最終話 蛇足
「……あの、私、ジョニー一族の娘で……」
呆然としているオレンジの囚人服姿のまおが法廷へと引き出されていく。
裁判長席に座っている人型ロボットが
「地球中央大学宇宙開拓学部にてエリンガ星系ボードラ星の開拓実技卒業試験を受けていた被告人、まお・ゴンダワラは」
そこで言葉を区切り、裁判員も弁護士も検察官も傍聴席もまお以外はロボットだらけの法廷を見回し
「ボードラ星の混沌粒子量軽減義務を怠り、現地住民へ多数の被害を出し、住民の権利を侵害し、そして混沌粒子を利用して作り出した生き物を性的に虐待してその人権を無視した罪、並びに地球内での空中走行速度違反、マネーロンダリング法違反、所得税無申告による脱税、地中海へのプラスチックコップ及びにストロー投棄罪、同級生ナカジマ・ブノケッタ君を無断で動画撮影し、嘲笑う目的でSNSに投稿した肖像権侵害、他多数の各種ハラスメント罪にて」
また裁判長は言葉を区切り
「全ての能力を封じた状態でボードラ星で現地時間で懲役百年の刑とする」
まおは両目を丸くして裁判長を見上げると
「そ、それ!死刑と同じでは!?」
裁判長はロボットの首を横に振り
「特別監視員として数名の補佐がつく。肉体へはナノボットにより蘇生修復機能をつける」
「わ、私の青春が……あんな田舎星で……」
裁判長はドンドンと小型の槌を叩き
「これにて結審!」
そう言い放った。
地球からボードラ星への移送船の中
まお以外無人で自動操作の宇宙船がワープを繰り返しているのを、計器が一切無く前方を映す巨大モニターしかない殺風景な搭乗席に縛られて正座したまおが呆然と見つめる。
モニターには歪んだ宇宙空間の先に、ピンクの繭に包まれたような楕円形の変な惑星が映し出された。
容易く大気圏突入して宇宙船は、大洋ど真ん中の絶海の孤島上空で停止して、まおは孤島のビーチハウスぼ横にワープさせられる。
宇宙船が空の彼方まで去って消えていくのをまおが呆然と見上げていると
ビーチハウスからシャツだけを着たカメタがダルそうに出てきて、オレンジの囚人服姿のまおを見つけると嬉しそうにニヤーッと笑った。
書き損ねた他の人物のその後も追記します。
まおに壊されたヴァヴァンチーは、ゴブリンの里に戻り、ダイエットとリハビリをしながら生真面目なゴブリンたちと堅実な生活を営んでいる。
魔王が残した魔物の国は、人間たちと平和的な交易を続け繁栄しているようだ。
へこみちたちがダンジョンで会った銀のサソリやゴブリンたちも故郷に帰り幸せに暮らしている。
シロカミは今日も元気にダンジョンに楽器を置き忘れ、楽器を取ってきてくれという依頼書を各地のギルドにばら撒いている。
カメタの兄貴のギルドマスターは平和になって仕事が暇になり、妹も戻ってこないので、時折深夜のギルドで全裸になりレコードをかけて
「スパパパーンスパパパーすっぱだかー」
踊り狂っていると、たまたま通りかかった女性警察に窓の外から見られ、厳重注意を受けたあとに、何故か付き合うことになりそして結婚した挙げ句、休日になると二人でギルド内で
「スパパパーんスパパパすっぱだかー」
と踊り狂っているという噂が近所でたっている。
オーガの師団長はオーガの国に帰った。結婚して無事に暮らしてる。
へこみちは星の裏側の国で屋敷を買い、色んな国から盗んだ財宝などをチビチビと裏ルートで売りつつ、酒と娼婦とのセッ◯スと薬物びたりの生活を送っている。もはや快楽に飲まれた廃人で2度と再起はできないだろう。ゴールデンパーフェクトトライアングルの債権はタピオカの里のカジノ地下で腐っていった。
一発逆転を夢見て勇者になんてなるもんじゃないな!みんなは堅実な生活をしよう!
ゲーチェポエミーは奪った金と口先だけでへこみちが居る国の独裁者になり色んな国へと戦争を仕掛けて勝ったり負けたりしていた。
国民が疲弊して財政が逼迫しても気にせずに戦争や脅迫を他国に繰り返すので先日無事暗殺されて遺体は細切れにされ、ワニの棲む湖に撒かれた。
へこみちはその顛末を新聞で読むと
「ああ、そう……」
とだけ言ってベッドで二度寝をした。
口先だけで生きるもんじゃないな!みんなは行動と言葉のバランスを考えて生きよう!
天使ポエミーは別の国で神を自称して宗教を立ち上げた。
とにかく信者から金を集めデカい施設を建て贅沢三昧して、可愛い男女信者は囲って性的に搾取し、世間には新規信者獲得と冷やかしのためだけに終末思想や終末予言を流し続けた。
その教団が国家を支配できるほどの権力を持った頃、天罰が教団施設に落ちた。
百日間も落雷が止まずに全ての教会と施設は灰燼と帰した。天使ポエミーも落雷に巻き込まれ黒焦げになって発見され、怒れる信徒や民衆から細切れにされ、ワニの棲む湖に投げ入れられた。
人の弱みや純心に漬け込んで贅沢三昧するもんじゃないな!みんなは他人に誠実に生きよう!
ということで悪はカメタ以外滅びた。
カメタは無力になったまおで遊びつつ、毎日墓を眺めては3人の復活を待っている。
続編が書ければ、その様子に焦点を当てていこうと思う。
18禁に舞台を移すので、いないと思うけど18歳以下の読者の方はこの話までにしてくれよな!
一応、後腐れ無く忘れられるために、その後を徹底的に書いたのです。
最後に何故こんなしょうもない長編を書こうと思い立ったのか記して終わろうと思う。
……面白いと思ったんだよ!絶対ウケると思ったんだよ!アイデアが降りてきた時は天下取ったと思ったよ!とんだ勘違いだったよ!
ここまでスベリ倒すとは思わなかったよ!何の評価もなく、アクセス数も全然ない中、よく半年も頑張って書いたもんだよ!時間返して!
……っていうのは半分冗談でして、本気でギャグに取り組んでみたいというチャレンジでした。数字的な結果は惨敗でしたが、自分的には楽しかったのでヨシッ!
ここまで読んでくださりありがとうございました。




