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お題:月 三角定規 ため息

これ書いてる時あたりで、もはや自分が何書いてるのかわからなくなりました。

一体何が書きたかったんだろう?

とりあえずノルマをクリアしようとしてただけだった気がします。

「はぁ、憂鬱だ」

 学校への道。

 ため息をつきたくなる。

 別に学校が憂鬱なわけではない。学校であることを言わなければならない相手がいることが憂鬱なのだ。


「おはよー」

「……おはよう」

 教室に入る途端話しかけてきた相手は絵里といって、一応僕の彼女だ。

「何か元気ないわね。何かあったの?」

「何か……まあ何かだよな……」

「何その微妙な言い方。とっとと白状しちゃいなさ――――」

 ガラッと音がして教室の扉が開き、教師が入ってきた。

「続きは後でね」

 そう言って絵里は自分の席へ走っていった。


 結局放課後になってしまった。

 絵里の席に行くと彼女は物理の課題をしていて、三角定規でグラフを描いているところだった。

「あ、帰り? ちょっと待って。もうすぐ終わるから」

「あのさ、絵里。別れよう」

 ペキ、とシャーペンの芯が折れる音がした。

「…………一応理由を聞いてもいい?」

「ニュースで見たことがあると思うんだけど。月の移住計画」

「知ってる」


 月に都市を造り、そこに人間を住ませる。そういった計画が立ち上がり、月に都市が出来上がって初めて人を住ませる段階に来たのだ。

 うちの親はその第一移住民に応募し、当たったのだ。

 だから――――

「だから会えなくなっちゃうんだ。それで――」

「別れようってわけね」

「うん、このままメールとかを繰り返して付き合い続けて、絵里を縛り続けていると絵里が苦しむ。だから…………」

 ヒュンと定規が飛んで来て頬をかすめる。

「縛り付ける!? 苦しむ!? 何それ! もしここで別れて、私がそれでっ…………」

 絵里が言葉を詰まらせる。

「もういい! どことなりと行ってしまえ!」

「……ごめん」

 教室から出るとき空はすっかりオレンジ色に染まっていた。


 結局、あれから絵里は一言たりとも喋ってくれることはなかった。

 そして今日、月行きのロケットが地球を発つ日である。

「…………」

 ロケットの窓から外を覗くと遠く離れたフェンスに野次馬の人垣ができていた。

 暇つぶしのために本を開く、と同時に携帯が着信音を奏でる。

「おっと、電源を切り忘れてた」

 すぐ切ってしまおうと電話を取る。

『っ、よかった。繋がった』

「絵里!? どうして」

 電話の向こうから聞こえる絵里の声は息が切れていて、すごく慌てた調子だ。

『今、ロケットの近くにあるフェンスにいるんだけど見える……わけないか』

「うん」

『…………』

「…………」

 しばらくの間沈黙が続く。

 すると絵里は大きく息を吸い込んで――――

『ばっかやろ――――――――――――――――――――――――――――!!』

「っ!」

 鼓膜が張り裂けそうなほどの大声に、思わずスピーカーから耳を離す。

 周りの人も何事かというようにこっちを見る。

「な、何!?」

『分かれてなんかやらない』

「え?」

『ゼーッタイに分かれてなんかやらない。何年たってでも月に行ってあんたに会いにいくから。絶対に別れない。首を洗ってまってろ』

「…………」

 今までの悩みは自分の独りよがりだったらしい。

 熱くなる目頭を抑えてしばらく間を溜める。

「……わかった。……待ってる。十年でも、二十年でも」

『おう、待ってろ。向こうで新しい彼女でも作っていたらぶっ殺すぞ』

「そっちこそ必ず迎えに来いよ」

『…………うん』

 頬を熱いものが流れるのを感じる。

「じゃあそろそろ周りの人の目が痛いから切るよ」

『うん』

 電話を切り、電源を落とす。

 それから数分するとロケットが出るというアナウンスが流れる。

 そして僕の体に大きなGがかかり、しばらくすると僕の体は地球の重力から解き放たれて――――



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