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IF〜もしも男子校にTS娘が入学したら〜  作者: 中内達人
1章:〜もしも男子校に女1人で転入したら〜
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IF11.〜もしもお風呂に入ったら〜

 俺が三吉原中に通えることとなった日の夜。俺は、かなり緊張に震えていた。


「ね、ねぇ、お手柔らかにね?」

 艶やかな少女の声が、艶めかしく反響して、俺の耳へと戻ってくる。俺はというと、真っ暗な世界に包まれていた。


「じゃあ、触るよ?」

 その声も、女性の声であった。

 部屋中に響き渡って、俺の耳の中に入ったその声は、間違えようのない、母さんの声であった。


「ひゃっ!ちょ、冷た!」

 横側に開かれた俺の腕に、冷たい乾燥した母さんの手が乗せられ、思わず声が漏れ出てしまう。

 そして、その手は二の腕、肩、鎖骨とどんどん中心に寄ってきて、俺の体を撫で回す。


「ひゃぁっ!ちょ、そ、そこっ!あっ、んっ!」

 母さんの手は、力を抜いて、ゆっくりと優しく俺の体を撫で回す。ただ、その優しさのせいで、俺の神経は母さんの手へと集中され、その手が通った道筋に快感を見つけ出す。


 そのせいで、部屋中に少女の妖艶な悶え声が響き渡っていて、その声に、聞いてはいけない事を聞いた背徳感と恥ずかしさを感じ、全身が赤くなる。


「体、真っ赤だよ?痛い?痛いならやめようか?」

 母さんは、俺の横腹を優しく包み込みながら耳元で囁く。母さんの吐息が耳と首に当たり、何か痺れのような感覚が首や耳から伝えられ、またもや声が漏れ出る。


「んぁっ!い、痛くないっ!痛くっ、ないからぁ!」

 やめないで!と言おうとした俺を叱咤し、強引に抑え込む。そのせいで痺れが体の中に押し戻され、体の中を縦横無尽に走り回る。


「んぁぁぁっ!ちょ、ちょまあっ!」

 母さんの手は腹から太腿、内股へと移動して行く。

 内股というのは皮が薄いのか、とても敏感であった。そのせいでまたもや謎の痺れが、内側へ内側へと集まってきた。


「ちょ、なんでそんなっ!そこばっかぁっ!!」

 ふざけているのか母さんはそこばかり撫で回す。

 でもその一回一回がじっくりとねっとりと俺の頭に痛みにも似た痺れを与えてくる。


 痺れの一つ一つが俺の股へと流れ込んで来て溜まっていき、外へ外へと溢れ帰ろうとしている。


「どう?気持ちいいの?気持ちいいんでしょ?」

 と、俺の母さんは、大気に包んだ声を、俺の首と鎖骨にぶつける。声の震えが、俺の神経を震わせ、母さんの吐息が俺の鎖骨を撫で回す。


「ちょ、あのさっ!くすっ、ぐったいっ!」

 そう言うと、母さんはクスッと笑い、調子に乗って首に緩い息を吹きかけて来る。

 そんな母さんの吐息に俺の体は敏感に反応して、体がビクつき、半ば痙攣しているかのような状態になる。


 ここでふと、俺の股間にある感情を抱く。


 ーーーーーー触りたい。

 いやいやいや、なんのエロ漫画だよこれ。

 この今俺が触りたがっているその股というのは、つまりその、ま………………


 いやいやいやいやいやいや、ないないないない!駄目だよ触ったら!触ったら、俺が、俺の最後の防衛ラインが、音を立てて大決壊してしまう!


「どうしたの?そんなビクビクして」

 母さんが耳元で囁く。そのせいで、尚更ビクビクしてしまうのを、母さんは多分分かってやっている。


 どんどん、俺の膀胱が、圧迫されて行く。苦しいくらいに圧迫されて、むしろ痛いくらいだ。


「あの、さぁ、母さん?あの、し、しっこ…………」

「え?あぁ、おしっこ?やぁねぇ、こんなとこでするの?シャワーで流さなきゃね?」

 多分これは、しっこがしたいんだと、そう思う。

 ただ、風呂の中で、しかも母さんの前でするのは果てしなく恥ずかしい。

 男の時でも恥ずかしかったっていうのに、なんでまたこんなとこでしなきゃいけないんだ?


「あの、やっぱりいいよ」

「いやいや、我慢はよくないからね。はいしぃ〜」

 しーしーと母さんは赤ちゃんに言うように言ってくる。でもなぜかそう言われると、尿がどんどん尿道をこじ開けようとしてくる。


「あの、やっぱり出そうです」

 膀胱から尿道へと流そうと、押し出そうとすればするほど、焦りで気持ち悪くなってくる。心拍数が上がって、そのせいでまた焦りが重なる。


 そして、とうとう解放。

 尿は、タガが外れたかのように勢いよく放射される。

 母さんの視線が股に集中しているのがわかる。


 その上、何故かこの時になって母さんは俺の体を撫で回すのをやめていたため、勢いのいい尿が壁に当たる音が室内に木霊して木霊して木霊する。


 どうしてもこんな事になってしまったのであろうか………



 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++




「ねぇ母さん?風呂って入ったほうがいいよね?」

 俺が三吉原中に通う事になった日の夜。

 夜といっても7時くらいであるが、そんな時間。俺は座ってテレビを見てる母さんの真ん前に立って聞く。


 こんな事聞かなくても分かってるんだけど、でもやっぱり気持ち的に確認してないと気が済まない。


「そりゃあそうでしょ。汚いよ?アソコも洗っとかんと臭くなっちゃうに?」

「………いや息子にそんなこと言うなよ」

 汚くなることはわかったけれども、女の子なりたての息子に言う事にしてディープすぎる気もする。

 母親にそんなこと言われた息子は、どんな顔すればいいんだよ……………


 でも、なんでこんなに嫌がっていると言うと、それは、自分のとはいえ裸を見るのがまだ心の準備が出来てないのである。

 男子校にずっといた俺がいきなり生の女の子の裸なんて見たら、耐えれるかどうか……………


「風呂もう沸かしとるから入ってきていいよ?」

 そう促されて、お言葉に甘えて洗面所に行く。

 洗面所に行くと、大きな鏡が俺のことを出迎えてきた。


 この鏡というのが厄介なもので、俺が唯一見る事のできない自分の体を、丸ごと包み隠さず写し出してしまうのである。今はグレーのパーカーを着た色白の美少女が写し出されているけども、この服を脱いでしまうと、裸が写し出されてしまう。


 俺は意を決して、パーカーの裾に手をかける。果たして、俺に脱ぐことが出来るのであろうか?

 そんな自問をしながら、力を腕に入れて一気に捲り上がる。鏡に写し出されたのは、ノーブラに黒のヒートテックを着た女の子であった。


 やはり俺は男であるから、どうしても胸元に目線が行ってしまう。どうしても見てしまうのである。


 すると、そこには、慎ましくも主張をしてくる2つの山と、そこの先からぽっこりと出ている突起が視界に飛び込んできた。


「やっぱ無理ぃぃぃ…………」

 この2つのコンビネーションは、破壊力がありすぎる。変に生の胸を見るよりもエロスティックであり、なんだかとっても幸せな気分になっていた。


 けれども、刺激が強すぎる。ここから先のものを想像するだけで、頭がクラッとする。頭に血が上って、目が回ってしまいそうな感覚であった。


「うーん………どうしたものかな…………」

 今鏡には、頭を抱えた黒髪美少女が写っていた。


「苦戦しているねぇ、正樹くん」

 と、不意に後ろから声がかかった。顔を上げて、その声のした方を鏡越しに見ると、母さんが写っていた。


「苦戦って………そりゃそうでしょ。流石にちょっと………その、刺激が強すぎるって」

 そう言うと、母さんは目をぎらつかせた。

 もうこの時すでに、結構嫌な予感がしていたのである。それがまさか的中する事になるとは…………


「ふっふーん、そう思って母さん、いい案を思いついてしまったのです!」

 そう言った母さんの顔は本当に楽しそうで、こんな楽しそうな顔は久し振りに見たくらいである。まぁ俺としては迷惑を被っているのであるが。


「いい案って?」

「よくぞ聞いてくれた!その内容とはつまり、一緒にお風呂に入る作戦のことである!」

 …………一緒にお風呂に入る……………?


 うーんと、つまり………中学生にもなってお母さんと一緒にお風呂って事でございますかね母さん?うん、この顔は大正解って顔ですねはいわかりました。


「いやなんでそうなるんだよ!!??」

「だってそれしか方法ないじゃない〜!だったら自分1人で入ったらどうかな?」

 それを言われると…………と、俺は弱ってしまった。

 そんなこと言われたら、一緒に入らざるを得ないじゃないか。


「……………分かった。入る。一緒に入る」

「オッケーぃ!決まりぃ!」

 隠して俺は、中学2年生にもなって、お母さんとお風呂に入るという黒歴史を後世に残してしまったのである。



 +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



「はぁ、もう疲れたよ」

 俺は、母さんと一緒に2人入るにはちょっと狭い湯船に窮屈に座っていた。相変わらず俺は、何も見ないようにお風呂場の壁をじっと見ていた。


「疲れたって何が?」

「母さんとのお風呂がだよ!」

「あらそう?母さんは結構楽しかったけどねぇ?」

 そりゃそうだろ、と心の中で突っ込む。母さんは楽しかったかもしれないが、それをやられる俺としては全く楽しくない。ただ辱めを受けただけである。


「ねぇ、急に女の子になるって、どんな感覚なの?」

 不意に母さんがそう聞いてくる。


 急に言われてもすぐに答えることなんて出来るわけがないから、うーんと唸って時間を稼ぎながら、じっくりと考える。


 そういえば、全然考えた事がなかった。今日一日過ごしてみたけれど、特に男の時と感覚が違ったとかはなかったしなぁ……………………


「うーん、特に何かあったわけじゃないかな。なんか、ただ俺が14年間女の子として生きてきた様な感覚かなぁ?」

「ふーん、じゃあ母さんと変わらない感覚なんだ」

「まぁ、そうじゃないかな?」


 特に母さんに話すようなことはない。変わった事もないし、心配な事もない。あ、でも1つ、聞きたいことがあったのであった。

 これからの大きな悩みというか、とにかくこれから俺がどう生きていくかな方針となるような事である。


「最低限女の子として見られる為には、どうすればいいの?母さんの意見を聞かせてよ」

 とにかく、これであった。明日、明後日、それ以降をやり過ごすためには、最低限のことは必要である。


「うーんとまぁ、世の中には色んな人がいるからね。見た目さえ女の子なら生物的には女の子だし、別にどんな事をしてても、その子らしさになるんじゃないかな?」

 俺はこの時、母さんに少し感心してしまった。

 母さんは、こんな事を考えていたのか。そうか、こんな考え方があったのか。そう思った。


 たしかに、見た目が女の子なら、俺がどれだけ頑張って自分は男のだと主張しても、世間的には女の子という事になってしまうのである。

 その事実は嬉しくもあったが、同時に悲しくもあった。なぜならそれは、俺が男として世間では認められない事の証明であるからだ。


 だが母さんは、「あ、でもぉ………」と付け足した。

 俺は、また母さんが何が考えを言ってくれるのかと思って、全身全霊で耳を傾ける。


「その『俺』っていうのは直した方がいいかもしれないなぁ。せめて『アタシ』とかにした方がいいような気もするよ母さんは」


 そ、そんなことかよ……………

 でも、母さんが言うのだから、それが真実なのかもしれない。俺より母さんの方が女として先輩なのであるから、その言うことを聞くのが得策だと思う。


「あ、アタシ、かぁ…………」

 なんだか、恥ずかしくなってきた。本当に女の子に染まってしまったみたいで、頭が痛くなった。


「まぁでも、そんな急ぐことはないよ」

 そう言った母さんに安堵しつつも、俺の頭はどんどんぼーっとしていった。頭が働かなくなって、瞼が重くなってくる。


「………やべ、のぼせたかも。もう出るね」

 そう言って、風呂から立ち上がり、湯船から足を出す。そしてつい、癖で右を見てしまった。


 ちなみに俺の家の風呂場というのは、左にドアがある。右にあるのは、あの厄介な物体である、鏡。


 そこに写るは、俺。しかもちょうど首から下と膝から上。俺の目に、じっくりと焼き付けられた。瞼の裏側に染み付いて離れそうもなかった。


 俺が見たものというのは、ズバリ、胸とまん…………


 俺は完全にのぼせて、その場に倒れた。次に起きたのは、兄すら出かけてしまっていた、次の日の昼であった。

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