変態永久機関
翌朝、初代へこみち、天使ポエミー、そして眠そうなカメタに加え、よしこまでパーティーに入れて、これ、魔王大丈夫なん?といった盤石の布陣で、四人はピョミミーンの背に乗り魔王城ヘと旅立っていった。
ゲーチェポエミーはそれを爽やかな顔で見送ると、不安そうなへこみちに
「牢に捕らえている者が居るのよ」
と言ってきた。
二人は宮殿の地下牢へと降りていく。そこには奇抜な風体の女性が延々と壁に向かって土下座で謝罪を繰り返していた。
彼女は坊主に剃り上げた頭にバニーヘッドを被り、更に真っ赤な大きなリボンをそれにくくりつけていて、身体は全体的にぽっちゃりとしているのだが、まるでこぼれた贅肉を強調するかのようなマイクロビキニを着ていた。
「新たな変態さんですね……」
「うさぎめんなのよ。首相として改革の矢面に立たせるのよ」
「この人、なんで捕まってるんですか……」
「旅のタピオカ職人なのよ。へこみちが気まぐれで捕まえたのよ」
しばらく二代目へこみちは絶句すると
「……もう何でもいいですけど、構造改革はやめてください。タピオカ一本に絞ったらどうですか」
「財源がないのよ」
「タピオカ特別税とかどうですか?」
ポエミーは口をあんぐり開けて驚愕の表情でへこみちを見つめると
「あなた、とんでもない悪人だったのね」
「いや、どこがですか……」
「チョットずつ特別税を国民から吸い上げれば分からないのよ」
「……とりあえずうさぎめんさんと話しても?」
ポエミーが頷いたのでへこみちは格子越しに
「あのーうさぎめんさん?へこみちです。お話したいのですが?」
うさぎめんはへこみちの方を即座に向くと
「この度は、このうさぎめんがキャットランドを通ったばかりに大変申し訳ありません!このうさぎめん!申し開きもありません」
と言った後にうさぎめんはブルッと身体を震わせて気持ちよさそうな表情となった。
へこみちは察した顔でため息をつきながらポエミーを見る。
ポエミーは微笑みながら
「三位一体構造改革するのよ」
「いや、だから構造改革は……」
ポエミーは唇に人差し指を当ててへこみちを見た。
1時間後、縄で首と腰をそれぞれ繋がれたうさぎめんと全裸のメルルーンと全裸の自称メローがグルグルと四つんばいで目の前の変態の尻を追って、宮殿の床を延々と回っていた。
ポエミーは得意げに
「これぞ三位一体の構造改革なのよ」
「変態永久機関が完成しただけじゃないですか!?」
へこみちはそう言いつつも
「ああ、この人は言ってることは怖いけど、アホすぎて政治なんてできないんだなあ」
と心の中で安心したのだった。




