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勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 中二


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まお・ゴンダワラ

へこみちたちが魔王と出会う1時間前。


「あのさあ」

「なに……?」

ボサボサの髪で下着姿のまおと呼ばれた少女がベッドに座りコントローラーを握っている。隣の一糸まとわぬヴァヴァンチーが寝そべって雑誌を読みながら答える。

「このへこみちっていうのは何?2体いるんだけど」

コントローラーの戦の先はモニターに繋がっていて四分割された画面の右上に初代へこみちパーティー、左上にピョミミーンの背中に乗る二代目へこみちパーティー、右下と左下には農園と空の玉座の間が映し出されている。


ヴァヴァンチーは雑誌を置いて画面を見ると

「あー……初代へこみち蘇ったんだ……二代目へこみちも生きてたのか」

まおはイラッとした顔になりコントローラーを投げ出してヴァヴァンチーに飛びつくと、股と胸を弄りながら

「わかるようにちゃーんと話して?ワンは?」

「あっ……わっ、ワン!……くっ……あふっ……」

ヴァヴァンチーは快楽でトロンとした表情をしながらまおにへこみちたちについて説明しだした。


ヴァヴァンチーが何度か絶頂して気を失うとまおは扉に向かって

「コモー!」

大声を出す。すぐに扉の向こうから

「魔王様、へこみちの件ですね」

「そう!破壊因子でしょう?このままじゃ卒業開拓でA判定が取れない!どうしたら良いと思う?」

「ふーむ……補佐人の私と致しましては、一度、大学へと連絡を入れるべきかと思いますが」

「あー……教授、苦手なんだよなあ……しょうがないか」

まおは床に散らばった服を片付けて、シーツをヴァヴァンチーに被せ、ショートパンツとTシャツを着てから髪を整えると、再びベッドに座って大きく深呼吸をしてからコントローラーを握った。


すぐに画面に真ん中分けした白銀の髪を肩まで伸ばした真面目そうな女性が現れた。

「どうした、まお」

「プリンストル教授、お久しぶりです。教授も知っての通り、エリンガ星系のボードラ星で卒業開拓をしているのですが、問題が発生しまして、大きな破壊因子が2グループ発生しつつあります」

画面の向こうの女性は顔を顰めると、下を見ながら

「相変わらず混沌粒子の濃度はAで、時空錯綜リスクもAだな……もはや撤退も視野に入れるべきだと思うが」

まおは眉を狭め、心底嫌そうな表情になると

「教授、いや、ルナーおばさん!最も新しいゴンダワラの名を持つ者として!地球中央大学主席は譲れないの!お父さんとお母さんに認めてもらわないと!」

ルナーと呼ばれた女性は困った表情になり

「お前の母はともかく、西暦四桁前半生まれのアイツが、西暦一万台世代のまおにどうこういう資格はないぞ。好きに生きなさい」

「でも!おばさんもわざわざ大学に戻ってきて支えてくれてるし!混沌粒子体両親から生まれた地球人として!物理体両親から生まれた普通の子たちに負けられないの!」

ヒートアップして顔が真っ赤になっているまおにルナーはウンザリした様子で

「なあ、まお、私はお前の性格をよく知っている。頭が抜群に良いが、快楽に弱く見栄っ張りで怠惰だ。恐らく現地民を手籠めにして性的に遊んでいるな?」

「うっ……」

まおは背後の盛り上がったシーツを身体で隠し、ルナーは大きくため息を吐くと、視線を下に移しながら少し考えた後に

「コモー研究員が送ってくれたデータを今見た。停戦に合意して無条件でキャットランドを彼らのBグループに与えなさい。高確率で自滅するだろう。破壊因子とはアバターで接触するんだぞ?現地の風土病には特に気をつけなさい」

「わ、わかった……おばさん、いや、教授!ありがとうございます!」

まおがコントローラーを操作すると、画面が切り替わり、画面が一つの主観視点になった。その視点はゆっくりと玉座の間を進み出した。

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