プレゼントはギフトカードでいいって言ったよね?
俺はプレゼント選びの才能がないらしい。
真由子とは付き合って五年。
毎年、付き合い始めた記念日にお互いプレゼントを交換してきたのだが……どうも毎回微妙な反応をされてしまう。
一年目の記念日。
真由子は手編みのマフラーをくれた。
俺は、商売繁盛を願って『金色の招き猫』を贈った。なんと彼女の名前入りだ。俺的には渾身のプレゼントだったのだが。
「えっと、啓くん。ふざけてる?……いや、ふざけてないのか。なるほど。ありがとう」
彼女は苦笑い。明らかに気を遣っていた。
そして二年目。
真由子はブランドのハンカチをくれた。
俺は去年の失敗を挽回するため、真由子が今一番必要なものをリサーチした。
俺が贈ったのは『テティちゃん柄のカーテン』だ。
どうだ! 真由子、テティちゃん好きだろ?
「え、カーテン?! いや買い替えたいとは言ったけどね!? 部屋の中で他の家具と色で殴り合ってるよ!」
……確かに。カーテンのせいで部屋の統一感がなくなった。もっと無難な柄にすべきだったな。
そして三年目。
真由子はシックな名刺入れ。
俺は考えすぎて分からなくなった。結局『タオルセット』を渡した。これなら間違いないと思ったのだが。
「タオル?! 急にお歳暮?! いや、タオルはなんぼあってもいいけど……この流れでタオル?!」
しまった。無難すぎたか……。
そして四年目。
真由子は国産メーカーの腕時計。落ち着いていて上品だ。
俺はもう迷わない。考えすぎて普通なものを選んだりなんてしない。
俺は『俺の等身大アクリルスタンド』を贈った。
笑顔で親指を立てている、爽やかさ満点のやつだ。どうだ!
「やっば……!」
真由子は爆笑したのち、部屋の隅に飾ってくれた。
大成功か!? そう思ったのも束の間。
「……言いにくいんだけどさ、もうプレゼント交換やめない?」
「なっなんでだよ!」
「だって毎回大変そうだし」
「いやだ! これが楽しみなんだ」
「そうなの? じゃあ来年はギフトカードでいいからね」
そんな……。
俺は真由子にプレゼントを選ぶ時間が幸せなのに。
そして今年。
俺は真由子のリクエストを無視して『婚約指輪』を渡した。
真由子の目が大きく見開く。
「啓くん……!」
感動の瞬間。
間違いなく、今年のプレゼントは大成功だ。
「サイズ合わない」
「えっ」
指輪は真由子の第一関節で止まっている。
「一緒に交換しに行こっか?」
「そんなあ!!」
真由子は呆れたように笑ってた。
やっぱり俺はプレゼントを選ぶ才能がないらしい。
(終)
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