あんなパリピを育てた覚えはない
3代目へこみちことメルルーンが更地で倒れ込んでいると、いつの間にかカジノや街が戻っていた。頭の中に声が響いてきて
初回サービスで脳内シミュレートさせてやったぞ。現実には影響ないから心配するな。2回目からは、本当に全部更地になるくらいの当たりスキルだからな。魔王城で使うといいぞ。まおが作り出した魔物たちが消えてなくなる。
「か、神様……あの私元魔王軍師団長でして……魔物たちが良い方たちばかりなのは知ってます……」
メルルーンが立ち上がってそう言うと
ぶっちゃけるとな、あいつが魔王としてこの星に降臨したのは、大学で専攻している宇宙開拓部の卒業研究のためなんだよ。あいつの住んでる地球って星は、この星の八分の一程度の時間の流れで、この星で四年間、つまり地球の時間で半年でこの星をどうにかしろって課題だったわけだな。
「な、何を言ってるんですか……」
メルルーンが愕然としていると
そして雑にどうにかして、去ったわけだな。衛星から地球に送られてるデータでは、A判定が出てる。だが、親の俺としてはこれをCまで落として首席から引きずり降ろしたい。
「よ、よくわからないですが、なんでですか!?」
メルルーンは天に向かってそう言い、通行人が怪訝な表情をする。
俺はまだ半分人間だった頃、高校に二年遅れで入学して農大をどうにか4年で出たので挫折も苦労もよく知っている。だがあいつはこのままだと挫折もなく地球最高の大学を人生舐めながらトップで卒業していく。地球でまおがどんな生活しているかダイジェストで見るか?
「まっ、魔王様のプライベートですか!?みたいです!」
メルルーンは涎を垂らしそうな表情になり、通行人からヒソヒソと噂される。
メルルーンの脳内に急に映像が広がっていき
「うえーい!最高!貧乏人ども見てるかー!人生たーのしー!」
黒いジャケットと黒いサングラスをしたまおが、スラム街の上を、車によく似た浮遊車に乗り、仲間たちと騒ぎながら飛んでいっている。
「やっぱりビーチは地中海っしょ!」
周囲の水着姿の金持ち達から明らかに敬意を払われながらビキニを着たまおが満面の笑みでシャンパンを開けている。
「ここからここの棚まで全部頂戴」
高級ファッション店で背の高い美しい店員を腰に手を当てて偉そうに見上げながら、若い友達を引き連れたまおが言い放った。そして虹色に光るカードを取り出し
「私、宇宙で1番お金もちだから」
ニコリと笑う。
大学の講堂の最後列に友達と陣取ったまおが、タブレットとノートを持って駆け寄ってきた小柄なメガネ男子に
「ジョニーコインで振り込んでおいたから」
と偉そうに言いながら、自分のタブレットを投げ渡し、データをダウンロードさせる。
それが終わるとメガネ男子はへこへこしながら去っていった。まおはダルそうに
「あー大学の授業つまんなー」
と言って周りの友達から笑いが起こる。
道端のメルルーンはもはや自らの股を触りながら
「すっ、すごい……スーパーセレブ……」
興奮した表情をし始めた。頭の中で呆れた声で
クソバカだろ……何がスーパーセレブだ。まおはアニメも馬鹿にして見ないし、うちの一族から出てる金も自分の見栄のためだけに浪費するだけだ。千年前の俺の息子なんて十一才から社会のために一族の金を投資して研究者にもなり、生涯かけて地球と八つの星系の海洋汚染取り除いたんだぞ。何がビーチは地中海っしょ!だ!あんなパリピを育てた覚えはない!
メルルーンは自慰をやめると、突如まじめな表情になり
「わかりました。私が魔王様を教育して征服して蹂躙するプレイですね」
と言った。うろたえた声が
ほ、ほどほどで良いからな!やりすぎたらダメだぞ!あれでも娘だからな!
メルルーンが涎を拭いながら頷いた。




