(7)
秋穂は自分の部屋で何人もの堅気ではない人たちに囲まれていた。
もうだめだ……。
そう思った時、秋穂のことを囲んでいた一人が右胸撃たれた。その囲んでいた連中がなにが起きたのかわからない、と困惑している時、秋穂は必死に走って部屋を出た。その途中何かが見えた。
そして、秋穂は長椅子から落ちていた。
「あれ、いつの間にか寝てた……」
まだ眠いのか秋穂は目をこすりながら立ち上がる。
「どうしてここにいるんだろう?」
展望台にいたはずなのによく思いだせない。それに頭が響くように痛い。さっき落ちた時に頭を打ったせいかな。
思い出そうと努力してみたが、どうしても思い出せないのだから仕方ないと秋穂は思うようにした。
あれっ? レノンがいない。
秋穂はレノンが心配になると同時に孤独感に苛まれるのが分かった。一度大きく深呼吸して秋穂は窓の外を見ると、レノンとアンドロイドが見えた。
「おかえり」
秋穂はほっとした顔で声を出した。
「ただいま」
レノンは低いトーンで言葉を返す。
「あの、もう大丈夫なのかな」
運転席に座ったレノンは訊く。
「大丈夫ですけど」
秋穂はなにが大丈夫なのかよくわからないような顔をした。
「なら、いいんだけども」
レノンは秋穂から一回、目を背ける。
「あのだなぁ、もう少しここにいなきゃいけなくなった」
「まだ帰れないんですか?」
レノンは弁明をし始める。
「あの――いろいろあってさ。それにこいつを動かす条件もあるのさ」
「条件って?」
「残念だけど、作ったわけではないから詳しくは俺も知らないよ。ただやろうとしてもエラーが起こってしまうのさ」
「はぁ」
よくわからないのに動かしてるってすごく危なかっしい……。よく今まで大丈夫だったなぁ、これも私も。
そう秋穂は思いつつも無理やり納得することにした。
「それでいつまでもここに留まるのは危ないから他に移ろう」
「他って?」
「あてがあるのさ」