表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女さまは魔王を守りたい  作者: 朝霧あゆみ
聖女様と人間の国
45/175

聖女さまはテンションが上がる

ドラゴンに心躍らせるティーナさんです。

ドラゴン討伐の依頼を受けた。

なんて楽しそうなんだ。

人間の国に来てよかったー!


「わーい、ドラゴンだ!好き放題暴れられるぞー!とか思ってますね。やめてくださいね?」

「うっ。」

「戦ってる姿を下手に見られたら、絶対ばれますから。竜を片手でひねり殺せるのは、魔王様くらいですからね?普通の人間は、竜を見たら穴という穴から汁を吹き出して死ぬそうですよ。」


いや、その情報もどこから得た何なのかよくわからんが、まぁ、倒してしまうのがよくないのは分かる。だって、勇者でもない人間が倒せるわけがないのだから。


「流石に、ショック死する人間はそんなにはいないと思うの。」


呆れ顔のハンナだが、普通の人間Fランク以下、冒険者がD〜Bランク、一握りの有名な冒険者がAランク、そして勇者がSランクなのだから、Sランクと言われている竜は確かに一般人にとってはかなり危険だろう。

まぁ、魔族なんて子供でもAランクくらいあるし、大人は普通の竜くらいなら倒せる。流石に古竜ともなるとSSランクだろうから、一般的な魔族では倒せないだろうが。

そういう意味では、人間にとって竜種はショック死の対象であってもおかしくないけどさ。


「人間が弱いのはわかったけど、弱さが未知数よね。」

「Fランクということは、Fランクの魔物しか倒せないってことですよね。そんな魔物見たことないんですが。」

「猫とか、ネズミとかなの。要は、魔物や魔獣じゃなくて、魔力を帯びてない小動物がFランクらしいの。」

「あー、それは魔王領にはいないわ。」


そんな話をしながら、歩く。

私たちは、依頼を受け、ギルドを出て、詳細の説明を受けるべく、ボルマン商会に向かっていた。


「おおおっ!金持ちの家や!」


思わず、よくわからない言葉遣いになるほどには金持ち臭の溢れた家だった。

立派すぎる門に、守衛さんがいて、とにかくでっかい屋敷。家に入るまでに少し歩かないといけないし。

お金持ちって、効率悪いのかな。

まぁ、お城に住んでる私がいうのもどうかと思うけど。


「すみません、ゼップルさんの依頼の件できました。」

「あ、はい。伺っております。こちらへどうぞ。」


守衛さん?に声をかけると、あっさりと通された。案内とかをしてくれるわけではなく、勝手にどうぞというスタンスらしい。

私たちは、そのまま門を通り、少し歩いて玄関へとついた。


「すみませーん、依頼の件で来ました。」

「なんだろう、この二度手間感。」


ドアをノックすると、少ししてゆっくりと開いた。そこにいたのは、あの日見た、隙のなさそうなおじいさん。ゼップルさん本人だった。


「よく来てくれた。ワシがボルマン商会の会長、ゼップルだ。ん?おお、若いと聞いていたが、君達か。あの時、恩を売っておいて得をした気分だよ。いや、恩は感じなくていいと言ったかな?まぁいいさ。中へ入ってくれ。」


促されたそこは、やはりという感じの、金持ち趣味の溢れる屋敷だった。いたるところが金ピカで、動物の首や剥製が飾ってあったり、ガラスだか宝石だかわからないけど、キラキラ輝き、眩しくてイラっとするレベルの照明。

ハンナは、あまりの趣味の悪さにげんなりしているようだったが、ゼルは配置よりも其々の作りが気になるのか、終始キョロキョロしていた。


「はは、君たちも趣味が悪いと思ってるのだろう。」


あまりにもゼルがキョロキョロしたり、じっと見入ったりするのが気になったのか、自嘲気味にゼップルさんが言った。


「そ、そんなことないわよね!」

「あ、いえ、そんなつもりはないです。趣味どうこうは私にはわかりませんが、細工の細かさや彫りの丁寧さ、使われている素材の良さが生きているなと思いまして。」


あれ?慌ててフォローしようとしたが、どうやらゼルは本当の意味で感心していたようだ。

そういえば、なんか細かい細工とかするのすきだったもんなぁ。


「おお、分かってくれるか。ワシは、綺麗に配置するようなセンスはないんだが、良いものを見つけるのが好きでな。集めているうちにこうなってしまったんだ。人になんと言われようと、好きなものに囲まれて生きていきたい老いぼれの、ガラクタ屋敷みたいなもんだ。」


気分を良くしたのか、ほっほっほ、とゼルに笑いかけた。


「さぁ、ここだ。一旦座ってゆっくり話を聞いてもらいたくてな。」

「わぁ。食べていいの?」


案内されたそこは、少し広めの客室で、軽食が用意されていた。


「勿論だ。こんな無理難題を受けてくれる貴重な冒険者なのだからな。機嫌をとって損はないだろう。」

「無理難題、ですか。」

「慌てるでない。まずは座ってくれたまえ。自己紹介もできんからな。」


促されるままに席に着く。

ゼップルさんが正面で、私たちが向かい合う形で3人が並んで座った。


「よし。改めて、ワシはボルマン商会の会長、ゼップルという。知ってるとは思うが、うちの商会では、様々なものを扱う。違法スレスレなものまでな。」


奴隷のことを言っているのだろう。

法律で、人間を奴隷にすることは禁止されているが、亜人やハーフなどは、グレーゾーンとして見逃されている現状があり、それを扱っているのだと匂わせる。他にも、怪しい取引とかもしてるんだろうけどさ。


「それで、今度はドラゴンも取り扱うのですか?」

「はははっ!面白いことを言う。流石にそれは、やってみたいが無理だろうな。」

「今回の依頼としては、古竜らしき竜の調査、可能なら討伐ということでよろしかったでしょうか。」

「ああ。その話を詳しくしないとな。竜が現れるようになったのは十日ほど前だ。隣の軍事国家ミルド王国と、この商業国家ナルノバ王国との間だ。何度か商隊が襲われている。売り物を襲うのでこちらとしても困っていてな。しかも、光り物が好きだという伝説のせいなのか、1度目に何か味を占めたのか、執拗にうちの商隊を狙う。」


ああ、そういうことか。確かにあいつら、宝石とか大好きだからなー。長生きしてると、金くらいしか興味なくなるのかね。

依頼自体も、自分のとこばかり狙われるなら流石になんとかしたいと思ってもおかしくはない。倒すことはできなくても、戦いがあれば場所やターゲットを変えるかもしれないしな。

あれ?なるほど、ギルドマスターの言う気をつけろってのはそう言うことかな?


「倒してくれれば助かるが、無理なら調査だけでいい。もし追い払うことが出来れば追加で報酬は出す。」

「つまりは、私たちがダメージを与えてくれれば、たとえ倒せなくても場所やターゲットを変える可能性がある、私たちが依頼を達成できなくても、調査で鱗なんかの素材が手に入れば調査の成果として回収できる。ってところ?」

「はは、そこまで私を悪人に見ないでくれ。」


悪人ではないけど、商売は上手いね。効率もいい。冒険者をうまく使う方法を知ってるんだろう。だからこそ、定期的にあれだけの依頼を出せるんだろうし。


「まぁ、こっちは報酬されもらえればいいから。契約通り、竜を調査して、いけそうなら攻撃したり交渉してみるわ。」

「交渉?」

「古竜だったら、言葉通じるじゃない。」

「……いや、そうなのか!?そんな話は聞いたことがないんだが。」

「あれ?この辺は古竜ってあんまり見ない?」

「見ないとかじゃなくて、いても会話しようと思わんし、向こうも話しかけてなんて来ないだろ。」

「ふむ。そういうものなの?」

「お嬢さんは、まさか話したことあるのか?あいつらはプライドが高い。たとえ話せても、人間なんかに話しかけたりするとは思えないんだが。」

「昔、少し……いや、あ、うん。ないない。そんな話聞いただけです!」

「そうか。まあ、うちとしては、うちの商隊が襲われなくなれば何でもいい。被害分の補填として、素材が手に入れば良いなと、思ってる。準備に金がいるだろうから、手付けとして金貨一枚渡しておこう。回復薬や装備を揃えてから行くんだぞ。今は回復薬も値あがってるしな、うちの依頼を受けたのに、回復アイテムもなく大怪我をしたなんて話が出回れば、こちらとしてもあまりよろしくない。遠慮せずに使ってくれ。もちろん失敗しても返さなくていいぞ。」

「あ、いや、回復薬はあるから大丈夫です。」


うーん。聞いていたより気前がいいし。なんか裏でもあるのかなぁ?そうは思えないけど。


「有るだと?」

「少しなら作れるの。ま、治癒も使えるしね。」

「回復薬を作れるだと!!!」

「あっ……。」


ああああ!!やってしまった!!!

ゼルがすごい顔してこっち見てる!!

ゼップルは、私とゼルとハンナを見た後、獲物を狙う野獣のように、じりじりと身を乗り出してきた。


「昔は、中級の回復薬程度ならいくらでも作れるやつがいた。しかし最近はダメだ。作れるやつもほとんどいねぇし、初級の回復薬ですら質が悪い。商店で有る限り、回復薬は、必ず扱わなくてはいけない。どれだけその仕入れで苦労してるか。」


ゼップルは拳を握りしめて力説を始めた。

それほどまでに、回復薬の不足には悩まされていたのだろう。

しかし、ある程度の魔力と素質があれば誰でも作れるはずの回復薬が、なぜ作れなくなったのだろう。


「回復薬の職人はみんな、言うんだ。()()()()()()()()ってな。」

「無くなった?」

「正しくは、無くなったと言うよりは、徐々に総量が減ったとか言っていたが。本当のところはよくわからん。魔力が少なければ、作れる回復薬の質も落ちる。今までは上級の回復薬を作れていた職人たちも、1日数個の中級を作るのでやっとだそうだ。」

「私たちは、そんな話は聞いたことないですけど。」

「田舎の出身だと言っていたか。冒険者や職人も少ない農村だとそんな話も聞かないのだろうな。」


ゼップルは、勝手にウンウンと頷いて納得していた。


「で、回復薬を専属で売ってくれたり出来るか!?勿論値切らずしっかりと金は払おう!」


専属、と言うのは、いいようで実はダメな言葉。これだけ在庫が不足しているのだから、専属で売り続ければ、さらに値上がりが加速する。それは個人的には好ましいと思わない。

しかも、専属で作り続けてたら、もう冒険者とかより、回復薬職人になってしまう。


「専属でなければ、余分にできた分を少しくらいなら。」

「うっ。やっぱりそう甘くはないか。」

「私たちはあくまで旅の冒険者ですからね。」


私たちに依存しまくって、商売に影響が出たらそれはそれで申し訳ないし。


「あ、ああ、そうだったな。つい。」

「まぁ、その辺は後日。とりあえずは竜の調査に行こうと思います。」


そうして私たちは、手付金の金貨1枚を遠慮なく受け取ると、一旦宿に戻った。

明日、一度ゼップルさんのところに顔を出して、その後調査に行くことになった。


ちゃっかりしているゼップルさんは、今ある分で構わないので、ぜひ回復薬を売って欲しいと言うので、明日にいくつかもってくると約束をした。


さぁ、ドラゴン退治だー!

遅くなってすみません。

なんとか更新できました。


ついに、ブックマークが100件超えました。

皆さま、いつもありがとうございます!

これからも、どうぞよろしくおねがいいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ