気持ちの良い風
3体の回転する肉塊による最終決戦の後、グリグランの玉座の間でブルー王に乗り移った神と戦乱を収めた英傑4人、そしてピョミミーンによる5者会談が行われることになった。
尻穴から激流を噴出して上空を飛ぶピョミミーンにも話が聞こえるように、玉座の間の壁と天井は殆どえぐり取られ、気持ちの良い風が吹き込んでいる。
神が憑依したブルー王が玉座から
「おかげさまで娘の落第が決定した。この星の混沌レベルが危険領域まで上がったので、惑星開拓方法に引っかかり、さっき宇宙警察から逮捕もされた。除籍処分も目前だな!」
高調させた顔で言う。
天使ポエミーがニヤリと笑って
「何言ってるか分からないけど、誰かが不幸になってよかったのよ」
ゲーチェポエミーも微笑みながら
「金が欲しいのよ。パーフェクトトライアングルで稼いだ金をよこすのよ」
ブルー王は真顔で
「金はないが、自動貸出機で作り出した債権なら山ほどあるぞ」
へこみちはニヤリと笑い
「それを貰おう」
ブルー王はへこみちに鍵を渡し
「タピオカの里のカジノ地下に書類化した債権を大量保管してある。いくらでも人から借りた金で生きていけると思っている者共から、容赦なく取り立ててくれ」
ガッシリと握手を交わした。
カメタが面倒くさそうに錠剤をボリボリかじりながら
「パーフェクトトライアングルは廃止するのかにゃあ?」
天使ポエミーが
「そこはするのよ。ラーメン屋をチャーハンも出すようにして新生ゴールデンパーフェクトトライアングルにして、以前のパーフェクトトライアングルは廃止するのよ」
カメタは適当に頷くと
「消滅した3人を復活させてくれにゃあ。おもちゃにして遊びたいにゅー」
ブルー王に願った。彼は真顔で
「まずは墓を建ててやってくれ。いずれ俺が暇な時に気まぐれで蘇ることもあるだろうな」
カメタはいい加減に頷いた。
その後、へこみちたちはグリグランの宝物庫と金庫の金目のものを憑依されたブルー王から全て貰い、何処かへと去っていった。
正気に戻ったブルー王は、全ての罪をへこみちの母親に着せて、罰として以前から好きだった彼女と結婚した。
旧キャットランド改めタピオカの里は、ようやく育ってきたタピオカの樹から採れるタピオカによって経済危機を脱して、タピオカ輸出大国として、本場のタピオカは潰して練って焼くパン状の食べ物だと世界に布教して、そして無視された。
ピョミミーンはタピオカ村を襲った龍と結婚した。そして三日で離婚してまた結婚した。そしてまた離婚した。たぶんまた結婚すると思う。
超獣王国ババーンは今日もよくわからないままみんな元気にやっている。
ブルーモリ王国はリンゴとか輸出してる。
世界各地のゴールデンパーフェクトトライアングルは今日も無自覚の多重債務者を生み出し続け、債権を一手に握るへこみちに回収される時を待っていた。
気持ちの良い風が吹く、タピオカ村の跡地に少し大人になった旅装姿のよしこが帰ってきた。ミスティスふじさきと再会して抱きあい、ジャスティスたからざきの墓参りをしたあとに
「俺、タピオカの里に修行に行くよ」
最初となにも変わらない、まるで成長していない目標を口にした。
ミスティスふじさきは微笑んで頷いた。
その頃
絶海の孤島のビーチハウスではカメタが寝転びながら
「まーだかにゃー」
窓から見える、遠くの岬にそびえる3人の墓を眺め、復活を待っていた。




