使えるわけないでしょ?勇者も聖女も、生まれついてのものなんだから、」

「魔力を行使すると手の甲に模様が出るのが勇者。」


そう言って、アレクシスは魔力を練り上げ、手に集める。

そこには、見慣れたあの印が浮き上がる。

(エミール)の手の甲にあるのと同じ印。

間違いなく本物の勇者の証だ。


やめて、新事実を一度に出さないで。

理解が追いつかない。


「…どうなってんの。」

「まず、これを読んでもらうのが先かな?」


そのまま、その魔力を剣へと流し込んだ。

そこに浮き出た文字は


《我が力を持って聖女カムラを殺せ。勇者アルフォンス》


「はぁ?!聖女を殺せ?」

「因みにアルフォンスって名前の勇者は歴代何人かいるんだけど、これが封じられていたのがうちの地下だったのと、封印に使われていたアイテムなんかを調べた結果、うちのご先祖様のアルフォンス王な可能性が高いってことになった。その王が従っていた聖女が102代目なんだ。」

「101代目と102代目の間に何があったのかね。」


聖女同士のいがみ合いとか聞いたことないけど。

と言うか、人間の寿命は100年に満たない。

200年おきに生まれる聖女同士に接点なんて無いはずなんだよなぁ。


「そして不思議なことに、この剣には聖女と勇者の封印の上から、魔族の封印がされていたんだよ。」

「…とっくに私の理解力を超えてまーす。」


頭の整理がつかない。

何故、アレクシスは勇者の力を持っているのか。

勇者は20年おきに因子持ちの母から生まれる。たとえ双子だったとしても、勇者になるのは片方だけなはずだ。

そもそも、今、帝国の勇者が30歳くらい、エミールが10歳。

25歳の勇者がいるわけが無い。


そして、封印に魔族が絡んでいる理由も分からない。


「俺も詳しくは分からない。だけど、宝物庫でこの剣に触れたとき、突然勇者になった。聖女カムラを殺すことが目的で、俺がそのために勇者になったのなら、誰にも言えない。そう思ってずっと隠して生きてきたんだけど。聖女に会えばすぐにバレてしまうってことか。」


ポリポリと頭をかきながら困ったように言った。


「どういうことなんだろう。なんで後天的に勇者になるなんてことがあり得るの?そもそも、カムラが、まだ生きてるってこと?」


情報を求めてここに来たというのに、謎が増えていくばかりだ。


「そう思って、俺も可能な限り調べたさ。聖女を研究し、歴史を研究し、勇者に関しても。でも、結局分からないことが多すぎてさ。」


しかし、普段エミールを見ているせいか、この勇者、弱すぎる。

正直、カムラを殺すどころか、魔王にも勝てない、それどころか90代の勇者にさえ負けそう。

あれ?そんな事をつい最近考えたな。


「帝国の勇者と似てるね。」

「ん?あっちは純粋に生まれついての勇者だろ?」

「いや、弱いところが。」

「うるせぇよ!弱いのは仕方ないだろ、俺は後天的に勇者になったわけで、純粋な奴らとは一緒にならねぇよ。シンディのババアなんて、ほんと化け物だぜ。」


70歳になったいまだに現役指南役で、エミールを剣で圧倒できる力の持ち主を思い浮かべて苦笑した。

50代の勇者であるラルフもかなりの力を持っているし、ヨボヨボになった90代勇者も、殺気だけでほとんどの魔物はひれ伏し、強者どもも失禁して気絶するとか聞いた。


「じゃあ、なんで帝国の勇者はあんなに弱いの?」

「ん?そんなに弱いのか?あんまり才能がないって話はちらほら聞くがそれでも勇者だろ?」

「ああ、あんたたちは直接戦ったりするわけでは無いもんね。歴代と比べて、桁外れに弱いらしいよ。あんたといい勝負か、下手したらあんたの方が強いまであるんじゃない?」

「マジかよ。じゃあ、アレじゃね、あまりに帝国の勇者が弱すぎたから、俺が補欠なんじゃね?」


…補欠?

勇者に補欠システムとか聞いた事ないわ。

笑い飛ばそうとした。


が。


「ああ、きっとそうですよ。」


奥から、大量の本を抱えたゼルがヒョッコリと顔を出した。


「なんか気配が似てるなと思ったんですよね。あなたの魂に絡みついている勇者の因子、帝国の勇者とそっくりです。」


はい?



なんとか更新できました。

ブックマークや感想等ありがとうございます!

これからもよろしくお願いいたします。

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