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勇者へこみちの覇道  作者: 弐屋 中二


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交渉

2日後、ピョミミーンの背に乗り、グルグルに縄で縛ったメルルーンを連れ、4人は魔王城へと再び向かっていた。


魔族の少女は髪を金髪に染め、黒縁メガネをかけ、旅装を着て変装している。ポエミーは機嫌よく歌う。

「魔王と交渉してー既得権益の一部になるのよー国を一、二個もらうのよー」

へこみちは不安そうに

「おばさん、ホントにいいんですか?」

メルルーンは涎を垂らしそうな表情で

「……とっ、とうとう魔王様の奴隷に」

魔族の少女が呆れた顔で

「もともとメルルーンは魔王に惚れとった。話し合った末じゃし、これで戦争が終わるならよかろう」

よしこは真面目な顔で

「ポエミーさん!なんで魔王城に行ってるのか説明して!俺、イマイチよくわかってないよ!」

ポエミーは天使の微笑みで

「こちらは2方面作戦でもはや4つの魔王軍師団を潰したのよ。残す師団はあと6つ。でもそいつらはクソ雑魚ナメクジミノムシなのでいつでも潰せるのよ」

「それでそれで」

「ここらでお互い無用な損害を防ぐべく、魔王と戦争の終結について直接交渉するのよ。その手土産がメルルーンなのよ」

へこみちは大きくため息を吐いて

「ちゃんと、話聞いてくれるんでしょうか……」

「大丈夫なのよ。高速伝書鳩でのやりとりで許可が出ているのよ」

「罠なのでは……」

魔族の少女が笑いながら

「魔王様は騙し討ちはせぬ」

と言った。



1時間後。



遠くに魔王城が見える大平原にピョミミーンは着地すると、5人を草地に降ろした。そして胡座をかいて座る。ポエミーたちが並んで立ち、その手前に縛られたメルルーンが座ると、いきなり目の前に禍々しい漆黒の鎧とフルフェイスの兜を着た騎士がワープしてきて姿を現した。騎士の背後には小さなコウモリが付き従っている。


漆黒の騎士は5人を見回し、その背後に座る巨大なピョミミーンを見上げると

「ふむ。天使と竜、それに裏切り者もおるな」

と言い放ち、魔族の少女は慌ててポエミーの背中に隠れた。さらに騎士は

「侵攻拠点が凍りついたと聞いた。猫耳族たちは無事なのか?」

ポエミーが微笑んで

「従軍していた猫耳モンスターたちはブルーモリ王国首都で保護されていて無事なのよ」

騎士は明らかにホッとした様子で

「……わかった。停戦としよう。余の譲歩の証として、貴様らにはキャットランドを割譲する。治めてみよ」

へこみちが慌てた顔で

「えっ、キャットランドを解放するのですか!?」

尋ねると、騎士は煩わしそうに、期待で涎を垂らしそうなメルルーンを見て

「足置きは一人で十分だ、それもいらぬぞ」

と言い放ち、コウモリと共に消えた。

メルルーンはその場に崩れ落ちる。

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