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IF〜もしも男子校にTS娘が入学したら〜  作者: 中内達人
1章:〜もしも男子校に女1人で転入したら〜
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IF2.〜もしも初めてトイレに入ったら〜

 トイレに入るべきか、入らざるべきか。

 俺は、迷うどころか、途方に暮れていた。選択の余地は俺にはない。だって、行くしかないのだから。入るしかないのだから。

 さもないと初めてのトイレどころか、初めてのおも………になっちゃうからだ。


 意を決して入ろうとするが、意思は弱く、ドアノブに手をかけた時に、やっぱりやめよう、と手を離してしまった。それも反射的にだ。


 俺はトイレにアレルギーでも持っているのか?

 いや、そんな事ない。というか、そんなわけがない。なんだよトイレアレルギーって。聞いたことねぇよ。

 俺はできる。俺は男だ。姿形が女になっても、世界中の誰もが俺を女だと言っても、俺は、俺の心は男だ。あまりなめるな、俺を。


 顔を両手で挟むように叩ーーーーーーこうとして、叩く直前で止まってしまう。

 さっき鏡で見た自分の顔を思い出して、なんだか自分じゃない美少女の顔を叩くような感じがして、止めた。


 そして、ぺちり、と優しく触れるように叩いて、もう一度ドアノブに手をかける。今度はちゃんとドアノブを回せた。

 そして、ドアを手前に引く。


 開けた先には、白いのに所々汚れが目立つ古い洋式トイレに、木の板で部屋の形に合うように作られた、棚。


「ああ………やっぱし怖いな……」

 でもいつかは通る道だ。通らなきゃいけない道なんだ。じゃないと、俺は生きてけない。

 第一、いつ戻るか分からないし、このまま戻らないかもしれない。だから、絶対に成し遂げなければならない。


 意を決して、ダボダボのズボンとパンツをするり、と下ろす。あまりにもすっといって、脱いだ心地がしなかった。


 新しく生まれ変わった俺の下半身が、夜中のトイレの空気にさらされる。 空気に触れて、この美少女の肌に傷がつきそうな危うさを覚えた。


 局部に空気が触れる。秋も姿を隠し始めている11月初旬。そんな冬に片足を突っ込んだ冷たい空気が、局部を優しく撫で上げる。

 局部の形が頭の中に、刷り込まれていくようだった。


「さ、寒い…………」

 膀胱に冷たい風がかすめて、下腹部がキュッとなる感覚に陥る。何か熱いものが一つに集まって、形の理解できた局部の一点に集中して、出そうになる。


「ひゃっ……」

 この感覚は、止めれる。尿道を閉じれば、出なくなる、はず?下腹部に力を込める。キュッと止めるように、局部の先を閉じるように力を込める。


 ……………どうやればいいんだ?

 尿道を絞れば止まることはわかる。その原理は、頭の中で理解して、それをしようとしている。


 でも、どれだけ力を入れても、男の時と勝手が違う。

 まず女の子の尿道の位置が分からない。トイレに行く事は知っていても、あまりよく考えた事がなかった。だから、膀胱と尿道の位置関係が分からない。

 だって、こんなことになると思わないじゃんか………


「ど、どうなってんだよこれぇ!」

 どんどん何かが股間に集まっていく。

 何かが漏れ出てしまうような危機感と焦燥感が体を支配し、足を上下にバタバタとさせる。


 抑えたいけど、まだそんなレベルに達してない。触ることなど考えれないし、考えたくない。

 第一触ろうものなら…………


 キュウゥゥゥ。


「いや!ま、待って待って待って待って!」

 誰に言ってるのか、待ってを夜中に連発する。

 何かがどんどん出口をこじ開けようとして、中から水門を押してくる。


「背に腹は変えられん!」

 上がっている便座を勢いよく下ろす。

 バン!といって、反動で少し浮くが、関係ない。


「冷てぇ!」

 冬だってのに便座温かくするの忘れてたぁ!

 でも、そんな事を気にしているほどの余裕はない。


 もうギリギリまでキてる。もう出る。出るよ?

 だが、出ない。膀胱は限界まで張り、中の液体が出るための口はピクピクと痙攣をする感覚を覚えている。


 今すぐにでも、膀胱を収縮させて、噴出させたい。

 一触即発の爆弾を下腹部に抱えているみたいで、体を前に倒す事すら出来ない。

 しようとしても、体が本能で大決壊を恐れて、体が折り曲がらない。


 痛い。苦しい。早く出したい。押し出して、噴出して、この焦りから解放されたい。


 なのに、出ない。股関節の筋肉から局部にかけてに力が入っていて、膀胱からの噴出を堰き止めている。


 だから、どんどん後ろから、後ろから、と溜まっていって、今にもこじ開けんとしている。


「力、抜けろぉぉぉ!」

 力を抜くために、力を込める。足全体に力を入れて、股間節の筋肉を引っ張る。


 そして、ついに、出る。

 小籠包を箸で切った時のように、肉汁が溢れ出すように、尿が溢れ出る。


 下腹部に熱い液体が充満し、膀胱と尿道の位置が頭の中に形成されてゆく。体は全てを尿を出すことに心血を注ぎ、頭は情報を更新する事の出来ない程にリラックスしている。


「ひゃあぁっ、あっ、やぁっ、ちょ、な、なんだよこれぇぇ!!??」

 やっと出れた、と言うかのように、尿はあっちこっちに飛び回り、便座に水滴が飛び散る。


 膀胱を下に押し出すように抑える。止めたいのか、出したいのか分からないような体勢で、喘ぎにも似た声を、夜中の家の中に響き渡らせる。

 焦燥感からの解放感に身を任せ、気持ち良さに抱かれるように、力が入らなくなる。


 それでもまだ止まらない。だんだんさっきとは別の焦燥感を覚える。


「ちょまっ、と、止まんねえぇぇ!!??」

 シャァァァァァァ、と音が耳の中に入ってくる。

 その音が、さらに尿を排出させようとしてくる。


 勢いよく飛び出た尿は、局部の『せいかんたい』と言うべき場所を擦って刺激する。


 ビクン、ビクン、と心臓の脈のように体が跳ね上がる。その度に、小さく喘ぐ。


「あっ、んっ、あんっ、んっ、あっ、あぁっ!!」

 長い。それにしても長い。どれだけ溜まっていたのだろうかと恐ろしくなってしまう。


 そして、やっと、尿がゆっくりになる。体の痙攣も、余韻を楽しむかのようなゆっくりとした落ち着いた鼓動になる。


 何か、体の奥が熱い?熱くて、体が焼かれそうで、ただれそうで、溶けそうで、とろけそうになる。


 その感覚がお腹から、下腹部に、流れていく。

 不意にスピードを上げたかと思うと、出口をやっと見つけ出したことで、そこに一直線に向かってくる。


「な、何?何だ?これ?」

 真っ直ぐに進んできたかと思うとーーーーーーー


「んんぁぁぁあぁああっ!!」

 一気に吹き出す!体は後ろに反り、背中の骨は本来曲げる方とは違う方に曲がる。

 お腹は突き出し、頭は、顎を天に向けて反り返っている。


 体から出た謎の液体は、体勢のせいからなのか、便器の中に入ることはなく、閉まっているドアの方に弧を描いて飛んでいく。


「あ、ああ……………」

 体の力は抜け、便座に全体重を預ける。どれだけ筋肉を固くさせようとしても、なることはない。


 だんだんと目が閉じて行く。世界が暗くなって行く。

 落ちて行く意識の中で、俺は、一筋の快感を手放す事が出来なかった。

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