表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女さまは魔王を守りたい  作者: 朝霧あゆみ
聖女様の旅路
18/175

聖女さまは失敗する

インフルA型にかかってしまいました。全身が痛く、ひどい頭痛で二日間寝込みました、、、。

皆さんも、体を大切にしてください。



更新が遅れてしまいすみませんでした。

宿で一泊した後、私たちは早速ギルドへと向かった。

人間の街に住所が無い以上、ギルドカードは身分証明証としてかなり便利らしい。

冒険者なら、住所がなくてもおかしく無いもんね。


「こんにちは、ギルドへようこそ!」


そこそこ賑わうギルド。思っていたよりも広く、小さな食堂や、売店も完備されていた。ホワイトボードには、依頼の書いた紙が貼り付けられている。

初めて見る物ばかりで、あたりを散策したい気持ちもかなり有るが、まずは目的を済ませてからである。

皆んなで受付へ行くと、登録したいということを伝えた。


「それでは、こちらに必要事項の記入をお願いいたします。」

「ハンナも登録するの?」

「私も、一緒に行きたいって言ったの。聞いてなかったの?」

「えっ……」


てっきり、この街まで一緒に来ることだと思っていたんだけど。


「ハンナ?お父さんもそんなこと聞いてないけど?」

「一緒に行っていいって言ったの。」

「そ、それは、お父さんと、この街まで、一緒に来ることだと思うだろ?」

「勝手に勘違いしたのはお父さんなの。ハンナは旅に出るの。」


なんか親子で揉め始めた。

旅とか、憧れるお年頃だもんねえ。


「じゃあさ、とりあえずこの街で滞在する間だけ一緒にいよう?ラードルフさんも、奥さんと相談なしで旅に出すわけにはいかないだろうし。1ヶ月後くらいに落ち合って、最終的な決定をしようね。」


三人で、紙を受け取ると、書き込みを始める。年齢の割には、ハンナは綺麗な字で次々と書き込んで行った。

クラスや年齢、名前、得意な魔法や剣技、色々書く欄があり、わからない場合は空白も認められている。


「ハンナちゃん、7歳なのね。」

「うん、もうすぐ8歳になるの。」


私は魔術師、ゼルは剣士、ハンナは罠師として登録することになった。クラスも、自分の得意なことを書けばいいだけで、魔法を使えることを隠したければ、剣士として登録することもできる。


「罠師?」


あまり聞いたことのない単語に、私はラードルフを振り返る。


「昔は、盗賊とかシーフって呼ばれていたんですけどね。基本は雑務を担当して、敵の位置を把握したり、罠とかを探知したり、マッピングをしたり、鍵を開けたり、宝箱を開けたりする、便利屋です。盗賊っていう呼称のイメージが悪いので最近は罠師とか呼ばれてるんですよ。」


へぇ、便利。確かに、剣士と魔術師の力押しだけでなく、そういったクラスの人がいると便利なんだろうなぁ。

そんなことを思いながら、受付に記入済みの用紙を出した。


「って、あれ?剣士?ゼル、あんた、回復職なんじゃないの?」

「えっ!?」


ぽろっと口にした言葉に、周りにいた人やギルドの受付がものすごい速さで反応をした。

なんか、まずいことを言ったのか?と思ったが、時すでに遅し。ゼルとラードルフは、絶望的な顔でこちらを見ていた。


「ゼルさん、回復魔法が使えるんですか!?」


受付嬢が、全力で食いつく。ゼルは、ものすごく渋い顔をしながら、ため息をつくと、


「本当に、初歩のヒールだけですよ。彼女は、私の剣の腕をバカにして、そういう言い方をするだけです。」

「あ……そうなんですか。それでも、下位のヒールを使えるだけでもすごいんですよ!素質がないと使えませんからね!」


あからさまにがっかりしているが、それでもゼルの事を褒めちぎった。しかし、下位のヒールなんて魔族ならよほど魔法が苦手でない限り誰でも使えるのだけど。

止血やちょっとした傷をなおしたり、痛みを和らげたりと、日常生活においては重宝するので、ある程度の歳になれば、親から当然のように教わる。


「回復魔法が使えるのって、そんなにすごいことなの?」


小声でラードルフに尋ねる。


「そりゃそうですよ。回復魔法に関しては、生まれついての素質がないと使えませんし、回復職って言うのは、中級以上のヒールを使える人を指しますから。よほどすごい素質がないと無理です。それこそ上位のヒールができる人なんて、滅多にいません。神聖魔法のヒールとなると、国でも二、三人。五人も抱えてる国があれば、敵対国は震え上がるレベルです。」

「ええええ、そんなに、すくないの……?」


魔族の集落では、かならず一人二人は神聖魔法の治癒ができる人を配備していると言うのに。中級ヒールなんて、それこそ練習すれば誰でものレベルだし。

私もゼルもロベルトも母さんも神聖魔法を使えるのに。


「まぁ、減ってる原因は、無茶な出兵にも原因があるんですけどね。」

「何で?」

「回復魔法の素質は遺伝すると言われています。若い回復術師を前線に投入すれば、勿論厄介な回復職がさっさと狙われて殺されます。それだけで回復術師の家系から消えていくでしょう?」

「うん、まぁ、そうよね。」

「魔族の排除が本格的に行われ始めた頃から激減してるらしいですよ。」

「それもまた、魔王が悪いってことになるわけね。」


ほんと、迷惑な話である。攻めないでもいいものを攻めて、勝手に死んで逆恨みして来るのだから。これだから人間は厄介なのだ。


「ほんと、勘弁してくださいよティーナ様。」


受付嬢や、周りのパーティからの勧誘をくぐり抜けてきたゼルが戻ってきた。


「ごめんごめん。まさかそんなことになるなんて。」


テヘペロしてみたが、ゼルはジト目でこちらを睨んでいた。


「でも、回復術師が遺伝で産まれるなら、それをどこかで囲って繁殖、と言うか、増やして仕舞えばいいんじゃ……?」


ふと思った疑問。


「それが、何故かできないそうなんですよね。昔どこかの王室が回復魔法の使い手を集め、強制的に子供を産ませていたところ、何故かその国が滅びたということがありまして、それ以降禁忌とされています。」

「謎すぎるわねぇ。」


そんな話をしていると、受付嬢が奥から出てきた職員からシルバーのカードを三枚受け取り、私たちを呼んだ。


「お待たせいたしました。こちらがギルドカードになります。」


受け取った銀色のカードには、名前と性別、クラスと年齢、登録した町の名前と登録番号が書かれていた。

ランクのところは、空白である。


「この後、簡易テストを行います。基本はFからのスタートになるのですが、やはり皆さん能力には個人差がありますからね。テストの結果でD、E、Fの三段階で分けるんです。ランクが上がるのには時間と手間ががかかりますから、その間、能力の高い人に無駄な手間を取らせないための措置です。まぁ、その方がギルドとしても助かるというのが本音ですけどね。」


それは、確かに。

となると、ラードルフのAランクって地味にすごいんじゃあ……?

そんな事を思いながら、ラードルフの顔をまじまじとみてしまった。冴えない優男なのになぁ。


「それでは、奥のドアから裏手の練習場へどうぞ。魔力値の測定と魔法や剣術の実践テストがあります。」


この時、私たちは思い違いをしていた。

ラードルフですら、考えが至っていなかった。


自分たちの強さの認識と、人間の強さの認識が大きくずれていることに。

なんか、嫌な予感しかしない流れですね。

まぁ、よくある展開が訪れます。



ブックマークや評価ありがとうございます!

とっても嬉しいです。やる気が出ます♪



面白かったと思っていただけましたら、ぜひ下部の評価の方をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ